日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > オリラジ中田が暗黒時代語る
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第70回

オリラジ中田が熱弁「なりたくてなる天狗はいない」 『しくじり先生』の、成功するための教科書

 たとえば、オリエンタルラジオのDVD『十』(よしもとアール・アンド・シー)。DVDが売れない、ライブDVDでさえ出すのが難しいとされる時代に、中田は「映像作品を撮りたい」と予算を度外視。かけた予算は映画1本分並み。それが許されてしまっていたのだ。企画会議の中で、中田はこう言い放ったという。

「普通の笑い作りたいんじゃないんだよ、時代を作りたいんだよ!」

 その後、中田は次々と番組を失っていく経緯を生々しく講義していく。そして、レギュラー番組を失った“暗黒期”には仕事が「モアハード モアスモール」、つまり「よりエグく、より小規模になります」と、過酷な体験が語られていく。たとえば、ある番組で1年間農業をするという企画があったという。ただ農業をするわけではない。山自体を切り開いていくというものだ。別の番組では韓国の整形ブームを特集した際、中田は実際に手相を整形した。これは想像よりも危険な手術で、完治まで1カ月を要したという。それぞれにキツイ体験であるが、何よりもキツイのが、これらが結局、オンエアされなかったということだ。中田は言う。

「みなさんが思ってるより、下り坂は長くて暗いです」

 中田は、かつて自分たちの“現象”を「吉本興業の中での実験」だったと語ったことがある。

「テクニックもキャリアもなくても、それで成立するんだったらビジネスモデルとしては正解じゃないですか。コストがかかってなくてパフォーマンスが得れるわけですから。これが成立したらこれをどんどんやっていくつもりだったんだと思うんです。だけど、それができなかった! 促成栽培ができるもんじゃない。それが芸人なんだ、っていうのを逆説的に証明したのがオリエンタルラジオなんです!」(『ブラマヨとゆかいな仲間たち』テレビ朝日系)

 中田のゾッとするほどの冷静さ、客観性が、逆に当時の深すぎる苦悩を物語る。早すぎたブレークによって、オリエンタルラジオはリアルタイムでその苦悩や挫折、迷走や変化、そして成長までも視聴者に晒されるという奇妙な境遇に身を置くことになった芸人である。そしてそれを中田が残酷なほどの客観性と、激しい熱量を両立させながら“解説”する。いわば、オリエンタルラジオは「しくじり」そのものを、“芸”に昇華させたコンビなのだ。だから、これ以上ないほど『しくじり先生』を体現している。実際にその講義は、生徒たちが「何、この教科書?」と唖然としてしまうくらい、素晴らしいものだった。この後、登場する講師たちのハードルが上がりすぎてしまったことこそ、番組の「しくじり」なのではないかと心配してしまうほどに。

 最後に中田は「一度しくじった人は『とりあえず、食って行きたい』『かつてライバルだったあいつを今度は応援したい』などと“下方修正された夢”を語り、『今がありのままの自分だ』と、“小さなプライド”を守ってしまいがち」だと言う。「俺は夢に破れたわけじゃないんだ。しくじったわけじゃないんだ。いま少し自分が見えてきたんだ」と。だけど、そうじゃない。しくじってから本当の挑戦は始まるのだ。

「負けてからビックマウスになる勇気」

 それが必要なのだ。「自覚的な天狗は、夢の成功者」だと。中田には、いつかもう一度花開いた時に絶対に言いたいという“天狗ゼリフ”があるという。

「普通の視聴率獲りたいんじゃないんですよ、天下獲りたいんです!」

 あっちゃん、カッコいいー!
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:55
12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed