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土岐麻子×中塚武、特別対談「ジャズの歌を知ることで、ポップスの中でもっと自由になれる」

「日本人が持っている“おめでたさ”を出した」(中塚)

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2014年4月には活動10周年の締めくくりとして、自身初のベストアルバム『Swinger Song Writer』をリリース。

――中塚さんの音楽にも、日本の民謡からの影響があるんですか?

中塚:無意識に出ていると思います。そういう部分っていちばん大事なところかもしれないと思ってるんです。日本人が舶来のポップスやジャズをやると、どうしてもアイデンティティを見失いがちじゃないですか。でも、民謡のコブシだったり、気質みたいなものには、それがあるんですよね。

――気質っていうと?

中塚:日本人が持っている“おめでたさ”だったり。たとえば新幹線で(東京から)大阪に行くと、三島あたりでみんなソワソワしてくるじゃないですか。富士山が見たいから(笑)。ああいう“おめでたさ”って、海外の人にはないと思うんです。

土岐:そうかも。何かにかこつけて、お祝いしちゃうとか。

――中塚さんの新作『Disney piano jazz“HAPPINESS”Deluxe Edition』はディズニーの楽曲をジャズ・アレンジでカバーした作品。ディズニーもジャズもアメリカ文化の象徴と言えるものですが、このアルバムにも日本的な要素が反映されているんでしょうか?

中塚:たぶん、このアルバムを聴くと東京ディズニーリゾートを思い浮かべると思うんですよ。京葉線に乗ってると、ディズニーランドに行く人がコスプレしてたりするじゃないですか。ああいう風景も日本だけの“おめでたさ”ですから。

土岐:そういう視点がこのアルバムにつながってるんですね。おもしろいなー。

中塚:ミュージシャンひとりの名義で、ディズニーのジャズアルバムを作った日本人は今までいなかったらしくて。海外にはいるんですけどね。デューク・エリントンとか、デイヴ・ブルーベックとか。だから、「日本人がやると、こうなるよ」というアルバムにしたくて。かなり好き勝手にやらせてもらいました。

土岐:確かにこのアルバムを聴いてると、ところどころに“おもしろ”が入ってるんですよね。「チム・チム・チェリー」なんて、爆笑しちゃいましたから。

中塚:スモーキーすぎて、煤だらけになってるアレンジだよね。煙突掃除だけに(笑)。

土岐:「これ、どんな解釈?」って。すごくおもしろいと思います。

中塚:海外のミュージシャンだったら、もっとスタイリッシュにするだろうね。

土岐 海外のカバーって、ストレートなものが多いですよね。同じようなアレンジ、同じような歌い方をすることがリスペクトの示し方になってる。私は逆なんですよ。「カバーするんだったら、自分のものにしないと失礼」って思うので。

中塚:わかる。

土岐:ちゃんと自分のものにするためには、すごく突き詰めなくちゃいけないんですけどね。中塚さんのアルバムを聴いていても、すごく考えて作ってるんだろうなって思うし。その場の感じで“ちょいちょい”っていうふうには出来ないでしょ?

中塚:楽をしちゃうと癖になりそうだからね(笑)。

土岐:でも、そういうタイプの方もいるじゃないですか。何も考えないで、ピアノの前に座ってバン!と出てきたものがいちばん良いんだっていう。中塚さんはそうじゃなくて、ひとつひとつに意図があるんですよね。

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