日刊サイゾー トップ > その他 > ウーマン・ウェジー  > 増えている未婚男性「ソロ男」とは?

「結婚しなくてもいいが、子どもは欲しい」もはやマイノリティではない、未婚男性“ソロ男”の生態

 「結婚できない」ではなく、「結婚しない」を選択する時代が、もうやってきている。「国立社会保障・人口問題研究所」によれば、日本人の男性未婚率は2010年で20.1%、2035年には30%近くまで増えると予想されている。

 そんな中、20~50代の独身男性、名づけて“ソロ男”(そろだん)の価値観や性格、消費活動を調べる「博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト」が立ち上がった。その調査の結果、見えてきたのは、「結婚しない」を選択する、マイノリティとはいえないほど多くの独身男性の存在だった。みなさんの周りにも、いないだろうか。「なんで結婚しないんだろう?」という男性たちが。

 その答えの多くが、『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)の中に記されている。著者は「博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト」リーダーであり、自身も52歳ソロ男だという荒川和久さん。結婚しないソロ男とはどんな人物像なのか、本当に結婚しないつもりなのか、結婚したい女性とソロ男の相性などについて聞いた。

■世の中は、ソロ男に対して偏見と先入観に満ちている

――なぜ“ソロ男”を調べようと思ったのでしょうか?

荒川和久さん(以下、荒川)独身男性は、誰にも相手にされてないんですよ。メディアは取り上げないし、我々広告会社も、あまり研究したことがないんですよ。研究したことがない、というと語弊がありますが、マーケティングターゲットにはならないと思われていたんです。でも、それは本当なのかと思い、2013年からいろいろと調査を開始しまして、14年8月に本格的に立ち上がりました。

 また、ソロ男に対して、世の中は偏見と先入観に満ちています。男と女は結婚をして当たり前。結婚をして一人前。もっというと、「結婚をして子どもを育てて一人前である」という考え方が根強く残っている。けれど、うちのような広告会社や、出版社、映像制作会社の人たちは、みんな結婚が遅いですよね。

 調べてみると、独身男性の人口は圧倒的に増えていて、全然マイノリティじゃない。しかも、消費力も旺盛で市場規模も大きい。将来的には、日本の人口の半分は独身生活者になると予想されているんです。結婚しない人がマイノリティである、ということはもはや言えなくなっている。そういう社会的な意味も込め、始めました。

――ソロ男の生態を教えてください。

荒川 大きく分けて5パターンです。全体の28.9%を占め、最も多いのが「社交性ソロ男」。異性の目を何よりも意識し、仲間との交流も盛んです。バブリーな頃は合コンに行きまくってた人で、人とワイワイ騒ぐのが好き。誕生日には自分で誕生日会を開く、“パリピ”みたいな人です(笑)。社交性があり、みんなからFaceboookで「いいね!」されたい、という欲求が強いですね。芸能人でいえば、アンジャッシュの渡部建さんみたいなイメージです。

 次に多く、24.8%を占めるのが「ネット弁慶ソロ男」。流行に敏感で、ネットやテレビなどの情報にアンテナを張っています。ネットの世界が好きで、2ちゃんねるのようなところで匿名で書き込む時は、ものすごい強いんだけれど、本名を出せと言われると、シュンとなってしまい、自分に自信がないタイプです。

 3番目は、21%で「きっちりソロ男」。自分の趣味と合致する仲間との交流を大事にしたり、常識や礼儀もわきまえています。きれい好きで、基本はマジメ。周囲の目を意識して自分を変えることはしない頑固さがあり、ひそかに特定領域の買い物に強いこだわりがある。そのくせ、衝動買いや無駄買いをしやすいのも特徴です。芸能人でいうと、坂上忍さんや今田耕司さんは、このタイプではないかと思います。

 13.6%の「仙人ソロ男」は、自己顕示欲がなく、出世も金も興味がない。ひとりをこよなく愛し、孤独が苦にならない。消費意欲が低く、人生を達観している節があるなどが特徴です。

 最後は、11.7%を占める「ストイックソロ男」。身だしなみよりも、自分の趣味に投資。ひとりでいる時間を重視し、それが楽しい。商品のスペックやうんちくが大好きです。物事をストイックに突き詰めるので、秋葉系のアイドルを追っかけるオタクも含まれるし、フィットネスジムでガシガシ鍛える筋肉にしか興味がない人もいる。ですから、見た目がオタクっぽい人もいれば、ボディビルダーみたいな人もいますね。

■結婚はしなくてもいいけれど、子どもは欲しい

――彼らは、本当に結婚したくないのでしょうか?

荒川 「結婚するつもりはない」「結婚しない」と言っている人は、ソロ男の中で46.5%です。年代別にみると、20代は34.8%、30代は47.1%です。ですが、40代になると、41.4%に下がり、50代になると一気に64.5%となってあきらめる。

 この結果でおもしろい点があり、ソロ男はイエスかノー以外の「どちらともいえない」の率が異常に低いんですよ。アンケートで調査すると、普通は3割ぐらい「どちらともいえない」を選択する人がいるんですけれど、ソロ男は10%ぐらいなんです。ところが、40代だけ、「どちらともいえない」が24%に増える。これは、40代になると、「結婚しない」という強い意志が揺れ始めることを示していると思います。

――なぜでしょうか?

荒川  40代になると、若い頃のように無理をして仕事をしていると、だいたいの人が体を壊すんです。決めつけちゃいけないですけど(笑)。そうなってきた時に、入院や会社を休職したりして、ひとりになる。すると、このままでいいのだろうか、子どもがいなくて大丈夫だろうか、と考え始めるんです。だから、46.5%は「結婚しない」という結果が出ている一方で、43%は「子どもは欲しい」との結果も出ている。

 40代だと、今すぐに子どもを産んでもらっても、自分が60歳を超えた時に、子どもが成人してないという計算が成り立ちますよね。そうすると、今、子どもを産んでもらわないと、一生持てないよねとなる。そういうことも考え、揺れ動いてしまう。ソロ男を「非婚」ではなく「未婚」と表現しているのも、それが理由です。

――結婚したい女性が、ソロ男と結婚する可能性はあるのでしょうか?

荒川 まず大前提として、結婚したいなら、ソロ男みたいな人とは付き合わないほうがいいと思います。結婚したくない男といくら付き合っても、時間の無駄ですよ。ソロ男は女性と付き合うし、同棲も全然構わないです。けれど、5年も6年も付き合っても、プロポーズのプの字も出てこない。そのまま墓場まで行っても、なんとも思わないと思います。

 ソロ男は、専業主婦タイプとは合わないかもしれません。自分は他人に依存しない代わりに、他人からも依存されたくない。相手にはちゃんとバリバリ仕事をしてもらって、自立していてほしい。むやみに干渉し合わない代わりに、互いに相手の時間や趣味を尊重し合える関係。だから、ソロ男的な女性だったら、ものすごく気が合うと思いますよ。ソロ男は、家事だって自分でこなしますから。

 結婚は、家という単位に個人が属するという意味合いが強いと思うんです。そうではなくて、まず最初に個人ありきで、個人同士が互いを認め合いながら共同体を作っていく、そういう新しいパートナーシップの関係が、これからは認められていくべきじゃないかと。「家族」や「世帯」という生き物がいるわけじゃなく、「個人」としてみんな生きているわけですから。日本の法律では認められていないのですが、遅かれ早かれ、そういうふうにはなっていくのではないでしょうか。

 ソロ男の身で女性にアドバイスなんておこがましいですが(笑)、まずは自分自身がどういうタイプか見極めて、女性であってもソロ男的な資質を持っているならば、ソロ男とお付き合いしたらうまくいくと思います。依存型だったりとか、会いたくて震えちゃう体質だったら、それはソロ男とはムリですよ。
(上浦未来)

(後編に続く)

最終更新:2016/02/20 13:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真