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巨人が球団創設100周年に「築地に移転」の現実味と新球場計画の“真の狙い”

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東京ドーム(写真/Getty Imagesより)

 巨人が「球界の盟主」と呼ばれたのもすっかり過去のことだが、その名称を取り戻すビッグチャンスがやって来た。2034年に球団創設100周年を迎えるにあたり、新球場に移転するという噂が浮上。期待感は高まっている。

 巨人の現在の本拠地である東京ドームが誕生したのは1988年のこと。日本初の屋根付き球場は「ビッグエッグ」と呼ばれ、野球のみならずコンサートや格闘技の聖地としても定着したが、オープンから36年を経て、老朽化した印象は否めない。

「開業当初は日本初ということもあり、巷(ちまた)の声は『やはり巨人はスゴい』というトーンでしたが、その後、全国に次々とドーム球場が完成し、物珍しさはあっという間に消失。通路や座席は狭く、段差が小さいことから視界が悪い席も多く、くたびれた雰囲気もあり、決してファンの評判が良い球場ではありません。そこで浮上したのが、築地市場跡地に新スタジアムを建てるという計画です。巨人の親会社の読売新聞社が同地の再開発事業予定者に加わっているため、築地への移転話がにわかに浮上。オーナーは『移転が前提で(新スタジアムを)計画したわけではない』と否定しましたが、『魅力あるスタジアムは私どもも使ってみたい』ともコメントしており、現状では移転の可能性は低いですが、含みを残した形です」(週刊誌スポーツ担当記者)

 12球団の本拠地を見回せば、今夏に100周年を迎える阪神甲子園球場、築90年を超える明治神宮球場、1950年開業の楽天モバイルパーク宮城(県営宮城球場)など、歴史を重ねた球場はいくつもあり、開業36年の東京ドームなど、まだまだ“ひよっこ”と言えるだろう。しかし、巨人には人気球団ならではの特殊な事情がある。

「かつてより人気が衰えたとはいえ、常に球場はパンパン。東京ドームは交通の便も良く、特に移転する理由はありません。ただ、近年は各球団が球場自体の魅力を向上する取り組みを行っており、いわゆる“ボールパーク化”する動きが盛ん。その点で巨人は立ち遅れています。球場の格という点では、永遠のライバルである阪神の本拠地・甲子園に遠く及びませんし、カープは広島駅からすぐという絶好の場所に新球場を建て、街を大きく盛り上げています。また、昨年開業した日ハムのエスコンフィールドは、試合がない日にもイベントを開催し多くの来場者を集め、道内の新名所になっています。そんななかで巨人が、記念すべき100周年をあんなショボい球場で迎えるわけにはいきません」(同上)

 とはいえ新球場建設は、最低でも数百億円がかかるビッグプロジェクト。そう簡単にことが動くとは思えないが、移転話は決して根も葉もない噂ではない。

「築地再開発事業の主体は三井不動産ですが、同社は東京ドームの親会社で、読売新聞とはズブズブの関係。三井不動産は東京ドーム一帯を再整備する計画を進めていますが、あそこまで立地が良ければ、巨人の力を借りなくてもドームシティに集客することは可能です。それなら、立地という点で劣る築地に巨人を持っていって、そちらのプロジェクトの価値を高める方がビジネスとしては賢明でしょう。また、巨人が東京ドームを借りているという事実も見逃せません。巨人は毎年、東京ドームに25億円とも30億円とも言われる賃貸料を払っており、自前の球場を持つのは球団の悲願。都内にもう新球場を建てられる場所は見当たらず、100周年というタイミングで千載一遇の好機を逃せば、もう2度と自前の球場は持てないでしょう」(ビジネス誌記者)

 さらに、事情に通じる関係者の間では、こんな噂も流れているという。

「築地の再開発事業計画の場所は、朝日新聞本社の目の前。そんな場所に親会社が読売新聞である巨人の本拠地ができれば、朝日新聞の面目は丸潰れです。新聞社はどこも青息吐息で、“紙の新聞”は遠からず消えるという悲観的な予測もありますが、業界内では“トップ1社はクオリティペーパーとして生き残れる”という意見が多い。ライバルの息の根を止めるのに、これほど強いネタはありません。築地が日本テレビと目と鼻の先なのも、読売グループにとっては何かと心強いでしょう」(同上)

 長年、野球取材に携わってきた前出のスポーツ担当記者は、期待を込めてこう語る。

「野球界は大谷翔平の活躍で一見、盛り上がっているように見えますが、競技人口はみるみる減っていて、先行きは暗い。球場は確かに埋まっていますが、日本でプレーする選手の名前を1人も知らない人はもはや珍しくありません。野球復権のためには巨人が先頭に立ち、『100周年で新球場移転、監督は松井秀喜』ぐらいのことをしないと盛り上がらない。漫然と100周年を迎えれば、待っているのはメジャーに飲み込まれて終わる末路です」

 もう1度、“球界の盟主”と呼ばれる日は来るか。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/05/22 09:00
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