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欅坂46“ナチス衣装”問題で、軍事専門家が秋元康氏を糾弾「勉強不足」

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 アイドルグループ、欅坂46の舞台衣装が「ナチスを想起させる」とアメリカのユダヤ系団体などから抗議を受け、所属レコード会社のソニーミュージックとプロデューサーの秋元康氏が謝罪コメントを発表する事態となったが、軍事ジャーナリストの青山智樹氏は、運営側の勉強不足を厳しく指摘する。

「日本の芸能人が“ナチスを想起させる”と抗議されたのは今回が初めてではなく、古くは坂本龍一、沢田研二も誤解を受けたことがあります。ナチスに詳しくなくても、芸能界で仕事をするなら、その歴史くらいは知っておくべきでは」

 ナチスはホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を起こしたことで絶対悪とされており、ドイツでは法律で、ナチスを想起させる旗やバッジ、マークを使用することを禁じているほど。今回の件には、ドイツでも「プロデューサーの秋元氏は海外にも姉妹グループを作ったりしているのに、国際感覚が欠如している」などと批判が巻き起こっている。

 青山氏によると、運営側に抗議を行ったサイモン・ウィーゼンタール・センターは「ロサンゼルスでホロコースト被害の記録や反ユダヤ主義の監視を行い、事件の記憶を風化させない活動をしている組織で、影響力は大きい」という。

「米国内のニューヨークやマイアミだけでなく、エルサレム、トロント、パリ、ブエノスアイレスなど各国際都市に事務所を持ち、ナチスによって虐殺されたユダヤ人の国・イスラエルとは特に緊密に連携しています。その名が使われたサイモン・ウィーゼンタール(故人)は強制収容された被害者で、戦後、ナチス戦犯の逮捕に尽力した有名な人物です。2005年に亡くなる1年前、『もし生き残っている者がいても、年を取りすぎて裁判を受けることはできないだろう。私の仕事は終わった』と、ナチス狩りの引退を公表したんですが、組織自体はいまだネットワークを張り巡らせ、“生き残り”の行方を追っているほど。秋元氏がそういう世界の常識に無知だったとしても、この失態の大きさは認識すべきです」(同)

 欅坂46は以前から衣装に軍服風のデザインを取り入れており、青山氏の言う通り、予測が不可能な不祥事ではなかった。

「今回、欅坂46が用いたデザインは、見た目にはなんとなくナチス風の黒マント、軍用じみたキャップという程度で、ハーケンクロイツも鉄十字もないわけですが、やはり帽子に付けられた鷲章を模したエンブレムが大問題。映画『ヒトラー~最期の12日間~』でも再現されていますが、ナチスといってもさまざまなスタイルがあって、代表的なのは足のスネを絞り込んだ褐色のダブル、左腕に鍵十字の肩章というヒトラースタイル。これは陸軍で、空軍はグレーの詰め襟だったりするんですが、黒といえば親衛隊のカラー。ナチスは隆盛期、SA突撃隊と呼ばれる私設軍隊を持っていたんですが、失業者を集めた暴力集団であったため、これを抑制するために生まれたのがヒトラー直轄の親衛隊。『長いナイフの夜事件』と呼ばれる1934年の党内部の権力闘争で、反対勢力を粛清したことでも知られます。翌年、第二次世界大戦で都市部に残った親衛隊がユダヤ人狩りを始め、それは追放、収容、虐殺とエスカートしていきました。最悪に達したときの象徴的なものであり、現代ユダヤ人にとってはスタンダードな、ナチスよりも憎むべきファッションスタイルなんです」(同)

 今回の衣装騒動の中には、「差別の意図がなく、単なるデザインだから問題ない」と表現の自由による反論もあるが、青山氏は首を横に振る。

「確かに、日本では外でナチス軍服を着て歩いてもコスプレにしか見られないでしょうが、卍マークのように偶然の一致ではなく、軍服だと認識しての流用は、海外でどのように受け取られるかぐらいは知っておくべき。芸能界での前例もあったわけですから、それが読めなかったのはプロデューサーの目が節穴だったということ」(同)

 日本のアイドル文化は、「クールジャパン」として海外発信するコンテンツビジネスでもあり、政府もこれに数百億円の予算を投じているといわれるが、そこに起用されている秋元氏がこの事態も読めなかったのは、厳しい目で見れば「海外戦略に不向き」ということが露呈したともいえる。日本のコンテンツを誤解なく、広い人種、思想の中で受け入れてもらって市場を広げるには、もっとグローバルな感覚を持つ人物が求められるだろう。
(文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2017/06/13 14:07
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