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スポンサータブー? メディア側の過剰な自粛? 多国籍企業を告発した映画の公開に垂れ込む暗雲

スポンサータブー? メディア側の過剰な自粛? 多国籍企業を告発した映画の公開に垂れ込む暗雲の画像2子宝に恵まれたアヤン(イムラン・ハシュミ)にとって、粉ミルク問題は他人事では済まされなかった。

「デビュー作『ノー・マンズ・ランド』がアカデミー賞外国語映画賞に選ばれるなど世界的に知名度のある名匠ダニス監督の作品ということで、マスコミ関係者向けの試写会での反響はすごくいいんです。『パキスタンでこんなことが起きていたなんて驚いた』『家族の幸せか社会正義かで揺れ動く主人公に感情移入した』など賞讃の声をいただいているんですが、『では、ぜひ番組の映画コーナーで取り上げてください』とお願いすると、『それは難しい……』とその場で断られてしまうんです。ある民放の報道番組のスタッフが本作を気に入ってくれ、局内で協議したそうですが、やはりダメでした。モデルとなっている企業がスポンサーになっていない番組でも、局内の他の番組に影響が及ぶことを心配して取り上げることを見送っているようです。乳製品などを扱っている国内の食品メーカーの機嫌も損ねるのではないかと懸念する声もあります。作品がつまらないから紹介されないのなら仕方ないのですが、面白いと言ってもらっているのに紹介してもらえないのは辛い。雑誌の場合も、ママさん雑誌を扱っている出版社からは断られるケースもありました」(ビターズ・エンド社宣伝スタッフ)

 本作を観てもらえれば分かるのだが、特定の大企業をやり玉に挙げることをダニス監督は狙っているわけではない。ネスレ社が発展途上国の販売地域の生活環境を考慮せずに粉ミルクを大々的にセールスしたことはもちろん大きな問題だが、医者たちが金品を受け取って粉ミルク販売の便宜を図っていること、スラム街の水道を整備することが遅れた政府側の対応、文字を読むことができないため商品に書かれている注意書きの内容を知らずに粉ミルクを作り続ける貧民層の母親たち……。様々な要因が重なることで、新生児たちの命が失われ続けている。それぞれが自分の非を認めずにいる曖昧な状況こそが無辜の命を奪っていることをダニス監督は問題視している。

 複雑な民族問題を抱えるボスニアで生まれ育ち、健康保険証のあるなしによって命を翻弄される一家を描いた『鉄くず拾いの物語』(13)など社会的弱者を主人公にした作品を手掛けてきたダニス監督は、多国籍企業を相手に映画を作ることの難しさを充分理解した上で撮っており、本作がどのような過程を経て映画化されたのかという舞台裏も劇中で描いている。英国の映画会社の雇った弁護士の進言で企業名は実名のネスレ社ではなく仮名のラスタ社に変わった経緯について触れ、主人公アヤンも決して聖人君子としては描いていない。また、病院で苦しんでいる赤ちゃんの映像は一部1989年のものもあるが、本作が撮影された2013年の映像も使用されており、粉ミルク問題は現在も解決していないことを伝えている。


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