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DV、虐待、援助交際から垣間見える、沖縄の現実『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』

 沖縄県の1人当たり県民所得は47都道府県中最下位の210.2万円と、全国平均306.5万円に対して大きく落ち込んでいる(内閣府・平成25年度県民経済計算)。失業率、DV発生率なども高く、離婚率も全国ワースト。統計が見せる沖縄の姿は、牧歌的な南の島のイメージから遠く隔たっている。

 この島で育った教育学の研究者・上間陽子は、2012~16年まで、風俗業界やキャバクラなどで働く女性たちの実態をリサーチするために、継続的なインタビューを実施。4年間のリサーチの成果として『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)を上梓した。本書に収録されたさまざまな女性たちのインタビューを読めば、DV、虐待、援助交際など、この島が抱える現実が見えてくる。

「私たちの街は、暴力を孕んでいる。そしてそれは、女の子たちにふりそそぐ」

 上間は、自身が育った島の姿を、このように表現する。

 では、その「暴力」とは、いったいどのようなものだろうか? 本書の中から2つの例を見てみよう。

 兄からいつもひどく殴られて育ってきた優歌(仮名)は、16歳で妊娠して結婚、17歳で男の子を出産した。しかし、子どもが生まれると、夫は優歌に対して暴力的になる。目の前で作った食事を捨てられ、仕事着を洗うと舌打ちされ、洗い直しを命じられる日々。そんな生活に嫌気が差し、優歌は夫と離婚した。優歌がひとりで子どもを育てていたにもかかわらず、ユタ(霊能者)の「一族に問題が起こる」というお告げから、8カ月になる子どもは夫の家族に引き取られた。

 実家に戻った彼女は、キャバクラの体験入店などを行いながら暮らしていく。しばらくして、5歳年上の恋人ができたが、男はDVの常習犯だった。周囲の反対を押し切り付き合った優歌は、些細なことで怒鳴られ、殴られながらも男との子どもを妊娠。しかし、男は働いていた店の金と模合(もあい/メンバーが一定のお金を出し合い、順番に給付し合う頼母子講のようなシステム)の金を持ち逃げして、街から消える。男は、ほかの女も孕ませていたのだった。優歌は、再びキャバクラで働きながら、ひとりで子どもを産んだ。

 街に戻ってきた男は、優歌の兄に謝罪し、5万円を詫びとして支払った。男にとって、謝罪する相手は、孕ませた優歌ではなく、優歌の兄のほうだった。優歌は今も、ひとりで子どもを育てている。

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