日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > パンドラ映画館  > 三島由紀夫『美しい星』を映像化
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.428

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!の画像1お天気キャスターの大杉重一郎(リリー・フランキー)は火星人として目覚め、テレビのお天気コーナーで人類の危機を訴える。

 天才の考えていることは、よく分からない。自伝的小説『仮面の告白』を24歳のときに執筆し、若くして成功を収めた三島由紀夫は、やりたいことをやり、書きたいことを書き、そして市ヶ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げ、45年間の生涯の幕を閉じた。ノーベル文学賞の候補に挙げられる一方、自衛隊の演習機に乗って子どものようにはしゃぐ童心を持ち合わせていた。空飛ぶ円盤の観測にハマっていた時期もあり、そんな天才作家・三島由紀夫が唯一のSF小説として発表したのが『美しい星』だった。コメディなのか、マジなのか、判別できない奇妙な味わいのある1冊である。

 三島文学を語る際にスルーされることの多い『美しい星』だが、1980年代に入って、鹿児島から上京してきたひとりの青年がその奇妙さに魅了される。大学で映画サークルに所属していたその青年は卒業後、CMディレクターとしてキャリアを積み、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)で監督デビューを果たし、『桐島、部活やめるってよ』(12)、『紙の月』(14)とヒット作を連発するようになった。吉田大八監督である。原作小説を読んでから30年、吉田大八監督は念願の『美しい星』を映画化した。

 凡人がぼんやり読むと、ぽか~んとしてしまいかねない原作小説『美しい星』を三島由紀夫が書いたのは1962年。キューバ危機が起き、米国とソ連との間で核戦争が起きるかどうかという一触即発状態にあった時代だ。核ミサイル攻撃で、人類が滅亡する過程をシミュレートしてみせた東宝特撮映画『世界大戦争』(61)なども当時は公開されている。人類は自分たちの手で破滅を招いてしまうかもしれない。そんなキナ臭い世相を、三島由紀夫は“宇宙人”という視点からユーモラスかつシニカルに描いている。

 吉田大八監督によって現代に舞台を移し替えた映画『美しい星』はこんなストーリーだ。都内でのほほんと暮らす大杉家だったが、ある日、自分たちは宇宙人であることに突然目覚める。最初に目覚めたのは、まるで当たらないと評判のお天気キャスターの重一郎(リリー・フランキー)。アシスタントの女の子とゲス不倫で忙しかった重一郎だったが、真夜中にUFOと遭遇したことから自分は“火星人”だと自覚するようになる。大学卒業後はフリーターをしていた長男の一雄(亀梨和也)は“水星人”として目覚め、国会議員秘書の黒木(佐々木蔵之介)のもとで働くようになる。長女の暁子(橋本愛)は“金星人”、母・伊余子(中嶋朋子)は“地球人”として目覚める。かくして覚醒を遂げた大杉家の人々は、民族・国家・企業レベルで争いを続ける人類をそれぞれのアプローチ方法で救済しようと奔走する。


123
こんな記事も読まれています

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店

すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、かく語りき

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

トンデモ海外ニュース

世界中のびっくり珍事件をお届け。世界はやっぱり広かった!

深読みCINEMAコラム『パンドラ映画館』

最新作・話題作から珠玉の掘り出しモノまで、毎週1本必観の映画作品を徹底レビュー

じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、世の中に埋もれる過去の名作マンガを発掘!

イチオシ企画

【キング・オブ・アウトロー】瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が森羅万象を斬る不定期連載
写真
特集

ジャニー喜多川氏逝去で、ジャニーズ事務所はどうなる⁉

ジャニーさん死去でジャニーズ事務所がいよいよヤバい!?
写真
人気連載

韓国版「東武WS」の廃墟感

 ソウル市のお隣・富川(プチョン)市にある、...…
写真
インタビュー

瓜田純士が逃走犯をプロファイリング

 大阪府警富田林署の面会室から脱走した樋田淳也容疑者(30)が、1週間以上たった現在も...…
写真