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『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』最終話 祭りを終えたSHO-GUNG、これからどーする!?

 かくして「SHO-GUNG」の旅は終わった。深夜ドラマとして全11話でオンエアされた『マイクの細道』だったが、1話につき正味20分ほどしかないためノーカットの長回しで撮ったラップシーンを毎回のように入れていくと物語はなかなか進まなかった。自由度の高い自主映画として始まった『SRサイタマノラッパー』にとっては、尺の短い深夜ドラマは必ずしも最適のフォーマットではなかったように思う。でも、クラブチッタでのライブは、自主映画では到底できない華やかなステージだった。一長一短なところも、「SHO-GUNG」らしい。

 東日本を旅したIKKUたちが被災地に直接向き合ったのは第6話の1シーンだけに終わったが、現在大ヒット中のワーナー映画『22年目の告白 私が犯人です』では阪神大震災を事件の重要なモチーフとして入江監督は描いている。藤原竜也演じる主人公・曾根崎は、「酒鬼薔薇事件」の加害者・元少年Aを連想させるトリックスターだ。震災をはじめとする社会状況が、その時代を生きる人間たちの心理にどんな影響を与えるのかに入江監督は強い関心を持っている。インディーズシーンを飛び出した入江監督は『22年目の告白』をヒットさせたことで、メジャーからのオファーがますます増えるだろう。入江監督が今後撮る作品の中には、復興が進まない被災地や東京オリンピックには無縁な地方都市を舞台にした企画も俎上に上がるに違いない。

 入江監督に『22年目の告白』の公開前、『SRサイタマノラッパー』の今後について尋ねたところ、「IKKUのラップがうまくなりすぎて、続けていくのが難しい」と苦笑しながら、「自主映画として撮り始めたのが10年前。(クラブチッタでライブができて)すごくいい形で区切りをつけることができた」と語った。『SRサイタマノラッパー』がこれからどうなるかは現時点では入江監督も分からず、ファンの反響次第だという。

 10年前、映画監督になったものの、思うような映画を撮ることができずにもがき苦しんでいた入江監督の分身として生まれた「SHO-GUNG」だが、すでに作者である入江監督の手元を離れ、独立した生きたキャラクターとなっていた。家族に依存しきっていたデブニートのIKKUが『マイクの細道』の旅を通して精神的な自立を果たしたように、入江監督も「SHO-GUNG」もお互いにうまく距離を保った関係になったのかもしれない。

 ぼくのりりっくのぼうよみのエンディング曲が流れる。いつもは仲間と一緒だったIKKUが、最終回ではひとりサイタマの田舎道を歩いている。ひとりっきりだが、以前のようなコドク感は感じられない。満開の桜並木が美しい。桃栗3年、柿8年。IKKUは30数年を費やして、ようやくひと晩だけの花を咲かせた。周回遅れからの集大成を果たしてみせたIKKUに、最後の最後にごほうびが待っていた。

 IKKUの歩く道の反対側から、『SRサイタマノラッパー』(09)のヒロインだった千夏(みひろ)がキャリーケースをゴロゴロと引っぱりながら現われる。高校時代のIKKUにとっては唯一の女友達だった千夏との久々の再会。男女の関係にはほど遠い2人だが、やはりどこか波長が合うらしい。IKKUと千夏が、『男はつらいよ』シリーズの寅さん(渥美清)とリリーさん(浅丘ルリ子)の関係にダブって映る。

 IKKUの「頑張れよ」という言葉に、千夏は「お前が頑張れ、バーカ」と『SR1』のクライマックスと同じ台詞を返す。同じシチュエーションでも、千夏の言葉は『SR1』のときよりちょっとだけ優しい。そのニュアンスを味わう余韻もなく、瞬く間に夢のようなIKKUの青春が終わる。でも、それはIKKUにとって新しいステージへの旅の始まりでもあった。

IKKKU「終わらねぇ、いや終わらせねぇ。ここがスタート、俺がMC IKKU。セイホー、セイホー、セイSHO-GUNG、セイSHO-GUNG……」

 IKKUは『マイクの細道』を観ていた視聴者の心の中へと消えていった。
(文=長野辰次)

最終更新:2017/06/26 17:04
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