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ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

■無邪気vs無邪気という構図

 そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。

 ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。

 無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。

■「ネグレクト」との対比としての「過保護」

 ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。

「人を幸せにする仕事がしたい」

 世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。

 だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。

『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。

 子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。

『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。

 過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。

 奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2017/07/13 20:00
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