日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 宮谷一彦の大乱丁に読者怒らず

美しい作品愛の世界……大幅乱丁で回収中! 宮谷一彦『ライク ア ローリング ストーン』に誰も怒っていない

 誰一人、この大きなミスを怒っていない。それは、作品力ゆえなのだろうか。

 8月1日に刊行された宮谷一彦『ライク ア ローリング ストーン』(フリースタイル)が、出版社のミスでページが入れ替わっていたことが発覚。出版社は回収・交換を告知している。

 宮谷一彦は、1960年代後半に先進的な作品を描き、大友克洋をはじめとする次の世代に多大な影響を与えたとされる人物。スクリーントーンを削って表現する技法を確立したのは、宮谷であるとされている。

 そうした蘊蓄はともかくとして、宮谷の作品は異常な熱気を持っている。現代、その作品を読むと描かれている熱気に違和感を持つかも知れないが「なんだか、とにかくスゴイ」作品となっているのである。

『ライク ア ローリング ストーン』は、そんな宮谷の代表作とされながらも、今まで単行本化がなされていなかった作品。すでにイーブックにおいて電子書籍化は果たされていたが、紙の単行本で刊行されたことはなかった。もし、紙で読みたいとすれば、掲載されていた雑誌「COM」を入手するしかなかったのである。

 その初の単行本化。しかも、こちらも初書籍化の『白夜』も同時収録ということもあり、一部の読者からは発売が心待ちにされていた。

 それが、話数の順番が変わってしまった理由はなぜか。

 出版社の説明によれば、最初に入手したのが「COM」の切り抜き。掲載時の扉には、各話ごとに話数が記されていなかった。そのため、一番上にあった第4話が最初だと思っていたという。また、単行本の作業の際に宮谷から提供された原稿がひとつの袋にバラバラに入っていたため、その誤解に気づかなかった。もちろん、校正の際に著者によるチェックも行われたのだが、それでも、誰も気付かなかったのだという……。

 著者も気付かないという大変な事態。ともすれば、単行本を心待ちにしていた購入者を中心に炎上しそうなものだが、自体はまったく異なる。

 多くの人が「なら、もう一冊買おう」と、話しているのである。

 実は筆者もその一人。ほかの人はどうかと、知人と、この椿事を話しあったところ、「こんな珍しい本は、またとない。交換の際に、ポストカードがプレゼントされるそうですけど、そんなものより、この本のほうが価値がありますよ」。

 いくら日本の漫画史に刻まれる歴史的作品とはいえ、けっして大部数が売れる作品でないのも事実。読者たちの作品愛と、単行本を作ってくれた出版社への感謝の心を感じる。
(文=昼間たかし)

最終更新:2017/08/31 22:30
関連キーワード

美しい作品愛の世界……大幅乱丁で回収中! 宮谷一彦『ライク ア ローリング ストーン』に誰も怒っていないのページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

タッキー革命新章突入!? ジャニーズはどうなる?

不祥事タレントを容赦なく切り捨て、Jr.の年齢制限まで勃発…ジャニーズはどうなる!?
写真
人気連載

菅野美穂の“バラエティ体幹”とリアリティ

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週...…
写真
インタビュー

『鬼滅の刃』のプロデュースワークの巧みさ

誰一人、この大きなミスを怒っていない。それは、作品力ゆえなのだろうか。 8月1日に刊行さ...
写真