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『社にほへと』開発中止で、神社本庁を“悪玉”にする人の不可思議から考えたこと

 最近、神社本庁というと、いくつかの騒動、あるいは「日本会議」「安倍政権」といった言葉とセットで語られるものだ。けれども、実際に尋ねてみれば「見ると聞くとは大違い」という言葉がぴったりと似合うものだと思った。その体験を、文章の中でも反映させているつもりであった。だから、どこをどう読めば「神社本庁=ゲームを潰した悪の組織」のような構図を想像できるのか、不可解であった。

 しばらく考えた推論は、ごくごく当たり前のもの。私の書いたルポルタージュを、ちゃんと読んでいないのではないかということである。

 幸いにも、本サイトは私にルポルタージュを発表する場を与えてくれている。それは、ネットのニュースサイトでは長文かも知れないが、実は極めて短い。だいたいが掌編。少し言葉を盛って短編か中編。紙の本にしたならば、ほんのわずかなページ数にしかならないものである。

 そうして発表したものが、どういった評価を受けているかは、やはり気になる。これまでの経験から感じているのは、ネットにしては長い文章でも、内容がよければ読んでくれるということである。Twitterでエゴサーチをしてみると、私の意図に共感し内容を評価してくれる人が半分。もう半分は、批判。アクセスの多かったものについては、だいたいが、そうなる。

 それを見ると、批判をしている人に、どのように共感を持ってもらうかが今後の課題だと思えてくる。だから、批判は大いに参考になるのだが、一方で批判にもなっていない、どうしようもないものにも出くわす。そうしたツイートをしている中には、なぜか物書きを生業としている者が多いように見える。

 彼らが一様に語るのは、「長い」だとか「自分語りを書くな」というふうなものである。

 これには首をひねってしまう。

 前述のように、ある程度文章を読む習慣があれば、決して長い文章ではない。それに、ルポルタージュとは「主観」を記すものである。新聞報道のように、ストレートニュースを無機質に記すものではない。けれども、自分のTwitterアカウントに物書きを生業として記しながら「長い」などとツイートする者は、そうは考えていないのだと思う。

 ただ、必要な情報を短い文章で語ること。できれば140字以内で書くこと。そうでなくても、読者がサラっと読んだだけで理解できる簡易な内容で、センセーショナルな部分だけを記せばよいのだと考えているふうに見えるのだ。

 もちろん、ニュースサイトにおいては、そうした文章も必要だと思うし、私も毎日楽しく読んでいる。けれども、ニュースサイトは雑誌のようなものである。かわいい女のコのお色気記事が載ってるかと思えば、さまざまな分野のニュースを知らせるトピックス。そして、腰を据えてからページを開きたくなる、読み物系の記事。それらが、相互に作用して総体としての面白さをつくっている。だから、なぜ「長い」という前に「これは、じっくりと読むもの」ということに考えが及ばないのであろうか。

 そうした、書き手側の意識こそが、今さら神社本庁を攻撃する人を生み出す土壌となっているのではないかと思う。

 けれども、そうした相手に、わざわざTwitterを通して論争を挑む気も起こらない。

 というのも、自分もネット媒体での仕事が増えてきた当初は、何かを勘違いしていたと思うからだ。ニュースサイトというものは、目を引く言葉を使って、センセーショナルなことを書くもの。「バズる」「炎上する」の違いはあれど、アクセスが稼げればよいものだと思っていた。

 でも、ある時、そうではないことに気づいた。強烈な刺激をいくら与えても、すぐに読者には飽きられる。よくて、バカ者として名前が片隅に記憶される程度。大方の読者には、名前も書いたものも記憶してはもらえない。なので、すべてがそうとはいかないまでも、これはという体験に出会えば、ルポルタージュの形で書かねばならないと思っている。それは、発表の場を与えてくれている本サイトへの感謝でもあるし、共感を得てくれる読者との出会いの機会ともなる。

 もう「ネタを探す」とか「記事を書く」というような態度ではダメなのだ。なぜか状況に興味を持ってしまい、それを書かねばならない気持ちになってしまう自分がいる。そうでなければ、読者が時間を費やしたことを後悔しないものは書けない。それに、まず、そんなことになってしまった書き手なのだと提示しないと、覗き見する相手に対しても近寄ることができない。

 たかがニュースサイトで何をやってるのかと、笑うならそれでも構わない。自分は、紙でもネットでも、掲げる旗を変える必要があるとは思わない。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2017/09/19 17:39
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