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『先に生まれただけの僕』櫻井翔・校長、学校改革が順調すぎてリアリティー薄れる!?

 また、周辺の中学校や予備校での評価が上がるのはまだいいとしても、銀行が手のひらを返したように融資に積極的になるのは違和感がありました。銀行員の対応があまりに一変したため、裏で加賀谷が何か良からぬことを画策したのではないかと訝ったのですが、そんなことはないようです。これまで芳しくなかった評価がたった数ヶ月で劇的に変わったのだとしたら、鳴海はとんでもない敏腕経営者ということになります。

 そんな鳴海の有能さを妬んでいるのか、あるいはまだ明かされていない過去の因縁があるためか執拗に妨害工作を行う加賀谷ですが、今回の嫌がらせはかなり含みをもたせた前フリをしていただけに、リストラについての質問だとわかると拍子抜けしてしまいました。わざわざ加賀谷が根回ししなくても、保護者から発せられて然るべき質問なのではないでしょうか。進学率を上げる、部活動を活発化させるなどといった鳴海の大言壮語に対して、「どうやって?」という質問が出ずに感嘆の声ばかりが上がる様子は、まるでマルチ商法のセミナーか何かのようで、リアリティーが感じられませんでした。

 雇われ校長として充実した日々を送る鳴海ですが、プライベートでは恋人・松原聡子(多部未華子)のことがおろそかになりがちになってきているようです。そして、その聡子は前回のオープンキャンパスで2年3組担任の真柴ちひろ(蒼井優)と鳴海の関係を疑い、そのちひろは鳴海に好意を抱き始めた様子。しかし、2年2組担任の島津智一(瀬戸康史)と食事をしたことにより生徒の間で交際のウワサを立てられ……と、今回はこれまで以上に各々の恋愛模様が描かれるシーンが多く、それだけ散漫になってしまった印象を受けました。

 物語の幅を広げるという意味では恋愛要素も少しは必要かも知れませんが、このドラマに関してはいかにして鳴海が学校改革を推し進めていくかがミソだと思うので、次回以降はあまり脇道に逸れないことを願いたいです。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2017/11/25 12:00
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