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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.460

美女と冒険を愛するジャッキー魂は永遠に不滅!! お約束の展開が心地よい『カンフー・ヨガ』

インドの市場での格闘シーン。ジャッキーは還暦すぎとは思えない軽快なアクションで盛り上げてくれます。

 また、ジャッキーが屋外マーケットに出没すると、そこで大騒動が起きるのも大切なお約束。今回はインドの市場で路上パフォーマンスが行なわれているところに、ジャックたち一行が逃げ込んだから、さぁ大変! 火喰い芸、蛇使い、剣呑み、空中浮揚といったインドならではの大道芸が繰り広げられる中、ジャックと仲間たちvs.秘宝を執拗に狙う悪党一味との集団抗争が勃発することに。お馴染みの展開の中にも、ロケ先の風情を取り入れて新鮮みを醸し出すことを怠らないアクション指導のジャッキー&長年の盟友スタントリー監督なのです。

 ジャッキー映画はどれも頭空っぽで楽しめるものばかりだけど、『ゴージャス』(99)では環境汚染に言及したり、『ライジング・ドラゴン』(12)では歴史問題を現代の価値観で裁くことの無意味さを説くなど、やんわりとメッセージが込められてきたわけです。今回も敵味方入り乱れての争奪戦となる伝説のお宝は、それを手に入れたものは世界を思うがままに支配することができると言い伝えられている秘宝中の秘宝。冒険ドラマではこの手の財宝は物語を動かすための小道具であって、発見された財宝そのものには意味がないことがほとんどなわけだけど、ジャックたちが苦労して手に入れた今回の財宝はけっこートンチの効いた代物。こういったオチもジャッキー映画ならでは。

 秘宝のタネ明かしが済めば、エンディングは敵も味方も、中国人もインド人も、メインキャストもエキストラもスタッフも、みんな一緒になっての一大ダンスシーン。跳んで、踊って、ここはジャッキーパラダイス。ジャッキーが笑えば、みんなも笑う。浮世の垢は、きれいさっぱり洗い流しましょう。セラピー効果は抜群です!
(文=長野辰次)

『カンフー・ヨガ』
監督・脚本/スタントリー・トン
出演/ジャッキー・チェン、アーリフ・リー、レイ(EXO)、ソーヌー・スード、ディシャ・パタニ、アミラ・ダスツール、エリック・ツァン、チャン・グオリー、ムチミヤ
配給/KADOKAWA 12月22日より全国ロードショー中
C)2017 SR MEDIA KHORGOS TAIHE SHINEWORK PICTURES SR CULTURE & ENTERTAINMENT. ALL RIGHTS RESERVED
http://kungfuyoga.jp

 

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最終更新:2018/01/01 14:00
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