日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 女優の花道  > 岸井ゆきのは、深津絵里の再来?
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

『モンテ・クリスト伯』でも好演! 岸井ゆきのは“90年代の深津絵里”の再来か

 それは、彼女の経歴に関係があるのかもしれない。

 岸井は小学校1年生から中学校3年生まで、器械体操の選手を目指して練習に打ち込んでいた。だが、練習中にバク転に失敗して以降、怖くなって跳べなくなってしまい、体操をやめてしまったという挫折の過去がある。高校生になり、新しい道を模索していたところ、女性カメラマンと知り合い、モデルを務めたことがきっかけで安藤サクラや門脇麦が所属する芸能事務所ユマニテから声がかかり、演技の道へと進むことになった。

 どんな役を演じても彼女の芝居には奥行きがあり、どこか影がある。それは彼女が、挫折を知っているからだろう。

 彼女の出演したCMで、とても印象に残っているものがある。

 就活生を演じた東京ガスのCMだ。仲間たちが次々と内定をもらっていく中、彼女だけは落ち続け、それが原因で両親とも気まずくなっている。そんな中、ついに最終面接までこぎ着け、内定間違いなしと手ごたえを感じた面接も、やっぱり落ちてしまう。

 CMは一応、母親が優しく励まして、前向きな感じにまとめようとしている。しかし、見終わった後の後味の悪さがすさまじかった。そのため視聴者から批判が相次ぎ、放送開始直後に打ち切りとなってしまったのだが、これは岸井の演技があまりにもリアルだったからだろう。

 暗い影を背負った業の深い特別な人になるというよりは、普通の人が抱えている不安や自信のなさを切なく演じられ女優で、コメディもシリアスもできるという意味では、90年代の深津絵里に近いのかもしれない。

 そういう女優ゆえに、匿名性が高くなって、名前が印象に残らないのだろうが、次回のNHK連続テレビ小説『まんぷく』への出演も決まっているため、岸井ゆきのの名が全国に知れ渡るのも時間の問題かと思う。だが、有名になっても、普通の人の切なさを演じられる感覚は持ち続けてほしいと願う。

(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2018/07/09 14:00
12

『モンテ・クリスト伯』でも好演! 岸井ゆきのは“90年代の深津絵里”の再来かのページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ
トップページへ
注目記事
  • facebook
  • twitter
  • googleplus
  • feed
イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

NEWS手越祐也、崖っぷち!

相次ぐスキャンダルに滝沢激怒、ジャニーズ退所も現実味!?
写真
人気連載

瓜田純士、ネットリンチに物申す

 恋愛リアリティー番組『テラスハウス』に出演...…
写真
インタビュー

人間の本性としての暴力と協力

――人間はどこから来たのか 人間は何者か 人間はどこに行くのか――。最先端の知見を有...
写真