煮えたぎる鍋に従業員の顔突っ込み大火傷、鉄パイプで殴打…明らかな暴行を「遊び」「悪ふざけ」と弁解する会社
「週刊新潮」2018年11月29日号(新潮社)が、渋谷区にある芸能プロダクションの社長である20代男性が、「熱湯が入ったしゃぶしゃぶの鍋に従業員の顔を突っ込む」パワハラをはたらいたと報じている。
同誌によると事件が起きたのは、2015年12月に行われた会社主催の忘年会。社長は被害者の男性従業員に対して、「クライアントさんもいるんだから面白いことやれ。鍋に頭、突っ込めよ」と指示したと、被害男性は供述している。
煮えたぎる鍋に顔をつけ、上から押さえつける
「デイリー新潮」では、男性が鍋に顔を突っ込む証拠動画も公開。男性が鍋に顔を突っ込んだのは計2回で、周囲のカウントダウンと共に男性が沸騰する鍋に顔をつけ、その頭を他の人物が手で押さえつけるという状況が3秒ほど続いた。きわめて危険な行為である。周囲からは笑い声が聞こえるが、これのどこか面白いのだろうか。
記事によれば相当、酒が入っていたようで、被害男性の記憶も定かではないというが、被害男性の顔面は皮膚が真っ赤にただれ、救急外来を受診。診断結果は、Ⅱ度の火傷で、後遺症や傷跡などが残る可能性もある怪我であった。記憶があいまいであっても、この証拠動画からは何が起こっていたのか一目瞭然だ。
この被害男性は日常的に社長からパワハラを受けており、給料をもらえないことや坊主にさせられることもあったといい、精神的に追い詰められていたようだ。事件が起こった忘年会当日も、鍋に顔を入れろと言われただけでなく、多量の酒を一気飲みすることも強要されたと述べている。
被害男性は「自分が事務所に入れたタレントもいる」という責任感から、なかなか会社を辞めることができなかった。しかしイベント運営をめぐって理不尽な借金を背負わされたことがきっかけとなり、退職したという。
「週刊新潮」はこの芸能プロダクションを訪問し、社長に動画を見せたうえでコメントを求めているが、社長はその場での回答は避け、後日「悪ふざけであった」「日常的なパワハラも事実でない」という旨の文書を送付したそうだ。
記事では会社名も含め匿名で報じられており、ネット上では複数の芸能事務所の名前が憶測で上がる“犯人探し”が繰り広げられているが、同誌関係者によれば「ものすごく小さい、名前の知られていない芸能事務所というか制作代理店のような会社。ネームバリューがないため匿名で報じた」とのことだ。しかし非常に悪質な事件であることは間違いない。
社員を鉄パイプで殴打も「自ら望んだ罰」と説明
暴行を“遊び”、あるいは“罰だった”と主張する例は後を絶たない。最近では“鉄パイプ”で従業員を殴打する動画も流失した。
今月初旬、従業員がロープで手首を吊るし上げられ、上司に鉄パイプで殴打されている動画がネット上に流出した。動画には会社名と殴打している人物の本名が明記されており、『ビビット』(TBS系)は、その会社の社長へ取材を実施していた。
社長は「動画は昨年社内で撮影されたもの」と認めたが、「ふざけてやったんですよ。叩かれている男がね」と供述。「よその従業員に対してトラブルを起こして、話し合ったけど収まらなかったと」「それで<私が罪を受けますから4回だったら叩いてくれ>と言ったと」と、叩かれている男性が自ら罰を受けることを望んだと主張した。
また、慰謝料として殴打した上司から被害男性へ60万ほどの金銭が支払われており、既に和解したとも社長は述べていたが、「被害者の男性自らが望んだこと」にもかかわらず、「慰謝料を支払って和解した」という流れには違和感が強い。
福岡にある会社でも「従業員がふざけてやったこと」と弁解
福岡県にある運送会社「大島産業」では、勤務時間内に男性従業員が温泉に入ったとして、同僚らが男性に対して「髪の毛をバリカンで剃る」「高圧洗浄機で水をかける」「川の中へ入るように命令し、川から上がってきた男性にロケット花火を連射する」などの暴行をはたらいた。
その光景は文章や写真で会社のブログに残っており、被害男性は会社に対してパワハラがあったと告訴。しかし裁判で会社は、パワハラを全面的に否定し「頭を丸刈りにしたのは男性が皮膚の病気にかかっていたから」「高圧洗浄機は男性が自らふざけて浴びている」「ロケット花火は男性が戦争ごっこをやろうといった」と、原告がふざけて自らやったことと弁明した。
結局、福岡地裁は会社に対して、被害男性に1500万円の支払いを命じる結果を出したが、それでも会社は納得しておらず、起訴の意向を示していた。
“ふざけ”や“パワハラ”で済まない暴行の罪
「週刊新潮」記事で告発した男性は、損害賠償の請求や被害届の提出も視野に入れているという。
どの会社も “ふざけでやった”と主張しているが、言い訳でしかない。仮にやる側にとって“遊び”であっても、やられる側にとっては相当な苦痛であり、パワハラという言葉を当てはめることさえ生温いだろう。
傷害事件として立件されてもおかしくない、数々の暴行動画。会社という組織内で起こっており、社長や上司といった立場の人間がその権力を乱用し、部下にあたる社員の心身を傷つけている点では確かにパワーハラスメントだが、それだけでは済まない。どんな場面であっても暴力が許されることはない。
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