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昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 66冊目

昼飯と共にほとばしる本音『ビジネス・ランチをご一緒に』

『ビジネス・ランチをご一緒に ロン・ローゼンバウム集 (アメリカ・コラムニスト全集)』

 こんな本があったのか。なんで、今まで読んでいなかったのだろう。

 ノンフィクションやルポルタージュを読むときに古い本、いわば、このジャンルの古典を読みつぶそうという理由は、ほかでもない、方法論を真似たいからである。パクリではない。使われている取材手法や描写の方法を、現代の別のテーマに当てはめてみるとどうなるだろうかと思っているのだ。

 なにせ、だいたいの方法論なんてものは、過去に発明され尽くしている。それをどのようにアレンジメントするかで、また新しい作品を生み出すことができるはずである。

 で、そのためにとさまざま本を読んでいるのだが、まだ読んでいない、知りもしない本もわんさか。

 このロン・ローゼンバウム『ビジネス・ランチをご一緒に』(東京書籍)もそうである。

 この本、まだ事業家だった頃のドナルド・トランプを取材していることで評価されている。それも重要だけれども、もっと重要なのはローゼンバウムの取材手法。

 それは、さまざまな人と一緒に昼飯を食べながら、テープレコーダーを回しっぱなしにしておくというもの。

 なんてこった。こんな単純な誰でも思いつきそうな方法なのに、今の時代にやっている人を見たことはないぞ。一緒に昼飯を食べながら話をしていると、どんな大物も口が軽くなったり、ふっと警戒心が戻ったり。その瞬間、その一瞬をローゼンバウムは見逃さない。

 そうなのだ。夕食だとか夜の酒席と違って、

 大物に限らず昼食時の語らいでは、なぜか饒舌なったり、本音をポロリと漏らしてしまう人は多いもの。筆者も、これまでそうして得た一言を作中に挿入したり、これから書こうとしていたりする。

 でも、ここまでじっくり昼食に重点を置いてという方法は思いつかなかったな。さて、これを現代にアレンジするなら、どうしよう。
(文=昼間たかし)

最終更新:2019/11/07 18:17
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