チケット不正転売禁止法施行で音楽業界に混乱も…空席だらけの公演が増えてしまう!?

2019/06/19 09:53

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

 コンサートやスポーツ興行などのチケットを不正に転売することを禁止するチケット不正転売禁止法が6月14日に施行された。取り締まりの対象となるのは、転売の禁止が明記されている座席指定のあるチケット。このようなチケットを定価を上回る価格で転売すること、そして定価を上回る価格で転売することを目的として譲り受けることが禁止となる。違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科される。

 会場の周辺で行われていたチケット転売は「ダフ屋行為」と呼ばれ、主に都道府県の迷惑防止条例などで規制されていたが、ネット上での売買では規制されていなかった。それが今回のチケット不正転売禁止法によって、ネット上での不正転売行為も規制の対象となるわけだが、実際に施行されても、状況はそれほど変わっていないようだ。

「ネット上には『チケット流通センター』や『チケットストリート』という転売仲介サイトがありますが、転売禁止法が施行された後もサービスは通常運転です。いずれのサービスもあくまで個人間での取引の場を提供しているにすぎないということで、取り締まりの対象とはならないという認識になっています」(音楽ライター)

 転売禁止法で取り締まりの対象となる「不正転売」とは、興行主の同意を得ずに反復継続の意思をもって行われる有償譲渡というもの。つまり、個人が余ったチケットを転売する行為については、何度も繰り返さない限り、基本的にOKという解釈もできる。

「ここが難しいところ。明らかに転売目的で大量にチケットを入手している業者については規制されるべきだと言えるでしょうが、個人レベルの場合はちょっとグレーになってしまうんです。ファンクラブ名義で多めにチケットを確保しておいて、余った分を手数料などと言って定価以上の価格で転売しようという人も中にはいると思いますが、このようなケースをどう扱うかは難しいところですね」(同)

 チケットを買い占める転売業者のせいで、本当にコンサートに行きたいファンにチケットが行き届かないという問題を解消する点で、音楽業界にとっては待望とも言える転売禁止法だが、必ずしも良いことばかりではないようだ。ある音楽業界関係者はこう話す。

「チケット転売に対する考え方は、音楽事務所によって結構ギャップがありますね。どんなコンサートでも絶対にチケットが完売するような人気アーティストであれば、ファンを大事にするという意味で転売業者は排除すべき。しかし、必ずしも全公演がソールドアウトにならないアーティストの場合、チケットが転売市場で値崩れを起こし、その結果どうにか会場が埋まるということもありうる。転売業者は、プレミア価格となるような人気公演のチケット転売で儲ける代わりに、そうではない公演ではチケットをさばく手助けをしているという現実もある。そんな現状で、もしも転売業者が完全に排除されれば、空席だらけの公演をしなくてならないアーティストも出てくるでしょう。その点に不安を持っている音楽事務所があってもおかしくない」

 転売禁止法の運用次第では、コンサートの規模を縮小せざるを得ないアーティストも出てきそうだ。

「もし転売業者だけでなく、個人間の営利目的転売も本格的に規制されるとなれば、興行主側はチケットを余らせることが大きなリスクとなってきます。大きな会場でチケットが売れないということよりも、多少小さな会場でもチケットを完売させたほうが良いという判断になるでしょう。そして、常にチケット完売ということであれば、供給より需要のほうが高い状況が続くわけで、自然とチケットの価格も高くなっていく。ファンにしてみれば、チケットが取りにくく、しかも高いということになるかもしれない。もっとも転売業者の法外な価格に比べれば安いとは思いますけどね」(同)

 転売業者を排除できたとしても、それ以外の影響はまだまだ不透明な部分もありそうなチケット不正転売禁止法。いずれにせよ、本当にコンサートやスポーツを見に行きたいと願っているファンたちこそが満足のいくような改革を期待したい。

最終更新:2019/06/19 09:53

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