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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

渡部陽一、蛭子能収……散歩番組の”お決まり”をぶち壊すおっさんたち

蛭子能収「じゃあ、ラーメンください」

 そもそも、散歩番組とは何か? その目的のひとつは、訪れた街や地域の良さを伝えることだろう。隠れた名店に行くなり、歴史を知るなり、人情に触れるなりして、その土地の良いところをアピールする。しかも、「散歩」という無目的に歩いているように見える形式で。

 あらためて振り返ると、渡部もその散歩番組の形式に沿って仕事をしていた。単にギャグで「極上!」と言っているわけではなく、その一言で地域の店の味をPRしていたわけである。理髪店に行った際にも、バリカンの刃を人肌に温めておくような、店主の心遣いを引き出すシーンがあった。ただ散髪してもらっただけではない。

 だが、2日の『相席食堂』は、そんな散歩番組のあり方から大きく外れていた。この日の旅人は蛭子能収、訪れたのは淡路島である。

 玉ねぎや海の幸など、淡路島の名産を食べる。出会った人と触れ合う。そうやって、島の良さを引き出す。そんな旅のシナリオが蛭子の念頭にないことは、最初から明らかだった。砂浜でロケを開始した蛭子は、早々にスタッフに尋ねる。

「ここは日本ですよね?」

 土地の良さを伝えるも何も、そもそもここがどこかを知らずに歩き始めているわけである。「日本ですよね?」という聞き方もすごい。普通は「ここどこですか?」だろう。いや、どこなのか聞いている時点でおかしいのだけれど。

 ただ、蛭子も最低限やらなければならないこと、つまり相席をして人と触れ合うという番組上のタスクは遂行する。バス停で待つ男性に声をかけ、食堂の場所を聞き出す。続けて、男性に向かって蛭子は尋ねる。

「ここどうですかね? 生活するには不便なような気がするんですけど」

 単純に失礼! この直後に、「空気がすごいキレイだなっていうのが……」というフォローめいた一言があるにはある。だがこれが、蛭子が淡路島の良さを語った最初で最後の言葉となった。

 この後も、ずっとこんな調子で旅は続く。極めつきは次のシーンだ。大衆食堂で中年の男女と相席した蛭子は、「この店のおすすめは?」と尋ねる。

男性「サワラがおいしいんですよ。先ほどからおいでになってるお客さん、みんなサワラ丼食べてます」

蛭子「あ、ホントに」

男性「サワラで有名なお店なんです」

蛭子「サワラで有名なんですか。……じゃあ、ラーメンください」

 自分からおすすめを聞いておきながら、「じゃあ、ラーメンください」である。どういう意味で「じゃあ」と言ったのだろう。前後の言葉がつながらないだろう。

 このように、ご当地の味には興味がない蛭子。だが、相席した男女の関係性には興味津々だ。高校時代の同級生で、今でも時々ランチを一緒にする友人だという2人。女性のほうは既婚で、すでに孫もいる。そんな2人の関係を、蛭子はずっと「夫婦みたい」と勘繰り続ける。その会話の流れで、耳を疑う発言をする。

蛭子「でも、仲良さそうだから結婚しても良さそうですけどね」

女性「ない! うちの旦那は淡路島で一番男前の旦那やから、大丈夫です」

蛭子「……ここ淡路島なんですか?」

 すでにあちこちを歩き、旅も中盤。そんなタイミングで、「ここ淡路島なんですか?」である。実は、VTRの序盤に、ここが淡路島だということを蛭子が知るシーンがある。バス停の男性から教えてもらっていたのだ。にもかかわらず、すでに忘れている蛭子。「サワラで有名」→「ラーメンください」の間を「じゃあ」でつなぐ男にとって、過去と現在のつながりはすぐに解けてしまうのかもしれない。自身の漫画と同じく、不条理な世界を生きているかのようだ。ちなみに、『相席食堂』という番組名も忘れていた。

 さて、旅の終盤、蛭子はこの日一番の笑顔を見せる。ここから30分くらい車を走らせたところに、競艇場があると聞いたときである。当然、蛭子は競艇場へ向かう。場所は徳島県の鳴門市だ。ここへきて、もう淡路島の良さを伝えるとか、そんな話の根底が覆るわけである。淡路島を出るのだから。VTRを見ていたノブは嘆く。

「もう淡路でもないし、相席でもないのよ。ただのBSのボート番組なのよ」

 競艇場のキャラの強いおじさんたちに囲まれ、虚 ろな目でレースを見つめる蛭子。所持金をゼロにして、この日の旅は終わった。

 無目的に歩いているように見せながら、その土地の良さを伝えること。それが散歩番組のひとつの目的のはずだ。もちろん、芸能人が相席しながら人々と触れ合うVTRに千鳥がツッコミを入れていく『相席食堂』は、散歩番組としてそもそも異質ではある。けれど、同番組にこれまでに出てきた芸能人は、その場所の魅力をそれなりに引き出そうとはしてきたと思う。良さを引き出そうとするけれどうまくいかない。そこに千鳥のツッコミが入っていたわけだ。

 けれど、訪問地の魅力を引き出すというスタート地点に、そもそも蛭子は立っていなかった。無目的に歩いているように見せるのが散歩番組だとはいっても、本当に無目的では困るわけだ。

 いや、見ている側にとって、別に困ることはないか。前言撤回。蛭子の言動を笑いながら見た僕にとって、今回の相席旅に対する感想は次の一言に尽きる。極上! ――なるほど、これは使い勝手のいい言葉だ。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

最終更新:2019/07/09 14:00
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