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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『チコちゃん』「汚物は“滅菌だ~!!」
『チコちゃんに叱られる!』レビュー

『チコちゃんに叱られる!』かの名ゼリフ「汚物は消毒だ~!!」より「滅菌だ~!!」の方が非道である学術的理由

殺菌・滅菌・除菌・抗菌…正しい使い分けは潔癖症の人でも難しい?

 この日最後の問題は、「殺菌・滅菌・除菌・抗菌ってなにが違うの?」だった。新型コロナウイルスに関連する、今の時代にぴったりなテーマだと思う。確かになんとなく違うのはわかるけど、深く考えたことのなかった4語である。中でも、殺菌と滅菌の違いが難しそうだ。

 チコちゃんが発表した答えが傑作だ。「殺菌は菌を殺すこと、滅菌は菌を完全に殺すこと、除菌は菌を取り除くこと、抗菌は増えないようにしている」である。漢字の説明そのまんまじゃない!

 詳しく教えてくれるのは、日本環境感染学会の木津純子先生だ。曰く、一般的な製品に書かれた殺菌・滅菌・除菌・抗菌の表示は、様々な法律や規約によって定められている。基本、菌やウイルスは何もしないとドンドン増えていくが、その菌やウイルスにどのような効果を与えるかで表現は分かれてくるのだ。

 まずは、「殺菌」から確認していこう。文字通り、菌を殺すことを殺菌と言う。中でも、主に病原菌など有害な微生物を殺すことを消毒と呼ぶ。私たちが手の消毒によく使っているアルコールのスプレーは、手に付いている菌の中にアルコールが入り込み、殺すことで手が綺麗になるという原理だ。我々の手には目に見えないほど小さな細菌や微生物が無数に存在しており、その中には人間に悪影響を及ぼすものもいる。そこにアルコールのスプレーを吹きかけると、細菌より小さなアルコールの分子が細胞膜に入り込み、その膜を壊して中身を溶け出させたり、中にあるタンパク質や器官を変化させて栄養を取れなくさせたりして殺すのだ。

このように、アルコールで殺菌できるということまではわかっているのだが、なぜそういうことが起きるのかはまだわかっていないらしい。これは衝撃的……私たちは、よくわからない物を使って殺菌しているということだ。

 続いて、「滅菌」。これは、ほぼ全ての微生物を完全に殺すことを言う。例えば、高温で熱したり、特殊なガスを使うことで限りなく無菌に近い状態にできる。そうすることで、医薬品や医療器具を清潔に使えるのだ。

 次は、「除菌」について。これは、細菌を取り除いて活動を抑えることを言う。菌の活動を抑えることなので、つまり菌が生き残っている場合もある。例えば、除菌のウェットティッシュは直接細菌を拭き取って数を減らしたり、拭き取った後もウェットティッシュに含まれた薬品の成分で細菌の増殖を抑える効果がある。しかし、きちんと拭けていなかったり、薬品の影響を受けずに細菌が生き残る可能性があるので、こまめに除菌することがオススメだ。また、拭き取ったウェットティッシュをそのままゴミ箱に捨てると、乾いたときに菌やウイルスが飛び散ることがあるということも強調しておきたい。

「できれば、ビニール袋などに入れて封をしっかりと閉めてからお捨てになるといいですね」(木津先生)

 今という時代ならではの、ありがたいアドバイスだ。ただ最近、そのビニール袋が有料になってしまったのが辛いところだ。

 最後は、「抗菌」だ。これは菌の増殖を抑えることを指す。学術的には、殺菌や除菌と言った全ての菌に対する効果を「抗菌」と表現するのだが、私たちがよく使っているのは「抗菌加工された製品」のケースだ。抗菌加工の製品には細菌が嫌がる成分が含まれており、その表面で細菌の増殖を抑えることこそが目的。例えば、銀や銅などで抗菌加工されたものは金属中のイオンが細菌のタンパク質と結び付き、活動を抑えると言われている。しかし、抗菌加工の製品は増殖を防いでも表面に菌がいる可能性があるため、しっかり洗うなど清潔に保つ必要がある。

「何か違うんだろうな」と漠然と捉えていたことが、今回の解説でかなり理解できた。今だから知っておくべきテーマだと思う。ざっくり要約すると、滅菌>殺菌>除菌>抗菌で、滅菌が最強だ。今まで、筆者は、「滅菌>殺菌」は逆だと思っていた。ということは、漫画『北斗の拳』の名ゼリフ「汚物は消毒だ~!!」は、「汚物は滅菌だ~!!」と言ったほうが、非道なんだな……。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/07/17 17:47
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