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『チコちゃんに叱られる!』なぜ、年をとるとアイドルの顔が全部同じに見えるのか? 71歳の大竹まこと「もっと年寄り連れてこいよ!」

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『チコちゃんに叱られる!』(NHK)

 7月31日放送『チコちゃんに叱られる!』(NHK)のゲストは、初登場の小堺一機と、今回で2回目のゲスト出演となる中川翔子の2人だ。

自分の年齢について「レベル35(35歳)になりました!」と発表する中川に続き、「レベル64(64歳)なんですよ」と明かした小堺。この日最初のテーマで回答者に指名されたのは小堺で、彼に出題されたのはまさに年齢にまつわる問題だった。

大竹まこと、“イケメン神経衰弱”に手こずる

チコ 「小堺さんは、若いアイドルの顔とか覚えられてます?」
小堺 「昔、僕が中学くらいのとき、おじさんはタイガースとテンプターズの区別がつかないわけ。『何言ってんだ、こいつらは!?』と思ったけど、自分がそうなりましたね」

 そんな小堺に出題されたのは、「なんで年をとるとアイドルの顔の区別がつかなくなるの?」だった。答えに窮する小堺だが、彼の相棒の関根勤(レベルは66)だったら、今でも年齢に負けず、若い女性タレントの顔を区別している気がする。

 気になる正解を発表する前に、ある実験が始まった。6人の男性アイドルを被写体にし、髪型や雰囲気を変えて2枚の写真を撮影。それをバラバラにして、どれとどれの写真が同一人物かを当てる“イケメン神経衰弱”が行われたのだ。全てのペアが揃うまでの時間を計測するというのが、実験の内容である。
 
 これを20代が行うと、みんな1分ほどで区別できてしまう。では、年を重ねるとどうか? というわけで登場したのは、71歳の大竹まことだ。“高齢者代表”の大竹は、この神経衰弱をクリアできるのか? 結果、「わかんねえよ~」と言いながら、区別するのに6分18秒を要した。やっぱり、若者より時間がかかるんだな……。

「もっと年寄り連れてこいよ! 女の顔だったらね、30秒で揃ったと思うよ」(大竹)

 それにしても、年をとるとどうして若い人の顔の区別がつかなくなるのか。興味がなくなるから? 最近は、若者の髪型がみんな似ているから? ……どうやら、そういうことじゃないらしい。チコちゃんが発表した答えは「顔が外国人のように見えるから」だった。

 日本人の多くは、外国人の顔を見ても区別がつきにくい。これは、若い人の顔の区別がつきにくくなるのと似た現象だそうだ。我々が人の顔を区別するとき、目で見た視覚情報は脳の一番後ろにある第一次視覚野というところへ送られる。そこから、人の顔に関する情報が脳の一番下にある紡錘状回という場所に送られ、過去に見た顔の照合、その人がどんな人かといった情報を詳細に分析する。この紡錘状回で起こっている「人種効果」という特殊な現象が、若い人の顔の区別がつかなくなることに関して大きな関わりをもってくる。

「人種効果」とは、自分と同じ人種の顔を他の人種の顔より早く正確に認識する現象のこと。日本人は、小さい頃から日本人の顔をたくさん見て育つ。そのとき、脳内の紡錘状回では日本人の顔を基準とした顔の認識空間が作られる。例えば、生まれてから日本人の家族と暮らし、普段の生活で日本人と接することが多い子どもの場合、認識空間の中心には日本人の顔が集まり、接点の少ない外国人の顔は外側に分布される。このとき、中心に近い顔ほど正確に素早く認識することができるのだ。ところが、中心から遠いと判断が雑になり、顔の区別に手こずってしまう。多くの日本人にとって生活空間で目にする機会が少ないであろう外国人の顔は、認識が遅れる傾向にあるのだ。……ということは、多民族国家に育った子どもってどうなるんだろう? もっと言えば、狼に育てられた子どもは人間の顔自体を判別できないのかしら。

 さて、ここからが本題。なぜ、同じ人種であっても、年をとると若い人の顔の区別がつかなくなるのか? 理由は簡単。年をとると、付き合う人がほとんど同じ年齢層になる。つまり、若い人の顔を見る機会が激減する。要するに、顔の認識空間の中心には同じ年齢層の顔が集中するということ。そして、接する機会が激減した若者の顔は中心から離れたところに分布される。結果、年をとると、脳内では外国人の顔と同様、若い人の顔も区別がつかなくなってしまうのだ。

じゃあ、逆に若者は高齢者の顔の区別はつきにくいのだろうか……? 大竹まことがやった神経衰弱を、高齢者の写真を用いて若年層にも行ってみてほしかった。あと、あだち充の漫画のキャラクターの見分けがつきにくいのは、きっと人種効果とは全く関係ない話だろう。

「死にかけのマリモ」と言われた小堺一機、ボケがオシャレ過ぎる

 続いての問題は、「マリモはなんで丸いの?」という疑問。かつて、明石家さんまから「死にかけのマリモ」「テニスコートに10年置いてあったテニスボール」と呼ばれたことのある小堺はこう答えた。

「マリモっていっぱい一緒にいるでしょ。四角いと動けなくなっちゃうからじゃないですか? Like a Rolling Stone」(小堺)

 恐らく、「A Rolling Stone Gathers No Moss」(転石苔を生ぜず)という英語のことわざからインスパイアされたボケなのだと思う。小堺のギャグはいちいちオシャレだ。

 実は、マリモには丸くないものもある。丸いマリモを2つに切ってみると、内部は繊維状の藻がギッシリと詰まっている。この繊維状の藻の1本1本がマリモという生物なので、必ずしも丸い形というわけではない。小さな塊で水中を漂っているものや、苔のように岩にくっついているものなど、日本各地の湖には色々な形のマリモが住んでいる。そして、そのほとんどが丸くないのだ。

 でも、多くの人はマリモは丸いと思っている。その理由は、世界最大のマリモの群生地である北海道の阿寒湖のマリモが丸いから。阿寒湖には直径10センチメートルを超す丸いマリモが大量に生息しており、中には30センチメートルを超す大型のマリモもいる。これだけ大きなマリモがたくさん生息しているのは、世界でも阿寒湖だけ。1952(昭和27)年に国の特別天然記念物に指定されるなど、阿寒湖の丸いマリモは“マリモの代表”になった。しかも、日本で初めてマリモが発見された場所も阿寒湖である。そのときのマリモが丸かったので、ボール状の藻を意味する「マリモ」という名前が付けられたと考えられている。

 阿寒湖のマリモが丸くなるのは 次の3つの要素が奇跡的に重なったからだと考えられている。

(1)遠浅の湾
 阿寒湖は激しい火山活動の結果、他の湖に比べて入り組んだ地形をしており、そこに川からの土砂が流入することで遠浅の地形が生まれた。マリモは植物なので、成長には太陽の光が不可欠。そして、深い底よりも浅いほうが光は届きやすい。だから、阿寒湖のマリモは大きく成長しやすい。

(2)風
 阿寒湖では、日照時間の長い夏場に湖の南から北にかけて強い風が吹く。この風と遠浅の湾が生み出す絶妙な波によって、マリモは丸くなるために不可欠な運動を起こしている。その場に留まりつつ、波の力で回転しているのだ。阿寒湖に吹き込む風と浅い水深が相まって、マリモが流れない絶妙な加減の波を生まれているということ。回転することで全体で太陽の光を浴びることができるため、満遍なく成長する阿寒湖のマリモは真ん丸な形に育っていくのだ。

(3)水草
 阿寒湖の湖底には、マリモ以外の生物も生息している。中でも、マツモという水草はマリモの天敵だ。この水草はマリモよりも背が高いので太陽の光を遮り、マリモの成長を止めてしまう。さらに、水草が増えることで波の力を遮り、マリモの回転運動も弱めてしまう。

 ところが、阿寒湖に台風のような大きな嵐が来たとき、水草に対抗し得るマリモの大きな武器が効力を発揮する。それは、マリモの丸い形状である。水草は根を張って生きている。しかし、波の力を受けやすい浅瀬部分で嵐が起こす強い波にさらされると、根が取れて流されてしまうこともある。湖岸に打ち寄せられてしまった水草は、もう生きていくことができない。しかし、マリモは根を張らないで丸い状態で生活しているため、多少、波に流されても生き残ることができるのだ。

 このように、阿寒湖特有の遠浅の湾では、マリモと水草による生存競争が行われている。そして、数年に1度の周期でやってくる嵐を利用して、マリモは“丸い”という武器を使って水草に対抗している。つまり、マリモはライバルである水草との生存競争に勝つために丸くなったと言えるのだ。

 ただ、本当に強い嵐のときには、丸いマリモも波の力でバラバラに壊されてしまう。でも、小さくなったらなったで波の力をやり過ごすことができる。浅瀬で暮らすことができるようになるのだ。そこからまた、浅瀬で回転運動をし、たっぷりと光を浴びて、マリモは再び丸く大きく育っていく。壊れても再生する、そんな輪廻がマリモにはあるのだ。

チコちゃんは鶴瓶を何て呼ぶ?

 この日最後のテーマは、「お肉といえばなんで西日本は牛肉、東日本は豚肉?」という疑問。チコちゃんが発表した正解は、「西が公家、東が武士だったから」だった。

 東日本は豚肉、西日本は牛肉。両者の違いは、武士と公家が生活の中で使っていた動物の違いが大きく影響しているという。今からおよそ1400年前、飛鳥時代から平安時代まで、日本の中心は奈良・京都など公家が中心の社会だった。その当時、西日本で仕事をしてくれる動物として使われていたのが牛だ。牛は縄文から弥生時代に水田技術と共に伝わったとされ、力が強くてゆっくり動くため人々が扱いやすく、農耕や公家の移動を手伝う動物として重宝されていた。

 でも、東日本で牛は広まらなかった。その理由は、運ぶ輸送手段がなかったから。東日本へ運ぶ途中には日本アルプスの高い山や、静岡県を流れる大きな川がたくさんあるので難しかった。さらに、関東は富士山の火山灰が積もる痩せた土地だった。大量に牧草を必要とする牛を育てる土壌じゃなかったのだ。

 では、東日本では何の動物が飼育されたのか? 平安時代の後期から鎌倉時代に変わった段階で、政治の中心は京都から関東に移った。公家の社会は西に残り、武士の社会が東の中心になっていく。このときの移動手段として利用されたのが馬だ。当時は、幕府に何かあればいち早く駆けつける「いざ鎌倉」の時代。何よりも早い移動手段が馬であり、戦でも活躍する。武士にとって、馬は無くてはならない存在だった。さらに、牛と比べて胃袋が小さい馬は、草の少ない関東でも飼育ができるし、農業にも活躍した。鎌倉時代の書物には、「馬の産地は東日本で、牛の産地は西日本に多かった」と書かれている。

 ただ、人はまだ牛も馬も食べていない。日本は飛鳥時代に伝わった仏教の影響で、動物を食べることを度々禁じられていた。基本的には、明治時代になるまでのおよそ1200年間、食肉は禁止だったのだ。そんな中、西日本は牛、東日本は豚ではなく馬という土壌ができ上がった。一応は豚もいたが、農耕や移動手段の役に立たない豚は、食肉禁止の時代では用途がなかった。

 そして時が経ち、江戸時代末期には開国によって日本に外国人が押し寄せた。食肉文化の外国人たちが日本で肉料理を楽しむと、文明開化の象徴として横浜などで食肉が流行。1862(文久2)年には横浜に初の牛鍋屋ができたり、福沢諭吉が「牛肉は滋養に良い」と言ったこともあって、牛鍋が流行。こうして、日本中に牛肉を食べる文化が広まったのだ。

 では、豚を食べる文化は? 1872(明治5)年には政府主導のもと、西洋式の養豚法が取り入れられたが、牛肉に対抗するほどには広まらなかった。その後、1894(明治27)年に日清戦争、1904(明治37)年に日露戦争と、日本は戦争状態に突入する。このとき、軍隊の食料に採用されたのが牛肉の缶詰だった。これを機にたちまち牛肉は品薄になり、価格は高騰。牛の産地がある西日本はまだしも、東日本にも牛肉が出回らなくなる。このピンチを救ったのが豚だった。豚は雑食性の動物なので、どんなものを食べてもどんどん早く大きくなっていく。残飯が多かった都市部に豚の雑食性がマッチしたのだ。さらに、豚肉料理の定番であるカツレツやトンカツなどが誕生し、豚肉の需要はうなぎ登り!

 そして、豚肉の広がりを決定づけたのは1945(昭和20)に終戦を迎えた日本の食糧事情だった。国民に栄養の高い肉を提供しようとしたとき、キーポイントになったのが豚肉の存在だったのだ。豚が食肉として育つまでにかかる日数は6か月。つまり、牛の5分の1なのだ。年に20~30頭も産む優れた繁殖力も注目され、茨城や千葉に次々と畜産試験場が建てられた。こうして、安く大量に生産できる豚は東日本に広まっていったのだ。一方、西日本ではすでに牛肉の文化が定着している。豚肉の食文化が入り込む余裕は、もう西にはなかった。こうして、西日本は牛好き、東日本は豚好き文化が完成した。

 こういう歴史を知ると、色々と合点が行く。関東では「肉まん」と言うけど、関西では「豚まん」と呼ぶことも腑に落ちた。食肉文化が根づいてから広まった豚は、まるで食べられるために生まれてきたかのようだな……。

 ただ、チコちゃんが発表した「西が公家、東が武士だったから」という答えだけは納得いかない。牛肉文化も豚肉文化も、定着したのは明治以降だ。この頃になると、もはや公家も武士も関係ない。特に、東の武士は豚肉文化定着には全く関係なく、それよりも戦争による食糧難が直接の理由である。そこは物申したい。

 ちなみに、今日放送の『チコちゃんに叱られる!』のゲストは、フワちゃんとヒロミ。濃い2人だ。また、再来週放送の「100回記念拡大スペシャル」のゲストが凄すぎる。なんと、笑福亭鶴瓶と天海祐希だ。豪華! そういえば、鶴瓶は7月16日にInstagramで、チコちゃんとのツーショットをアップしていた。果たして、チコちゃんは鶴瓶のことをどう呼ぶのだろう? やはり、本名の「駿河くん」か。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/08/07 17:45
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