映画『メグライオン』主演権を500万円で買った一般女性　元手はアイドルへの“推し活”資金

個性溢れる共演陣…500万円でここまでできる？

　本作の脚本は長谷さんのキャラクターを踏まえ、河崎監督が当て書き。会社でお局様や後輩から疎まれるさえないおばさんOLが、宇宙の王子様から求愛されるシンデレラストーリーとなっている。

　素人とは思えない達者な演技を披露した長谷さんだが、制作面は全て河崎監督にお任せしていたようだ。

「私からは「見る方が可哀想なので脱ぎません」ということだけお伝えしました。30年くらい前、私が20代の頃に『地球防衛少女イコちゃん』という衝撃的な作品があったんですけど、いまだに同じテンションで作品を撮り続けている監督を全面的に信頼して。演技に関しては無我夢中でしたね。共演者のみなさんも褒めてくれたんですが、「私がお金出しているから誉めているだけだよね？」と（笑）。ずっと卑屈なこと考えていました」（長谷さん）

　また、アイドルグループ『マジカル・パンチライン』の浅野杏奈、『５時に夢中!』(TOKYO MX)の人気者ジョナサン・シガーや岩井志麻子といった、個性的なキャストが脇を固めている点も本作の見どころ。

「相手役のジョナサン・シガーさんはこっちが申し訳なくなるくらいのイケメンでしたし、浅野杏奈ちゃんもすごく可愛くて演技も上手で感動しました。でも、元がアイドルオタクだから無銭で写真を撮ってはいけないという遠慮もあって、撮影期間中は写真を全然撮らなかったんですよ。敵役の渡辺裕太さんが最後に「一緒に写真撮りましょう」と声をかけてくれて感激しました。「この人、前世でどんな徳積んでるんだよ！」と」（長谷さん）

　500万円の出資は十分すぎる課金だと思うが、長谷さん曰く「それは別！」らしい。

　ちなみに長谷さんは『メグ・ライオン』撮影後、河崎監督作の『三大怪獣グルメ』にも出演している。“キャスティングの妙”でも知られる河崎監督に、オーディションの際に重視しているポイントを聞くと次のように語った。

「役に合うかどうかだけですね。オーディションとかで僕はよく言うんですけど、落ちた人も本当にたまたま今回の役に合わなかったというだけで。みんな何回も落ちるうちに辞めちゃうんですが、変に凹んだり諦めたりしないでいろいろチャレンジすればいいんです。役者業も監督業も、なんでもそうだと思いますよ」（河崎監督）

　怪獣作品で欧州など海外のマニアにも高い人気を誇る河崎監督。YouTubeにアップされた本作の予告編はそうした熱心な海外ファンの間でも話題のようだが、９月４日の全国公開に併って2人は舞台挨拶も控えている。

「福袋を買った時点では上映会を１回やってDVDつくって終わりと聞いていたので、何が起きているんだと思っています。今までの自分の人生で起きないようなことばかりで。『メグ・ライオン』の撮影がひと段落した後、少し病気を患ってしまって仕事をやめたんですけど、貴重な経験ができて楽しいです。緊張する機会も多いですが、たくさんの人に観てほしいですね」（長谷さん）

『メグ・ライオン』は一般鑑賞料金1000円で、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほか全国で公開。

　もしヒットすれば長谷さんにも収益が分配され、出資金を回収できる可能性もあるとのことで、推しアイドルが活動を辞めた喪失感から再生していく長谷さんのサブストーリーと併せて、ぜひチェックしてみてほしい。

映画『メグ・ライオン』
監督：河崎実　製作・主演：長谷摩美
出演：浅野杏奈（マジカル・パンチライン）／ジョナサン・シガー／渡辺裕太／岩井志麻子ほか
＜2020年／日本映画／カラー作品／52分＞
企画協力：株式会社三越伊勢丹　松竹ブロードキャスティング株式会社 製作：リバートップ（https://rivertop.co.jp/） 配給：TOCANA（https://tocana.jp/）

©ロングキャニオン2020 2020年9月4日（金）ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ他にて全国ロードショー！