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宏池会(岸田派)の憂鬱

菅内閣誕生の裏で評価爆下がりの岸田氏 張りぼての総裁選2位で見えた危うい立場

菅内閣誕生の裏で評価爆下がりの岸田氏 張りぼての総裁選2位で見えた危うい立場の画像1
写真Pool / プール「GettyImages」より)

 2020年9月16日、菅義偉内閣が発足した。2日前の14日、投開票が行われた自民党の総裁選では菅義偉氏が国会議員票と地方票とも圧倒し、有効票534票の約7割にあたる377票を獲得し大勝した。2位につけたのは89票を獲得した岸田文雄政調会長。3位の石破茂元幹事長に21票の差をつけた。トーンに若干の違いは見られたものの、各報道機関とも石破に競り勝った岸田が、将来の総理総裁への挑戦権を維持したかの論調で書き連ねていた。

 もともとこの総裁選、自民党内7派閥のうちの細田、麻生、二階派ら5派閥の支持を取り付けた菅の圧勝は投票前から織り込み済みで、焦点は誰が2位につけるかに絞られていた。

 国会議員票だけ見れば、岸田派の47人と石破派の19人では28人の差があり、岸田派の優位は最初から明らかだった。加えて、岸田派はかつて同じ派閥に属していた谷垣禎一元総裁のグループ(有隣会)からの票も見込めたので、基礎票だけで55票程度は事前に確保していた。

 そうした状況下なれば、石破が頼みの地方票に望みをかけるのは必然的な流れだった。一方の岸田も最初から勝敗を度外視された総裁選であっても、将来の総裁候補となるためには、ある程度の地方票を獲得し全国レベルでの支持の広がりを示すことは求められていた。

 各都道府県に3票ずつ割り当てられた地方票141票は菅が89票(得票率63.1%)を獲得したが、石破も42票(同29.8%)を獲得し一応の意地を見せた。一方で岸田が獲得した地方票はわずか、10票(同7.1%)だった。

 票が回ったのは山形、福島、山梨、広島、香川、長崎、熊本の7県のみ。岸田の地元・広島で3票総取りしたのと、16年に亡くなった、かつて宏池会(現岸田派)を率いた堀内光雄の地元・山梨で2票獲得したのを除き、残る5県からは1票ずつ獲得したに留まった。法務大臣として今回再入閣した上川陽子を筆頭に、同派議員が複数いる静岡では一票も取れなかった。

自民党内ですべてに優先された石破潰し

 永田町内の数の論理はともかく、これだけ全国での知名度が低い(ありていに言ってしまえば人気がない)岸田が首相になった場合、果たして選挙に勝てるのかという当然の疑問が出てくる。まだ総裁選が終わったばかりで、岸田派内の誰もが表立った批判は控えるだろうが少なくとも、自民党の他の派閥からは「将来、岸田で大丈夫なのか?」という素朴な疑問は当然湧き出てくる。

 今回の2位確保にしても、なんとか集めた議員票79票によるところが大きかった。岸田本人が各議員に対し電話で支持を訴えるなど、なりふり構わぬ姿勢で支持獲得に動いたことが功を奏したようだが、総裁選の前から、反安倍を主張してきた“石破潰し”のために、「菅氏を支持する5派閥からある一定票を融通する」ということもささやかれていた。安倍前首相自身、安倍政権への批判を繰り返す石破氏の勝利を阻止することを最重視していた。

 岸田に対しては勝負が最初から見えていた今回の総裁選に、「出馬見送りすべき」との声も一部からは上がったが、安倍首相に諭されて出馬を見送った18年に続く不出馬となると、「流石に派内の維持を保てない」と、負けを承知の勝負に岸田は出た。

 岸田にとって、今回の総裁選は将来の総裁への芽を残すという大義名分の前に、自身の派閥会長の座を維持するためにも2位確保は必要最低限のラインだった。

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