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ナイツ・塙が語る“テクノ漫才”と、その効用「途中でなんで笑ってるのかわかんなくなってくるっていう」

ナイツ・塙が語るテクノ漫才と、その効用「途中でなんで笑ってるのかわかんなくなってくるっていう」の画像1
ナイツ塙Twitterより 

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(9月13~19日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ナイツ・塙「YMOを漫才にできないかなと思ったんですよ」

 ゲストが自身の偏愛を語る特別番組『B面ベイビー!』(NHK Eテレ)。その17日の放送で、ナイツの塙宣之がYMOを語っていた。塙は言う。

「YMOが一番好きだから、YMOを漫才にできないかなと思ったんですよ」

 坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏によって結成され、1980年前後に活躍したYELLOW MAGIC ORCHESTRA、略してYMO。活動期間の短さにもかかわらず、テクノ・ミュージックで音楽シーンに大きな影響を残したグループとして今でもたびたび回顧される。

 1978年生まれの塙自身は、YMOが活躍していた時代とは世代が少しズレている。しかし、電気グルーヴのラジオを聴いていた兄(芸人のはなわ)の影響もあり、YMOの音楽に出会ったという。ファミコンの音楽も好きだった彼は、そのテクノ・サウンドにすぐにハマったらしい。

 そんな塙によれば、ナイツの代名詞ともいえる”ヤホー漫才”は、YMOの音楽に発想を得て作られたものだった。2007年にPerfumeが『ポリリズム』でブレイクしたころ、もう一度YMOを聴き直してみた塙。そのとき改めてYMOが大好きだと気づいた彼は、この音楽を漫才に転用できないかと考えたという。

 一定のリズムで無機質な電子音が鳴り響くテクノ・ミュージック。このイメージをもとに、小ボケを一定のリズムで淡々と重ねていく”ヤホー漫才”が生まれた。番組の進行役を務めるスチャダラパーのBoseと塙は語る。

塙「普通の漫才だったら4つぐらいボケたときにツッコミが『お前小ボケ多すぎだろ』って止めちゃうんですよ。だけどそれを止めないことで、ループすることで、聴いてる人が…」

Bose「グルーヴなんですよね。どんどん気持ちよくなってきて、途中でなんで笑ってるのかわかんなくなってくるっていう」

塙「そこが狙い。うねりを起こすというか」

 なるほど、ナイツが小ボケを繰り返し、その流れを止めずに横の土屋伸之が訂正していく。その機械的なリズムはテクノのようだ。笑いと音楽の融合とでも言えようか。

 それにしても、浅草の演芸場に立ってきたナイツの漫才が、対極にあるように見えるYMOの音楽と結びつくのが面白い。いや、西洋が解釈する東洋の音楽を東洋人が西洋のリズムや技術を用いて再演する、みたいな洋の東西の越境をYMOはやっていたと批評されることがあるけれど、そうだとすると両者の結びつきは案外対極ではないのかもしれない。

 なお、上のヤホー漫才誕生に関する秘話にはこんなオチもつく。テクノのイメージを元にヤホー漫才を練り上げていったナイツ。2008年、初めてM-1グランプリの決勝に進んだが――。

「思いっきりテクノカットの(オードリーの)春日に負けた」

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