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年末特別コラム【六代目山口組vs神戸山口組 2020】

六代目山口組分裂騒動の戦況を一変させた「髙山清司若頭の存在感」

文=沖田臥竜(おきた・がりょう)

圧倒的存在感を示した髙山若頭

六代目山口組と、2015年にそこから割って出た神戸山口組の対立は、今年大きな動きを見せ、六代目山口組の優位が確定的となったといえる。この状況に導いたキーマンといわれるのが、六代目山口組の髙山清司若頭である。「山口組の指揮官」と称されるほどの圧倒的なリーダーシップと、一歩も怯むことがない強気なスタンスで分裂騒動の戦況を一変させた髙山若頭とはどんな存在なのか?
山口組分裂問題をウォッチし続け、独自のネットワークから業界内外の情報を発信してきた作家の沖田臥竜氏の特別寄稿第二弾。

誰よりも強い、司組長への忠誠心

 六代目山口組が発足された2005年。当時、二代目弘道会の髙山清司会長が、山口組の若頭に就任したことに違和感を持つ関係者は少なからず存在していた。その理由は、当代である司忍組長とナンバー2である若頭が同じ弘道会が出身母体であることに、身内贔屓があるのではないかとする危惧が生じたからといえるだろう。

 これまでの山口組の長い歴史の中でも、当代と若頭が同じ出身母体であった例はなかったことが、そうした違和感に拍車をかけていたのかもしれない。だが当時、ある組長がこのように口にしていた。

 「なぜ、司の親分が髙山若頭を登用したのかわかるか? それは髙山若頭が誰よりも司の親分に忠誠心があるからだ」

 ヤクザ社会には、資格や免許などといったものは存在しない。ましてや雇用契約などといった類いのものも一切ない。ただ、契約なんかよりも重い、盃を交わすのみである。その盃を交わせば、親の言うことは絶対となるのだ。ヤクザになるとは、そういう生き方を選択するということであり、所属する組織は就職先ではない。基本的には、盃を交わすことで組織の一員として認められるものの、食い扶持は自分で探してこなければならない。

 そうした関係性の中で、親は子に対して、時に長い懲役に行かすこともあれば、損な役回りをさせることもある。賃金が発生しない身体の拘束など当たり前で、どれだけ稼ぎが悪かろうが、組に納めなければならない会費だって存在する。

 例えば、気持ちだけでは、賃貸契約を結んだ住居の家賃が払えず、いずれ追い出されるように、気持ちだけでヤクザを続けていくことはできないのだ。それは、ヤクザ社会独自の概念となるのだが、そのような一種特種な世界であるからこそ、最終的に大事なのは忠誠心となってくるのだ。

 司組長が六代目山口組組長に就任した際、すでに5年4カ月余の受刑生活が目前に控えていた。その期間、留守を預かるのは、若頭を中心とした六代目山口組の執行部と呼ばれる最高幹部の親分衆だ。そうした背景を考えても、髙山若頭が適任だったということではないだろうか。そして、髙山若頭は、その任務を果たし、司組長の留守を守りきってみせたのだ。

 それが司組長のため、山口組のためと思えば、いっさいに妥協はなかった。別格扱いされていた親分衆にさえも、粛清と言われるほどの厳しい対応をし、豪腕ぶりを見せつけたのだ。それは末端の組員に至るまで伝播され、畏怖されるほどであった。それが後に、神戸山口組が発足理由の一つに掲げた「恐怖政治」ということに繋がっていくのではないだろうか。末端の組員まで、髙山若頭のことを話題にしてはいけない雰囲気が充満していたのだ。

 それはもしかすると、のちに六代目山口組を割って出ることになる親分衆には、違った形で蓄積されていたのかも知れない。結果、髙山若頭が府中刑務所に収監されて間もなく、六代目山口組は分裂することになったのだった。

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