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年末特別コラム【六代目山口組vs神戸山口組 2020】

なぜ、六代目山口組は神戸山口組を圧倒したのか? あまりに強固だったヤクザの秩序と盃の重み

文=沖田臥竜(おきた・がりょう)

神戸山口組・井上邦雄組長

2015年に前代未聞の分裂という事態に見舞われた山口組。それから5年が経過した今年、状況は大きく変わった。六代目山口組と神戸山口組という対峙する勢力の優劣が決定的になったのだ。同じ菱の代紋を掲げる両組織の明暗を分けたのはなんだったのか?
山口組分裂問題をウォッチし続け、独自のネットワークから業界内外の情報を発信してきた作家の沖田臥竜氏が考察する。

世間の関心を呼んだ「お家騒動」

 山口組の分裂問題が勃発してから5年が経過し、ここに来て、六代目山口組神戸山口組の勢力の差は一目瞭然となっている。

 当初は優勢にさえ見えた神戸山口組は、いつを境に衰退することになったのか。そして、そのきっかけはなんだったのか。

 その原因は、やはりヤクザ社会の伝統やしきたりが強固だったということだろう。一般社会に守るべき秩序が存在するように、それはヤクザ社会においても当然存在する。その最たるものが「盃」だ。盃を交わした者同士の関係性は絶対であり、それに背くことがまかり通ってしまえば、必然的にこれまで守られてきたヤクザ社会の秩序は根底から揺らぐことなる。

 その揺らぎは、ひいては山口組のみならず、他団体にまで影響を及ぼしかねない。ましてや、山口組は日本最大のヤクザ組織だ。そうした経緯を考慮しても、盃をないがしろにした神戸山口組が存続するのは、発足当初から非常に困難と見られてきた。だが、そんなことは十分に認識した上で、神戸山口組は立ち上がったはずだ。

 そして、当初イニシアチブを握ったのは、メディアの後押しもあって神戸山口組だった。普段、ヤクザの話題など報じないマスコミも分裂問題を連日のように取り上げた。判官贔屓という国民性もあるのか、メディアや世間の空気が、神戸山口組の勢いに拍車をかけているようにも見えた。

 しかしなぜ、反社会的勢力として、社会から忌み嫌われる存在であるはずのヤクザに関心が集まったのか。連日、この問題をテレビで放送し続けたワイドショー関係者はこのように話す。

 「私たちの番組は、日中に放送ということもあり、主婦層が圧倒的に多い。その層が興味を持ったんです。理由は、山口組の分裂問題をお家騒動として見ていたからでしょう。歌舞伎や狂言、舞踊などの歴史ある名家に起こるお家騒動ネタは鉄板で受ける。山口組もいわばヤクザ社会における名門です。そして、暴力の存在。日本という国は他国と比較しても、極端に暴力的な行為が否定されています。コンプラ重視な最近の風潮ではなおさら。だからこそ、それを堂々と売りにしている暴力団、つまりヤクザに多くの人が興味を持ったんです」

 だが、徐々にメディアが分裂問題を取り上げる回数が減り、世間の関心が薄らいでくると同時に、六代目山口組の巻き返しが始まっていった。

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