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『ボス恋』唐突な“コント化”に視聴者置き去り…盛り上がりに欠ける最終回はどうなる?

『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』公式サイトより

 上白石萌音主演の『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』(TBS系)が、いよいよ次週で最終回を迎える。3月9日に放送された第9話の世帯平均視聴率は12.0%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)と前回から微増してかろうじて過去最高を記録したが、ストーリーとしては尻すぼみ感が否めない。たしかに潤之介(玉森裕太)などの胸キュンシーンに申し分はないものの、話自体の奥行きのなさを補おうとしているのか、無理な演出が目に付くようになってきてしまった。今回それが際立っていたのがファッション雑誌「MIYAVI」編集部の“コント化”だ。

 これまでにも、主人公の奈未(上白石萌音)の空想の世界で潤之介が犬化するなど、コメディ感のある演出はあった。それらはラブストーリーに胸キュンを求める視聴者への立派な「見せどころ」であり、玉森という人選もおおいに生きていた。さらに奈未というキャラクターの恋心や葛藤をストレートに表現することで、ドラマへの没入感も増していたように思う。

 だが、今回は違う。第9話で編集長を辞めた麗子(菜々緒)が行方不明と聞かされていた奈未だったが、社内書類のサインから、麗子が備品管理部に異動してその有能さから“救世主”的な扱いを受けていると知る。編集部では「ボス奪還作戦」が開かれ、と戻ってきてもらおうと奮闘するのだが……。

 間宮祥太朗演じる“ドS先輩”こと中沢が、遥(久保田紗友)と和美(秋山ゆずき)を引き連れて備品管理部に乗り込み土下座するも、備品を大量に乗せたカートに遮られ不発。副編集長の半田(なだぎ武)を担ぎ上げた下手な寸劇を麗子の前で披露し同情を誘おうとするも素通りされるなど、これまでの仕事ができるキャラクターとして描かれてきた編集部の面々のあまりにもお粗末な作戦の数々に、笑いを誘われるというよりは興ざめしてしまった人も多いのではないだろうか。

 その後、自分の仕事に対する気持ちを確認した奈未が潤之介のプロポーズを断るシーンは切なく、視聴者たちもSNSで感極まっていた。しかし麗子と宇賀神(ユースケ・サンタマリア)の恋愛も回想のみであっさりと終わり、ラストで涙する奈未に中沢が再アプローチしてきたものの、今さら二人がどうなるとも思えない。ストーリー的な盛り上がりがあまりないため余興のように挟まれたコントも不発気味。スタート時こそお仕事ドラマとしての醍醐味があったが、恋の行方に収束しつつある展開に「最終回、絶対に見なきゃ」というような引きに欠けると言わざるを得ないのだ。

 第9話では、奈未と麗子がそれぞれの夢を追いかける覚悟を決めた。その影で、カメラマンという好きな仕事も、奈未という大事な人もすべて諦めるという不憫な境遇が続いているのが潤之介だった。強いて言えば最終話で、彼にどんな未来が待っているのかは気になる。

■番組情報
火曜ドラマ『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉ほか
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデュース:松本明子
音楽:木村秀彬
主題歌:Kis-My-Ft2 「Luv Bias」(avex trax)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/BOSSKOI_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/03/16 18:30
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