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国軍もスー・チーさんも呪術を信じる? クーデターで混乱するミャンマーの政治は“黒魔術”が関係している!

クーデターの日時決定に占星術師が関与

――最大都市ヤンゴンの中心街には占星術を自然科学と位置づけた「ミャンマー・アストロ研究所」があり、120人以上の研究員(占星術師)がいるそうですが、「科学」であるにもかかわらず、予言が外れても気にしない。なぜなら、科学や占星術は世俗の知識や経験でしかなく、真理や未来はブッダだけが知っているのだから当然だ――と考えている、という話もありました。

春日 それを聞いたときには、目から鱗が落ちました。宗教の位置づけが政治よりも上位であるだけでなく、サイエンスよりもはるかに上位にあるわけです。真理はブッダの教えにあり、だから占いや科学的な予測が外れても当然だという概念です。

――政治家が占星術師を重用しているとのことですが、どの程度の関与と思えばいいでしょうか?

春日 占いありきで「占いの結果、こうする」というよりは、総合的な判断に基づいて意思決定するときに、ある種の「支え」として用いられているという感じでしょうね。政治は「決断」ですから、安心材料、あるいは自信をもたらすものとして用いられているようです。

 例えば21年2月に起こったクーデターに際して、大統領代行が新軍政(軍事政権)の発足を発表したその「時間」の決定には必ず占星術師が関与しています。占星術では日時が決定的な意味を持ち、過去にも独立の日時は占星術的な意味を込めて決められました。ですから今回も、クーデターを起こすかどうかに関与したかはわかりませんが、日付や時間の呪術的な意味づけについては間違いなくかかわっています。

――スー・チー氏はほかの政治家や軍人と比べると呪術には距離を置きつつも、上座部仏教で行われるヴィパッサナー瞑想は毎日しているそうですね。

春日 仏教に対する信仰心は非常に強いと思います。彼女のエッセイやインタビューを読んでもミッター(慈愛)の話がよく出てきます。西洋的な価値観よりも仏教的な思想のほうが強いのではないでしょうか。呪術に関しては、「知識はあるけれども信じていない」といわれますが、果たしてどうかなと。ある程度信じていると私は見ています。というのも、04年に失脚したキン・ニュンという当時の首相にもお抱え占星術師がいたのですが、宗教団体の集まりのような場所でその占星術師とスー・チー氏が並んで、奇妙な仏像が掲げられた祭壇に祈りを捧げている写真を入手しました。

――ミャンマーにはキリスト教徒の占星術師もいるそうですね。敵対する勢力が仕掛けてくる黒魔術に対して、聖書の教えを盾に応戦する、という話も出てきました。もちろん西洋にも占星術はありますが、仏教とキリスト教が共に黒魔術を信じていて戦うというのはマンガみたいで、日本人の感覚では理解しがたいですが、どうとらえればいいのでしょうか?

春日 ミャンマーでは9割が仏教徒ですが、私の通訳をやってくれた人もキリスト教徒でしたし、ロヒンギャのようにイスラム教徒もいます。ただ、みんな仏教に占星術や呪術などが混ざり合った土壌の中で生きている。その同質的なベースの上にキリスト教やイスラム教があるといえばいいでしょうか。ミャンマー北部に住むカチン族はキリスト教徒が多いですが、国軍と内戦している政治組織(武装組織)KIOの報道官は「我々は国軍とスピリチュアルな戦いもしているのだ」と語っていました。物理的な戦闘に加えて精神的な次元でも戦っているという認識なのです。

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