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『青天を衝け』では後半に描かれるか――渋沢栄一に影響を与えた尾高惇忠の愛娘 富岡製糸場の人身御供になり女工の歴史を変えた?

自らの娘を働かせ、なんとか女工を集める。

 惇忠はその後、域内の村々へ工女の募集に行く際は娘の勇を同行させ、「工場長、自らが娘を入場させているのだから富岡製糸工場は安全である」と説き、工女たちを集めていく。

 こうして、富岡製糸工場は当初予定の1872年7月から3カ月遅れの10月4日から操業を開始する。最終的には32道府県から工女が集まり、550人以上の工女たちが繰糸器械を操りながら、生糸生産に携わるようになっていく。技術伝習工女とも呼ばれた彼女ら工女は、技術習得後はそれそれの地元に戻り、最新の技術を広げることで日本の生糸産業を支え続けた。

 日本の生糸輸出は1909年(明治42年)に世界一となり、世界市場の80%を占めるまでになるが富岡製糸場はその象徴だった。

 これもよくよく考えれば、父である惇忠の窮状を見かねた勇のけなげな決断によるところ“大”だが……。ただ、今回の大河ドラマ『青天を衝け』では少女時代の勇を、子役の和田葵が演じているが、いまのところこれといったセリフもない。歴史の陰に隠れがちな存在とはいえ、日本の産業近代化に大きく寄与した勇。明治期を描くドラマ後編では、父の惇忠だけでなく、勇のもう少しの登場を期待したいところだ。

本田路晴(ジャーナリスト)

連邦海外腐敗行為防止法 (FCPA) に関する調査、ホワイトカラー犯罪の訴訟における証拠収集やアセットトレーシングなどの調査・分析を手掛ける米調査会社の日本代表を経て現在は独立系コンサルタント。新聞社特派員として1997年8月から2002年7月までカンボジア・プノンペンとインドネシア・ジャカルタに駐在。その後もラオス、シンガポール、ベトナムで暮らす。東南アジア滞在歴は足掛け10年。

ほんだみちはる

最終更新:2021/05/03 11:41
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