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『まめ夫』に続いて月9『ナイト・ドクター』が「ドラマ主題歌」の概念を変える? 異例の新世代アーティスト「5組」抜擢

文=加賀美ジョン(かがみ・じょん)

『ナイト・ドクター』ドラマ公式サイトより

 7日、興味深いニュースが飛び込んだ。波留が主演を務めるフジテレビ系・新「月9」ドラマ『ナイト・ドクター』(21日スタート)に、所属レコード会社も異なる新世代のアーティスト5組が“オリジナルナンバー”を提供すると発表されたのだ。

 これは従来の「ドラマ主題歌という概念を覆す」試みとされ、各話によって異なるアーティストの楽曲が流れるとのこと。この主題歌ならぬ“オリジナルナンバー”を手がけるのは、「春を告げる」のストリーミング再生回数が累計1億回を突破したyama(ヤマ)、同じく「Myra」が累計1億回超えのTani Yuuki(たに・ゆうき)や、テレビアニメ『東京リベンジャーズ』(テレビ東京系ほか)のエンディングテーマ「ここで息をして」も話題のeill(エイル)、『今夜、誕生!音楽チャンプ』(テレビ朝日系)初代グランドチャンプに輝いたことでも知られる琴音(ことね)、ソニーミュージック主催のオーディション「ONE in a Billion」でグランプリに輝いた三浦風雅(みうら・ふうが)の5名。いずれも新進気鋭の若手ばかりだ。

 「本作の魅力を最大限引き出すために制作された5名のアーティストによる5曲の楽曲」が各話で流れるという。同ドラマは、主演の波留を始め、田中圭、岸優太(King & Prince)、北村匠海、岡崎紗絵が演じる「若き5人の医師たちの物語」となっていることから、各キャラクターに沿った楽曲が用意されているということかもしれない。

 ここで思い出されるのが、現在放送中の『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)だ。同作は、主演の松たか子が3exes(3人の元夫)と歌う「Presence」がエンディングテーマとなっているが、第1話ではKID FRESINO、第2話ではBIM……といった具合にゲストラッパーを変え、合わせてキャスト陣によるラップも第1話では松、第2話では岡田将生……と変化。各話ごとに「Presence I」~「Presence V」と発表されていき、第6話からふたたび「Presence I」に戻るという趣向となっている。

 この『まめ夫』もまた、KID FRESINO、BIM、NENE(ゆるふわギャング)、Daichi Yamamoto、T-Pablow(BAD HOP)と地上波ではなかなかお目にかかれないラッパーたちを抜擢したことで大きな反響を呼んだ。エンディングの映像はさながらミュージックビデオであり、松らキャスト陣とラッパーたち(とプロデュースをしたSTUTS)が交わるというビジュアルも革新的だった。

 『まめ夫』はカンテレ制作であり、また放送時期を考えても『ナイト・ドクター』が影響を受けているとは考えにくいが……なぜ似たような趣向となったのか、興味深いところだ。『まめ夫』が放送までこの“仕掛け”を隠していたのに対し、『ナイト・ドクター』が事前に発表していることを考えれば、“視聴率”対策の面があるのではとも推測できる。

 フジテレビは昨年10月度から、「キー特性」(13歳~49歳)を重点指標のひとつとして、この年齢層に向けた番組作りを進めている。新世代のアーティストを起用することは、特に若い層に「月9」ブランドを浸透させる効果が期待できる。それも各話に応じて違うアーティストの歌が流れるとなれば、それぞれのファンにドラマへの関心を持たせることにもつながる。『まめ夫』は(次はどのラッパーが選ばれるのかという)ワクワク感の演出という面が強いが、『ナイト・ドクター』はよりプロモーション的な意味合いが大きそうだ。もっとも、それぞれ書き下ろしの楽曲が用意されたようなので、『まめ夫』のようにストーリーとの相乗効果も生まれやすいだろう。

 今後このようなパターンが定着していくかは疑問だが、テレビドラマが積極的に、歌番組にもまだほとんど出ていないような才能を発掘する試みは単純におもしろい。『ナイト・ドクター』がストーリーだけでなく音楽でも話題になることを期待したい。

加賀美ジョン(かがみ・じょん)

加賀美ジョン(かがみ・じょん)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

最終更新:2021/06/09 12:00

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