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キャラ酷似で炎上の『チートスレイヤー』連載中止で物議…「当然の判断」「パロディ許されない風潮怖い」と賛否

連載発表時のニュース(コミックナタリー公式Twitterより)

 今月9日発売のコミック誌「月刊ドラゴンエイジ」7月号(KADOKAWA)より始まった新連載『異世界転生者殺し-チートスレイヤー-』が連載中止になったと発表され、その是非をめぐって議論を呼んでいる。

 同コミックは、作画を山口アキ氏、原作は『賭ケグルイ』などで知られる河本ほむら氏が担当。「すべての異世界転生者を屠る!?」などど銘打ち、“異世界転生者”たちによって幼なじみを殺害された主人公の復讐譚が描かれる予定だった。
 
 ところが、第1話が掲載された直後から炎上騒動が発生。というのも、「悪役」として登場した異世界転生者たちが『ソードアート・オンライン』『転生したらスライムだった件』『Re:ゼロから始める異世界生活』『この素晴らしい世界に祝福を! 』『異世界食堂』『幼女戦記』『賢者の孫』など、他の有名作品の特定キャラクターとデザインや名前が酷似していると指摘され、SNS上で騒ぎになったのだ。

 ただ、キャラの類似を指摘された作品の多くがKADOKAWA系だったことから「公認パロディなのでは」との意見もあった。だが、同誌編集部が連載中止を発表したことから「無許可」に近い状態であった可能性が高いようだ。

 同誌編集部は28日、公式サイトで「当該作品につきましては、他作品の特定のキャラクターを想起させるような登場人物を悪役として描いていることについて、読者の皆様より多数のご指摘を賜りました」と説明。

 続けて「ご指摘を受け、編集部としてあらためて検証いたしましたところ、キャラクターの意匠、設定等が他作品との類似性をもって表現されていること、特定の作品を貶める意図があると認められるだけの行き過ぎた展開、描写があること、またそれらに対する反響への予見と配慮を欠いていたことなど、編集部での掲載判断に問題があることを認識し、連載中止の決定に至りました」と、連載中止に至った経緯を報告した。原作を担当した河村氏も「配慮を欠いた作品づくりをしてしまい、今回のような事態を招いたことを反省しております」と謝罪している。

 この発表について、ネット上では「そりゃそうでしょ」「作者よりも、この内容でゴーサインを出した編集部の責任が大きい」「人気作品にあんな雑にケンカを売って炎上しないと思ってたんだろうか」「リスペクトがなくて悪意すら感じられた」と、連載中止は当然の判断とする意見が多く寄せられている。

 だが、その一方で「パロディやオマージュが許されない風潮になると怖い」「銀魂と何が違うの?」「パクリとか言ってる人もいるけど、明らかに元ネタわかるようにしてるからパロディでしょ」「異世界転生モノへのアンチテーゼとしてはアリと思ったけど」と理解を示す声もあり、賛否を呼んでいるようだ。
 
「パロディという表現自体は尊重されるべきですが、今回もっとも問題視されているのは他作品のキャラに酷似した人物たちを『悪役』として描いている点です。それもかなり残虐な行為を想像させる描写があり、ギャグであることが前提の『銀魂』のようなパロディとは別物と感じた人が多かった。編集部がたった1話で連載中止を決断したのも、『特定の作品を貶める意図』が認められる、“一線を越えた”描写であったことが大きかったのでしょう。

 また、物語の中の単発のちょっとした“遊び”として登場させたのではなく、パロディキャラたちが復讐劇という物語の根幹にかかわる位置づけにあったことも問題だったのでは。このパロディキャラあっての作品になっていたわけですから、本来ならちゃんとオリジナルの作者にどういう内容になるかをちゃんと説明し、了解を得た上で『公式パロディ』と打ち出すべきだったと思いますが……」(出版関係者)

 『転生したらスライムだった件』の原作者・伏瀬氏は、28日付の自身のブログで「ドラゴンエイジ編集部より謝罪をお受けしました」と報告した上で、「原作者としてはキャラクターのイメージは大切ですので、パロなどを行うにしてもやり過ぎないようにお願いしたい所存です」と苦言を呈している。

 ただ、即連載中止とした編集部の判断に対して「作品や表現にポリシーがあるなら批判されたからといってすぐ引っ込めるべきではない」といった声も一部であるが……。

「パロディとは別の話ではありますが、許諾の問題という意味では人気コミック『ハイスコアガール』の騒動も影響しているのでは。2014年、作中に登場する人気ゲームのキャラクターの一部が『無断使用』であることが発覚し、裁判沙汰や単行本の回収などに発展しました。のちに和解して作品は復活しましたが、発行元が大手ゲームメーカーのスクウェア・エニックスだったため、作者ですら『許諾をとってくれていると思っていた』と語っており、編集部の著作権に対する認識の甘さが話題になりました。KADOKAWA側はこうした騒動になることを懸念して早々の幕引きを図った可能性もあります」(同前)
 
 パロディやオマージュと「パクリ」の違いについてはしばしば議論の対象になるが、今回の騒動は新たな物議の種を生み出したともいえそうだ。

雑誌や書籍、ネットメディアで芸能記事を執筆中。アイドルから俳優、歌手、大御所まで幅広くカバーする柔軟さと情報網が強み。

さいきじゅん

最終更新:2021/06/29 19:00
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