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【田澤健一郎/体育会系LGBTQ】“見世物のゲイ”にはならないプロレスラーの誇りと覚悟

体育会では感じなかったトキメキを二丁目で知った

「団体のスタッフにゲイの方がいるんですけど、僕がトレーニング好きだから、その人のパーソナルトレーナー的なことをしていたんです。そしたら、ある日、練習後に『(新宿)二丁目に行かない?』と言われて」

 誘われるがままにお店に行ったら、いわゆる“ガチムチ”タイプのゲイの肉体に目を奪われた。
「その肉体に憧れみたいなものを感じました。二丁目に通うようになるきっかけでしたね」

 そして、運命の出会い。

「ある店で、女性っぽい男性っていうのかな? 細身の中性的なゲイの人にドキッとしちゃったんです。今まで感じたことがないようなトキメキ」

 高校は男子校。大学も一般の学生とは隔離されたようなアメフト一筋の生活。今いるプロレスの世界も入門からしばらくは練習漬けの日々。ゲイに目覚める前、何人かの女性と付き合ってはいたが、10代の頃から“男”と“体育会”の世界にどっぷり浸かって生きてきた。

「周囲はいかつい男ばかりで、ホストみたいな男子とちゃんと会ったことがなかったんですね」

 今まで味わったことがないような気持ち。それが抑えられない。気がついたらゲイの出会い系アプリに登録していた。

「ノリってわけじゃないんですけど、自分は一体どっちなんだろう、と気になってきて。そしたら、やっぱり自分は男の体も……シモも好きだわーと思ってしまいました」

 当然、アプリを眺めているだけでは満足できなくなる。自らアプローチをして、実際に何人もの男と会うようになった。

「そこからは、もう女性には興味がなくなりました」

 あまりにも早いスピード。ただ、今思えば大学時代も“兆候”はあったという。

「チームメイトと軽い気持ちで、いわゆるニューハーフの出会い系に登録して、一緒に遊んだことがあるんです。その中にいい雰囲気になった人がいて、そのまま……しちゃったんですよ」

 それまで付き合ってきた女性とは、普通にセックスをしていた。それと同じような感覚でベッドを共にしたら「できちゃった」のだという。

「あー、ニューハーフの人って、ちゃんとついているんだなー、なんて妙に冷静で。舐められるのも普通に気持ちいいし。その後、当時の彼女とセックスもしたんですけど、なんかしっくりこなくて、ニューハーフの人のほうが気持ちよかった。『もともと男だから男の心をよくわかっているのかな』なんて思っていましたね」

 人によっては「できちゃった」ことに驚きや悩みを感じてしまいそうな話だが、結果的に大策がゲイであったことを考えれば、理解はできる話である。それにしても、当時は「男性にときめくなんて発想自体がなかった」と話すような状況。大策の大らかさというか、ある意味で、性に対する生来のフラットさを感じるエピソードである。

 そんな“助走”もあってか、大策はゲイである自分をすんなりと受け入れた。

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