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『家、ついて行ってイイですか?』まさかの取材重複? テレ東ドキュメントバラエティの危機

40年来の元ヤン夫婦の危機。「浮気じゃない」と夫は言うが…

 埼玉県の激安スーパーでスタッフが声をかけたのは、57歳同士のご夫婦。2人で建築関係の仕事をしているそうだ。

妻 「私たち、中学生のときから付き合って結婚してるんですよ」
――そうなんですか。
妻 「最近、仲いいですね(笑)」
――最近、仲いい?

 というわけで、ご夫婦の家へついていくことに。到着したのは築38年、3LDKの一軒家だった。普段はこの家で2人で仕事をしているそうだ。

「最近は、“オフィスごっこ”をやるんですよ。夫が社長で、私が事務員の設定で」(妻)

 なんだ、それは? 論より証拠、実際に“オフィスごっこ”をやってもらった。すると、見事に2人とも役になりきるのだ。「社長、おはようございます」「あっ、おはよう」「今日はコーヒーもう飲まれました?」「じゃあ、お願いね」「ブラックでいいですか?」なんて掛け合いで疑似オフィスを楽しむ、還暦前の2人。何のプレイなんだ、これは。仲良しで何よりなのだけど。

「怒ってても1日だし笑ってても1日だったら、少しでもふざけたほうがいいかなみたいな(笑)」(妻)

 奥さんの部屋へ行き、壁を見ると“欲しいものリスト”と題した1枚の紙が貼ってあった。リストアップされた願いの内容は、どれも興味深い。「隣の土地」「大きな家」「露天風呂とシャワー」と、奥さんがすごいものばかりを欲しがっているのだ。隣の人はここに住む夫婦が「隣の土地」を欲しがっていると知っているのだろうか? ご近所が自分の土地を欲しがっている、考えただけで生きた心地がしない。

 そんなゴキゲンな2人の学生時代を記録したアルバムが押し入れから出てきた。時代だ。車にハコ乗りをしている奥さんと、リーゼントでキメている旦那さん。両者共に、ゴリゴリのヤンキーだった。

 中学のヤンキー仲間という関係から恋に発展し、そして結婚した2人。今では家で“オフィスごっこ”をする間柄だ。仲が良くて何より。ただ、出会った当初は旦那さんのほうに彼女がいた。先に好きになったのは奥さんのほう。彼女がいる事実を知った瞬間、奥さんは“ズキュン”とショックを受けたそうだ。

「で、電話したんだよね。『私、あんたのこと好きなんだけどさ、でも彼女いるっていうから諦めることにしたわ』みたいな。そしたら、そっちの彼女と別れて『付き合うのはやめたよ』みたいな。横取るつもりとかそういうんじゃなくて、言いたがりなので言ったんでしょうね(笑)」(奥さん)

 本当だろうか? 本心は「諦めることにした」と伝える形のアプローチだった気がする。彼氏は奪うわ、隣の土地は欲しがるわ、えげつない奥さんだ。

 棚を見ると、たくさんのファイルが保管してあった。それらをめくると突如、離婚届が出てきた。しかも、すでに書き込まれて判が押された形でだ。提出するところまでは行かなかったが、2人には別居期間があった。10年前に奥さんが家を出て、その後4年間も別居したというのだ。

「あのケンカからだよ。あなたからしたら浮気なんだろうけど。(当時勤めていたコンビニに)女の子のアルバイトの子がいて、その子と別に浮気とかじゃないんだよ? ないんだけど、月1回くらいかなあ。飲み行ったり、飯食い行ったりしてたわけ。それをまあ(妻に)言わないじゃん、普通」(夫)

 夫が置いていった携帯電話を覗き見た奥さんは、バイトの子とのやり取りに激昂した。

妻 「やっぱり、女の勘で思ったんですよねえ。ドキッとしたというか、(やり取りが)すごい愛おしげに見えちゃって。それで、わがままに一方的に家を出ました」
夫 「(妻は)頑固だから。あそこ(離婚届を持ってくる)までなったら、もう無理だなと思って」

 旦那さんは「浮気じゃない」と強調するが、話を聞く限り浮気だったと思う。言わなかったのは後ろめたさが理由のはず。本人が一切悪いと思っていなさそうなのがまた……。14歳から付き合って結婚しても、こうして浮気されてしまう現実。一方の奥さんは、「戻ってこい」と言われても頑なに帰らかった。本気で離婚するつもりだったからだ。そんな時期に夫からこんな連絡が入った。

妻 「(夫に)ちらっと彼女ができた時期があったんですよ。電話がかかってきて『報告するのも変なんだけど、付き合ってる人がいる』って。『あぁ、よかった。おめでとう』って言ったんだけど、すごくショックで悲しくなっちゃったんです」
夫 「腐れ縁なんだよ」
妻 「そうだよ」

 中学時代と同パターンの嫉妬で家へ戻った奥さん。というか「付き合ってる人がいる」というご主人からの報告は、元からいた浮気相手のことなのでは? だが、40年の仲だ。簡単に絆は切れない。離れてわかることもあっただろう。ただ、やっぱり旦那さんは浮気していたと思うのだが……。

「1人のときなんて寂しかったのもあるし、『いてくれてることがすごくありがたい』って何回も思った。だから、(2人でいると)安心はしてる」(夫)

 浮気して、新彼女もいて、そんな人が「寂しかった」もクソも……。この話に被さる「Let It Be」が、どうしても沁みてこない。

 正直に言うと、今回の『家つい』は薄かった。『Youは何しに日本へ?』だって最近は再編集と再放送の連続だ。ここ最近のテレ東のドキュメントバラエティからは、少ししんどい印象を受ける。もちろん、コロナで大変なのもわかるが。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/12/15 20:00
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