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『TOKYO MER』映画化に視聴者は冷ややか? 各局がドラマの映画化を乱発する背景

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ドラマ公式サイトより

 2021年7月期にTBSの日曜劇場枠で放送され、夏ドラマで視聴率トップとなるなど大ヒットしたドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』が、映画化されることが発表された。

 同ドラマは、最新の医療機器とオペ室を搭載した“移動する救急救命室”「ERカー」で重大事故・災害・事件の現場にいち早く駆け付け、“1人も死者を出さないこと”をミッションとする架空の救命救急チーム「TOKYO MER」の活躍を描いた作品。劇場版では、主演の鈴木亮平ほか、賀来賢人、中条あやみ、小手伸也、佐野勇斗、フォンチー、菜々緒、仲里依紗、石田ゆり子、要潤らが続投するという。

 ドラマ最終回の世帯平均視聴率は19.5%、個人平均視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)まで伸び、世帯平均視聴率とタイムシフト視聴率と合わせた総合視聴率は29.0%を記録するなど大盛りあがりとなった同作だが、一方で映画化の発表には冷ややかな反応も目立つ。

「終盤は城田優演じるテロリスト・椿の存在がクローズアップされ、最終話は鈴木亮平演じる主人公が、自分の妹を殺した椿の命を救うという展開だったため、最終話放送直後から『これ、映画になるのかなあ? だって城田優生きてるし……』『モヤモヤする終わり方だったし、これ絶対続きあるでしょ』と指摘されており、“予想通り”という声は多いですね。しかし映画化に冷ややかな声が出るのは、佐藤栞里が演じていたその妹・涼香の不在。『死者を出さない』というミッションを毎回ギリギリのところで達成するのが見どころだったが、最終話の1話前で椿に殺されてしまった。涼香は佐藤本人の人柄どおりの“絵に描いたようないい子”キャラで、賀来賢人演じる音羽との恋模様も注目されていただけに、視聴者の悲しみは大きかった。加えて、犠牲者を出してしまうという“禁じ手”をすでに使ってしまっている。そのため、『だから佐藤栞里ちゃん死なすのは間違いだったんだよ!』『映画化するなら 佐藤栞里生かしとけよ……』『映画は期待してたけど涼香がいないんじゃなあ』といった声が多く上がっています。また、椿がテロリストになった背景なども不明だったため、『映画化よりもシリーズ化希望』『ドラマでじっくり椿を掘り下げてほしかった』という意見も少なくありません」(テレビ誌ライター)

 しかし、昨今はテレビドラマの映画化が増えている。ここ数年だけでも『コンフィデンスマンJP』『シグナル 長期未解決事件捜査班』『ルパンの娘』(フジテレビ系)、『今日から俺は!!』『奥様は、取り扱い注意』『あなたの番です』(日本テレビ系)、『おっさんずラブ』『科捜研の女』『相棒』(テレビ朝日系)、『99.9 -刑事専門弁護士-』『深夜食堂』(TBS系)、『きのう何食べた?』『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)など枚挙に暇がない。

 昨年10月期に第2シリーズが放送されたばかりの『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)も映画化が決定しており、4月29日に公開予定だ。

「第1シリーズは全話平均12.1%、第2シリーズは10.7%と手堅い数字ですが、問題なのは最終話翌週に放送された特別編。第1シリーズの特別編は世帯平均15.6%を記録し、最終話の13.8%を大きく上回る同シリーズ最高視聴率を叩き出しましたが、肝心の内容が大失敗だった。大半が回想シーンに当てられていたため、『特別編詐欺』『これ総集編なの?』と批判が殺到。第1シリーズの盛り上がりに大きく水を差す形に。第2シリーズの特別編も同じように回想主体となっており、世帯平均視聴率8.5%と、一気にシリーズ最低視聴率となる大惨敗となった。ドラマ自体も『最初のシリーズのが面白かった』『ラジハ2はなんか微妙だった』と第2シリーズでは盛り下がっており、映画化は大コケとなる公算が大きい」(前出のテレビ誌ライター)

 ドラマの映画化乱発の背景には、テレビ放送による広告収入の減少がコロナ禍でさらに厳しさを増しており、既存IPの活用でなんとか“一攫千金”を狙いたいというテレビ局の思惑があるのは言うまでもない。

 実際、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(2018年)は興行収入93億円、『今日から俺は!!劇場版』(2020年)は53.7億円、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年)は38.4億円、『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年)は29.7億円、『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD』(2019年)は26.5億円の大ヒット。昨年末に公開された『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』も上々の滑り出しを見せ、40億円を突破するのではと見られている。

「確かに映画は“当たればデカい”のは間違いないですが、その確率はかなり低い。最近は映画での“回収”を見込んで映画化前提で制作されたドラマも目立ちますが、一か八かの博打ビジネスと言わざるを得ず、“まず良質な作品を作る”という原点を忘れた本末転倒なビジネス展開が続けば、テレビ離れはますます加速していきそうです」(前出のテレビ誌ライター)

 ドラマの映画化が乱発されているのは、テレビ界の苦境の表れとも言えそうだ。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2022/01/13 19:00
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