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視聴率アップでも喜べない? 低迷『ファイトソング』逆転のカギはリアル路線か

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ドラマ公式サイトより

 いよいよ佳境に入ったTBS系火曜ドラマ『ファイトソング』。3月1日にはクライマックスの序章ともいえる第8話が放送される。第7話の世帯平均視聴率は7.8%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録し、前話から1.3ポイントアップと好調な推移を見せた。木皿花枝(清原果那)と芦田春樹(間宮祥太朗)、夏川慎吾(菊池風磨/Sexy Zone)による三角関係の行方に、世間が再注目……と言いたいところだが、しかしヒット作ひしめく「火10ドラマ」枠においては、視聴率はまだまだ物足りないようだ。

 第7話は、両耳に聴神経腫瘍があることを花枝が涙ながらに告白するという、物語の核となる部分が動き出す放送回となった。さらに、予告動画では花枝と春樹の“キス寸前シーン”というキラーシーンが流れたことから、視聴率アップの材料としては十分に揃っていた。この調子で最終話まで視聴率右肩上がり、と関係者は期待しているだろうが、直近の火曜ドラマにおいてはワースト争いをするほど視聴率が低調なのだ。

 『ファイトソング』の第7話までの全話平均視聴率は7.89%。ちょうど1年前の2021年1月~3月に放送された『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の全話平均11.63%は別格として、その後の春・夏期に放送された『着飾る恋には理由があって』と『プロミス・シンデレラ』の7.9%台は火曜ドラマの歴代ワースト10に迫る低い数字で、『ファイトソング』はそれらと僅差の争いをしているだけに、なんとか頭一つ抜け出す展開を作りたいことだろう。

 ドラマを追いかけ続けてきた筆者としては、今後の見どころは「若者のリアル」と考えている。「目標を失った女性(花枝)が、自身の勝負曲にしていたヒット曲を手掛けたミュージシャン(芦田)とまさかの出会いを果たす」「愛を知るために、期間限定の“恋の取り組み”に挑戦する」という、夢物語のような設定でスタートを切ったものの、回を重ねるごとに、主要人物の人間味が色濃く映し出されている。病気を抱えながら人生・恋の行く末を案じる花枝、ヒット曲を作りたいという自分本位の考えから、いつしか恋や愛の喜びを知って人を思いやるようになった芦田、家族同然の絆と恋心のはざまで揺れ動きながら、花枝が幸せになる方法を模索し続ける慎吾。華やかなキャストが表現する“葛藤の人間ドラマ”は、世代を問わず人々を惹きつけるものだと言える。

 来たる第8話は、花枝と芦田の“別れ”がテーマとなる。恋愛ビギナーの2人がたどり着いた、「好きだけど別れる」という結論の行方はどうなるのか、そしてその哀愁をどのように表現するのか。ストーリーにもキャストの演技からも目が離せない放送回になりそうだ。

■番組情報
火曜ドラマ『ファイトソング』
TBS系毎週火曜22時00分~
出演:清原果耶、間宮祥太朗、菊池風磨、東啓介、藤原さくら、若林時英、窪塚愛流、莉子、栗山千明、橋本じゅん、戸次重幸、稲森いずみ ほか
主題歌:Perfume「Flow」(UNIVERSAL MUSIC)
音楽:大間々昂
脚本:岡田惠和
プロデューサー:武田梓、岩崎愛奈
演出:岡本伸吾、石井康晴、村尾嘉昭
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/fight_song_tbs2022

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/03/01 19:00
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