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西島秀俊、「干され俳優」からのアカデミー賞受賞で…木村拓哉との明暗くっきり!?

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西島秀俊(写真/Getty Imagesより)

 まさに“自ら正しい道を選んで走った”結果の快挙と言っていいだろう。

 第45回日本アカデミー賞の授賞式が3月11日に都内で行われ。濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』が最多8部門の最優秀賞に輝いた。

 そんななか注目を浴びたのは、自身初の最優秀主演男優賞に輝いた西島秀俊のコメントだった。

 司会の長澤まさみから「映画愛が強すぎて、ご飯を食べる時間がもったいないから、おにぎりを持って映画館に行っていたと聞きました」と話を振られた西島は、「僕、仕事がない時期が長かったので」と振り返っていたのだが、映画ライターが言葉の真意を解説する。

「西島が1998年から2002年までテレビ界で干されていたのは有名な話です。しかし、日本アカデミー賞の授賞式という晴れの場で20年以上前の話を持ち出すとは少し驚きました、彼にとっては自身の役者人生を語るうえでは絶対に忘れることのできない時期だったのでしょうね」(映画ライター)

 西島は横浜国立大学在学中、オーディションに合格して渡辺プロダクションに所属し、21歳の時、1992年放送のドラマ『はぐれ刑事純情派』第5シリーズ(テレビ朝日系)で本格的に俳優として活動をスタート。1993年にはフジテレビのドラマ『悪魔のKISS』『あすなろ白書』に次々と出演し、特に最終回で最高視聴率31.9%という高視聴率を記録する大ヒットとなった後者では、“同性愛者であることに密かに悩む容姿端麗な財閥の御曹司”という難しい役どころを演じ、お茶の間の注目を集めたものだった。

「しかし西島はアイドル路線で売ろうとする事務所の方針に反発。もともと映画志望だったことから、このままテレビ俳優にされてしまうと危惧したことで退所を決意するも、事務所移籍とひきかえに『民放ドラマ5年間出演禁止』という条件を飲まされ、1997年を最後にしばらくテレビから姿を消すこととなった。大手芸能プロに逆らったことで、見せしめのために干され続けたというわけです。それでも西島はあきらめることなく、勉強のために映画館に入り浸り、年間300本も見続けたことがその後の役作りに生かされたと述懐しています」(前出・映画ライター)

 “出禁”期間中は独立系の映画を中心に出演していた西島は、北野武監督に見出され、2002年の映画『DOLLS』で主演。“出禁”が解かれた2003年からは続々とテレビドラマにも出演するようになり、以降、再び人気俳優として返り咲いたことで、北野監督を「恩人」と呼んで感謝している。

 一方、「アイドル路線」をまい進したのが、『あすなろ白書』で共演していた木村拓哉だ。

「木村といえば、『あすなろ白書』への出演をきっかけに若手イケメン俳優として注目され、西島がテレビから一時姿を消した90年代後半には、『視聴率男』の称号のとおり、国民的スターとして活躍したのは周知のこと。しかし、基本的に主役ばかりで、“キムタク”あっての企画がほとんどのため、似たような役柄が続くこともあり、華はあるが演技についての評価はいまひとつ。2019年に出演した『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)では、俳優としての世間の評価について『自分だって言われる。“何やったってキムタク”だって。しょうがないよね。人がそう言うんだから。でも、それはそれだし』と語っており、アイドル俳優の道を歩んできたことへの苦悩がうかがえましたね」(芸能ライター)

 その木村は、主演映画『マスカレード・ナイト』が大ヒットしたにもかかわらず、第45回日本アカデミー賞における優秀主演男優賞へのノミネートを辞退したと言われている。

「当初は、元SMAPの草なぎ剛がプレゼンテーターとして授賞式に出席するため、2ショットを回避するのが理由だったとも噂されましたが、“最優秀主演男優賞が確約できなければ辞退する”というジャニーズ事務所の意向だったとも。西島は『ドライブ・マイ・カー』の演技が海外でも絶賛され、ニューヨーク・タイムズ紙にも取り上げられたほどなので、日本アカデミー賞でも最優秀の受賞は固かった。ジャニーズサイドが“最優秀主演男優賞の確約”にこだわったのは、木村がノミネートされている上で西島が受賞した際、ふたりの差がクローズアップされるのを避けたかったのかもしれません。西島は売れっ子俳優になっていた2015年に『SMAPxSMAP』で久々に木村と再会していますが、今回の日本アカデミー賞の場でふたたび顔を合わせてほしかったですけどね……」(前出・芸能ライター)

 『ドライブ・マイ・カー』でボストン映画批評家協会賞や全米映画批評家協会賞の主演男優賞に輝いた西島。映画自体も、カンヌ国際映画祭で脚本賞など3冠となったのを始め、数多くの海外の賞を総なめにしており、先日は英国アカデミー賞で非英語映画賞にも輝いた。今月末に結果が発表される本家・アカデミー賞にもノミネートされ、日本映画として初めて作品賞を穫れるかにも注目が集まっている。不遇の5年間は決して無駄ではなかったようだ。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2022/03/15 20:00
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