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新社会人にも見せたいVTR、ナンバーワン

『絶対取材しない店』ガチギレする店の人と粘るダイアンに真の緊張と緩和を見た!

ダイアンの“絶対に笑ってはいけない試着室”

 ダイアンが粘る。今度は店内の商品を試着し、奥さんのご機嫌を伺おうと考えたようだ。

ユースケ 「ただ、“本気で着たいんです感”は出したほうがいい。ちょけて着るのは、絶対あかん」
津田   「(スタッフを見て)ほんで絶対、(試着室から)出てきたら誰も笑ったらあかんで」
ユースケ 「『バカにしてんの?』ってなるんで」

 こんなに結託する2人は、普段なかなか見ることはできない。ピンチが訪れ、さすがに協力し合ったユースケと津田。今までにたくさんの場数を踏んできたのだと、窮地の彼らを見て実感した。

 しかし、この店はレディース服が中心だ。どれを着てもふざけて見えるはず。ユースケが手に取ったのは、セットアップのレディースのベージュ色ニットだった。

ユースケ 「奥さん、試着とかさせていただくことできます? もしよろしければ、これを……」
奥さん  「あなた、考えてごらんなさいよ。これはどうしたって小っちゃいよ」
ユースケ 「これはレディースですか? でも奥さん、僕は男やのに短大行ってたんです」
奥さん  「(無視)」
津田   「全然ウケてない(苦笑)」

 養子と短大卒が揃い踏みした第2回の空気は、この上なく地獄。しかし、ユースケは押し切って試着室に入った。

奥さん 「漫才やるとかじゃないでしょ? 笑いを取ろうと思ってるんでしょ?」
津田  「いやいや、そんなことないです。いや、でも、もう、じゃあご主人、もうもう、そろそろやめようかなあって言ったら、まああとはやめるって感じなんですか、お店」

 本気を伝えるための、絶対に笑ってはいけない試着。まさに、「笑ってはいけない洋品店」だ。一方、ユースケが試着室に入ってから1人で会話をつながなければならない津田がつらそう。事実、ユースケがいなくなった途端、津田のしゃべる日本語はワケがわからなくなっている。

 そして数分後、着替えたユースケが試着室から登場した。松尾伴内みたいなファッションなのだ。ベージュだから裸みたいだし、タイトだから股間の盛り上がりもあからさま。これは、面白い。試着室から出てくる史上で1番面白かった。でも、本気を伝えるため絶対に笑ってはいけない……と思いきや。

「ハハハハハハハハ! みんな、見て~(笑)」(奥さん)

 あんなにキレてた奥さんが発した、「みんな、見て~」という嬉しすぎる一言。さすが、ユースケは元ハウスマヌカンである。洋服屋の店員の掌握術はお手のもの。奥さんが笑うと我々もうれしいし、純粋にロケ番組として後半の伸びもスゴかった。ジェットコースターみたいな番組だ。これぞ、本物の緊張と緩和である。

関西の街ロケでは生まれないであろう“緊張と緩和”

「冷えた状態をどう打開する?」「奥さんの心をどう解きほぐす?」というミッションにダイアンが挑む、ドキュメンタリーな神回だった。何しろ、悪条件だ。バラエティのノリが嫌いな人が仕切る、撮影に非協力的な現場。下手な笑いは状況を悪化させかねない。そんなシチュエーションで、ふざけたら怒る人を笑わせたのだからダイアンはスゴい。普段はクールなユースケが見せた根性と頼もしさはカッコ良かったし、しゃべる度に塩対応される津田も良さが出ていた。

 今回で2人は、大阪のロケとは違う面白を見出せたと思う。関西の商店街でこの緊張と緩和は生まれないはずだ。そして、S洋品店が取材されない理由もなんとなくわかってしまった。ダイアンが去った後、奥さんは彼らの印象についてこう答えている。

奥さん 「これからスターになる人?」
――わかんないです(笑)。どう思いました? 素質あると思いますか。
奥さん 「うん、結構楽しい人だと思うよね(笑)。うちの洋服を着ていただいて、あれは楽しかった」

 このロケが無事にオンエアされたということは、奥さんもダイアンを理解してくれたのだろう。よく、お蔵入りにならなかったものだ。店主を怒らせたロケなんて、テレビで初めて見た気がする。普通の番組ならカットされる修羅場を、そのまま拝むことができた神回。夜中に手に汗握る番組だ。

 ダイアンは、今回のロケについてこんな感想を漏らした。

「後輩にも言えるな。『お前、もし力つけたいんやったらS洋品店行け』って」(ユースケ)

 この店に行けば、ロケの実力は如実に出る。この状況で面白くできるコンビはダイアンと千鳥くらいなのでは? そして、人との関わり方を考えさせられる神回でもあった。人の心はこうやって開く。新社会人にこのVTRを見せたら勉強になると思うし、これを見ればどんなことでも頑張れそうだ。普通だったら他の場所へエスケープできるけど、「この店で1回分撮る」という原則が2人の粘りにつながった。

 スゴい番組が始まったものだ。関西人が東京で街ロケを行い、舞台は“これまで取材されたことのない店”である。うまくいかなさそうな要素が詰め込まれすぎである。キー局初の冠番組がこれという、ダイアンにとってストイックすぎるお膳立て。お笑い難易度が高すぎだと思う。

 2回目にして波乱万丈を迎えた、『ダイアンの絶対取材しない店』。1週間後が待ちきれない。「次はどうなる?」と、この先が楽しみすぎる。この日のノリをやり通せれば、ダイアンは大ハネの予感さえする。“グラメリー賞”も獲れるだろう。 

ただ、取材を受けても店側に何のメリットもないのが落とし穴か。さびれた店をダイアンが失礼にイジるのだから、テレビの悪いところを集約した番組と言えなくもない。メチャクチャ面白いけども、こんなの続かないよねぇ……。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/04/21 18:00
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