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中村倫也×有村架純『石子と羽男』、目指すはドラマ版『バラエティー生活笑百科』!?

文=東海林かな(しょうじ・かな)

中村倫也×有村架純『石子と羽男』、目指すはドラマ版『バラエティー生活笑百科』!?の画像
Paravi配信ページより

 TBS金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』が、7月15日に初回放送を迎えた。豪華W主演となるのは、作品ごとにますます輝きを増していく中村倫也と有村架純。中村は“型破り”にこだわる高卒弁護士の羽根岡佳男(通称:羽男)を、有村はその助手となる東大卒パラリーガルの石田硝子(通称:石子)を演じる。さらに初回では、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)で主人公の安達清役を演じたことも記憶に新しい、今が旬の俳優・赤楚衛二が依頼者役としてゲスト出演。初回のラストでは、赤楚が事実上のレギュラーとなるサプライズもあり、ファンたちは大いに盛り上がっていた。

 『石子と羽男』は、いわゆる「リーガルドラマ」だ。リーガルドラマとは法律をテーマにしたドラマ作品のことである。その多くは弁護士や検事を主役にしたものであり、海外ドラマの『SUITS/スーツ』や『グッドワイフ』などは日本をはじめ各国でリメイクされており、人気が高い。国内ドラマでも、木村拓哉主演の『HERO』(フジテレビ系)、堺雅人主演の『リーガルハイ』(フジテレビ系)や松本潤主演の『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)など名作揃いで、法律で“悪しきを裁く”という痛快なストーリーは、その分かりやすさからファンがつきやすく、視聴率も稼ぎやすいジャンルだと言える。

 法廷などを舞台に登場人物らが高らかに論破するシーンはリーガルドラマの最大の見どころであり、それゆえこの手のドラマには華やかなイメージすらある。だが、『石子と羽男』はかなり地味寄りだ。石子と羽男が働く潮法律事務所は町の小さな弁護士事務所であり、舞い込む事件に派手さはなく、扱うのは離婚調停をはじめとした“小競り合い”の仲裁である。いわゆるマチベン(町の弁護士)にスポットを当てているのが今作の特徴だ。

 第1話でも、大庭(赤楚衛二)が石子たちを訪ねることになったのは「カフェで充電をしていたら訴えられた」という出来事が発端だった。まさにドラマのタイトル通り「そんなコトで訴えます?」と言いたくなるような事案である。視聴者としても、何気なくやってしまいそうな行動なだけに、他人事とは思えない。ドラマでは羽男が「無断でコンセントを利用する行為は窃盗罪」と言って大庭を動揺させるが、「100万はふっかけすぎ」とカフェの店主に示談を持ちかける。一筋縄ではいかないなか、次第に店主がそうせざるを得なかった事情、また大庭がカフェに通っていた本当のワケが紐解かれていく。

 こうした身近にある小さなトラブルを扱ったテレビ番組といえば、今年4月で37年に渡る放送を終えた長寿番組『バラエティー生活笑百科』(NHK総合)が脳裏をよぎる。『生活笑百科』は、故・笑福亭仁鶴の「四角い仁鶴がまぁ~るくおさめまっせー」というフレーズで人気を博した法律バラエティだ。視聴者から寄せられた身近な相談事を漫才で再現し、タレント相談員がそれぞれに意見を述べ、最後は弁護士が法律に基づいた見解でまとめるという番組スタイルは、お茶の間の視聴者と法律の距離感を縮める役割を果たしていたように思う。

 まったく毛色の違う2つの番組だが、それぞれの役割には近しいものがある。つまり『生活笑百科』も『石子と羽男』も、人生や社会を生きるうえで直面するだろう問題を前に、視聴者に法律という選択肢を与えようとしている点だ。

 第1話では、事務所の所長で石子の父親である潮綿郎(さだまさし)が「日本人の多くはさ、弁護士に頼むのは最終手段だと思ってるからね」と、現在の日本で法律家を頼る人が少ない実情を語り、「アメリカのさ、訴えまくるシステムもさ、(中略)直接個人が争って深刻な関係にならないための方法だと思うんだよ」と語る。さらに、大庭がカフェに長時間居座っていた目的が職場いじめの現場を押さえるためだったことが明かされると、羽男は「いじめは、法律で裁かれるべきです」とキッパリ。

 ドラマ終盤では、社内いじめを告発したもののもみ消され、独自に証拠を押さえようと動いていた大庭に、石子は「なぜすぐ弁護士に相談しなかったんです?」と訊ねる。大庭は「やっぱ、自分が勤めてる会社を訴えるなんて、気が引けて……」「内々のことだから、誰かに頼るのは間違っている気がした」などと明かす。すると石子は、「人間関係を円滑にするためにあるルール。それが法律なんです。そのルールにのっとり声を上げる行為は情けなくもないし、少しも間違っていません」と訴えかける。そして最後は職場いじめを主導していた店長にさえ、部下にパワハラをしてしまうほどの背景に過重労働があるのなら、それに対して声を上げる権利があるのだと“選択肢”を示すのだ。

 なかなか人に相談できないような、今自分が抱えている問題にも、意外と法律が解決のための道を指し示してくれるかもしれない。そんな気づきを与えてくれる石子と羽男のコンビに次回からも期待したい。

■番組情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー
TBS系毎週金曜22時~
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし ほか
脚本:西田征史
音楽:得田真裕
主題歌:RADWIMPS「人間ごっこ」(Muzinto Records / EMI)
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山本剛義
編成:中西真央、松岡洋太
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/

東海林かな(しょうじ・かな)

東海林かな(しょうじ・かな)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

最終更新:2022/07/22 12:01

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