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『寄生獣』Netflixで韓国ドラマ化、懸念される保守的な原作ファンの反発

『寄生獣』Netflixで韓国ドラマ化、懸念される保守的な原作ファンの反発の画像1
Netflix Japan 公式Twitter(@NetflixJP)より

 岩明均の人気漫画『寄生獣』(講談社)が、『寄生獣 -ザ・グレイ-』というタイトルで、Netflixにて実写ドラマ化されることが発表された。

 映画『新感染』シリーズやNetflixのドラマ『地獄が呼んでいる』を手掛けたヨン・サンホが監督を担当、Netflixドラマ『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』などのリュ・ヨンジェが脚本を担当する。

 謎の生物が右手に寄生した高校生・泉新一を中心に、人間と寄生生物の戦いを描いた漫画『寄生獣』。日本でも、2014年公開の『寄生獣』、2015年公開『寄生獣 完結編』の前後編として、染谷将太主演で実写映画化されていた。この映画版では、キャラクター設定など、作品の根幹となる部分は原作を踏襲していたが、今回のNetflix版の実写ドラマは韓国が舞台。原作とは異なる物語が描かれる。

「『新感染』シリーズや『地獄が呼んでいる』は、日本を含めた世界各国で高く評価された作品ですし、『寄生獣』のドラマ版も期待できると思いますよ」(ドラマ関係者)

 ただ、原作の『寄生獣』が、日本国内でもかなり人気が高い作品だということで、新たな物語として描かれるドラマ版に対して、不安を抱く声も少なくない。

「『寄生獣』は日本のSF漫画の中でも特に完成度が高い作品と言われています。単行本にして全10巻という長さもちょうどいいですし、寄生生物のグロテスクだけどどこかコミカルな描写も本当にクオリティーが高く、漫画界に与えた影響も大きい作品です。

 だからこそ漫画『寄生獣』に強いこだわりを持つ読者も多く、過去の映画化も含め、他メディアでの展開に否定的な声も少なくない。しかも、今回のドラマ化は、物語がまったく異なるものとなれば、余計に反発する原作ファンが出てくるでしょう。ドラマ版の内容云々ではなく、“原作と違う設定になっている”というだけで、批判的なされてしまう可能性も。原作の支持率が以上に高いがゆえに、ドラマ版に正当な評価が下されない可能性もあります」(出版関係者)

 また、韓国での映画化ということで、作品とは関係ないところで批判が出てくる懸念もある。

「ネット上では、どうしても“嫌韓”の声が大きくなりやすい傾向にある。日本を代表する漫画の名作である『寄生獣』が、異なる設定で韓国のスタッフによって実写化されたとなれば、ただ韓国を叩きたいというだけの理由で、Netflix版『寄生獣』を不当に貶めるような声が出てくる可能性も高そうです。作品とは関係ない部分で、炎上の火種にされかねないという心配があります」(同)

 小松左京の名作『日本沈没』は、2020年にはNetflixで『日本沈没2020』(湯浅政明監督)としてアニメ化されたが、ネット上で酷評された過去も。

「原作の『日本沈没』では、危機的状況にある日本を描く中で、日本文化の素晴らしさにスポットを当てる部分があったんですが、『日本沈没2020』ではむしろ絶望的な日本の姿を強く描いており、さらには多様性も反映されていました。そういった描写に反発する日本のネットユーザーが多かったのは事実で、それは保守的なイデオロギーと符合する部分も多いんです。

 同様に『寄生獣』を日本文化を象徴する作品のひとつとする保守層が、韓国の制作陣による“改変”に強く反発するという展開は十分にありえると思います。だからこそ、Netflixとしては、無駄な炎上を生み出さないためにも、原作へのリスペクトを忘れず、丁寧に日本国内でのプロモーションを展開する必要があるでしょう」(同)

 その全貌が明らかになる前から、波乱含みとなっているNetflix版『寄生獣』。とにかく、世界中で――日本でも韓国でも――楽しめる作品に仕上がってくれることを期待するばかりだ。

 

手山足実(ジャーナリスト)

出版業界歴20年超のベテランジャーナリスト。新聞、週刊誌、カルチャー誌、ギャンブル誌、ファンクラブ会報、企業パンフレット、オウンドメディア、広告など、あらゆる媒体に執筆。趣味はペットの動画を見ること、有名人の出没スポットパトロール。

てやまあしみ

最終更新:2022/08/28 11:30
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