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芸人の解散事情に起こりつつある変化とは? 可視化されだした「死因」

芸人の解散事情に起こりつつある変化とは? 可視化されだした「死因」の画像1
年内での解散を発表したオジンオズボーン(画像は松竹芸能HPより)

 トランスミッターというコンビが解散した。2人は事務所を退所。そして機を同じくして、ライブシーンで切磋琢磨した仲間であるクロコップは「キングオブコント」決勝へと駒を進めた。平行に走っていた2本の線が、急上昇と下降を描いたのだ。

という話を同じケイダッシュステージの先輩であるトム・ブラウンのラジオで聞いた。私は解散が悔しかった。寂寥感を覚え、「トランスミッター……まだ早かったんじゃねえか?」と拳を握る。私はトランスミッターのファン歴は長くない。それどころかこの放送で初めて存在を知ったばかりの、勝手に感情移入する通りすがり解散新規だった。

 解散。それは「集まっている人がわかれ散ること」だ。衆議院、バンド、アイドルグループ……。団体や組織はうつろう有機体であり、どこかで終焉を迎える。私は昔から芸人の解散に対して、やけに敏感な体質だった。

 解散の報を聞いて、舞台に駆けつけたことも少なからずある。約20年前、チャイルドマシーンの解散を知り、見収めのネタライブに走った。平場で出演芸人たちが解散を笑いに変換しようとする中で、POISON GIRL BANDの阿部だけがこらえきれず、「なんで解散するんですか!」と泣きじゃくっていた。私も沈痛な気持ちになった。

 最近、元チャイルドマシーンの山本が法外に達者な話芸で、過去を引き合いに元相方を悪く語る動画を見た。すべてがいい思い出だ。

 好きな芸人の解散に傷心するのは当然としても、SNSで知らない芸人の「◯◯◯は解散しました。相方の△△は芸人を引退し、僕は続けていく予定です。今まで応援してくださった方、本当にありがとうございました!」というテンプレ挨拶すら、視界に入るといちいちせつなくなってしまう。

 なぜ芸人の解散の報にふれると、こんなにも物哀しくなるのだろうか。メンバーの一員が引退や脱退を決めて、提案を受けたそれ以外のメンバーの人生がいきなりままならなくなる、という運命の非情さを感じるのも理由のひとつではある。しかし、何よりも大きいのは「もうグループのネタが見られなくなる」という喪失感だろう。

 お笑い芸人のネタは非常に属人的なものだ。落語のようにほかの演者がやって面白くなるものでもないし、ネタを書いていた芸人が解散後に組んだグループで同じネタをやっても以前のようにはウケない。ネタは組織内で生まれて蓄積された、門外不出の共有財産なのである。だから解散すると無に帰してしまう。

 ピン芸人の引退も悲しいが、個人的にはグループの解散ほど心を揺さぶられない。それはピン芸人が表舞台から去ってネタの再現可能性が限りなく低くなっても、ネタが本質的に消滅することはないからだ。しかしグループの解散は、ネタが「死」を迎える。だからよく知らないグループでも解散を知ると、道端に献花された花束を目撃した時のように、何やら厳粛な気持ちになるのだろう。

 そしてその芸人の解散に、最近変化が表れている。

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赤もみじの活動休止理由報告ラジオは若手芸人ファンに大きな動揺をもたらした。(画像はstand.fm『芸人Boom!Boom!赤もみじのGeneral Audience』より)

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