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山田涼介の演技力が救いとなるか? 残酷シーンで離脱者懸念の『親愛なる僕へ殺意をこめて』

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ドラマ公式サイトより

 Hey! Say! JUMP・山田涼介主演のフジテレビ系水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』の第1話が10月5日に放送された。累計発行部数130万部を超える同名マンガを原作とする本作は、実父が連続殺人犯であることを隠して生きてきた大学生・浦島エイジ(山田涼介)が主人公の二重人格サスペンス。初回の冒頭シーンから女性(工藤美桜)が拷問される凄惨なシーンが流れ、SNS上では「冒頭から怖すぎ」と悲鳴が上がった。

“もうひとつの人格”が殺人犯ではないかという疑惑が降りかかる

 浦島エイジは、売春をしていた女性5人が被害にあった15年前の猟奇的な連続殺人事件「LL事件」の容疑者・八野衣真(早乙女太一)の息子。「LL」こと八野衣は焼身自殺をし、事件は未解決のままとなる。母親にも死なれてしまったエイジは保護司の浦島亀一(遠藤憲一)と珠代(阿南敦子)夫妻に引き取られ、恋人の雪村京花(門脇麦)や仲間たちと楽しい学生生活を送っていた。だがある朝、目を覚ますと、自室の押入れの天袋になぜか3000万円もの大金が。さらに京花や友人たちから、エイジが3日間寝込んでいたと聞かされる。10月18日の夜に京花と一緒に眠ったエイジは当然、19日だと思っていたが、今日は22日だという。エイジの記憶から、10月19日から21日までの3日間の記憶が完全に抜け落ちているのだった。

 当惑するエイジのもとに刑事がやってきて、10月19日から21日まで何をしていたのか訊ねられる。19日から行方不明になっていた畑葉子(浅川梨奈)が21日になって多摩川の河川敷で遺体として発見されたのだ。遺体には、指を切り取られ、両耳を引きちぎられるなど、15年前の殺人鬼・LLを彷彿とさせるすさまじい拷問の痕があった。しかも葉子は売春をしていた。LL事件も担当していた刑事の桃井薫(桜井ユキ)は、「LL」こと八野衣の息子であるエイジを疑っていた。エイジは葉子なんて知らないと否定するも、失踪直前の19日に喫茶店の防犯カメラに葉子とエイジが落ち合う姿が映っていた。驚くエイジだが、桃井から「あなたたち、付き合ってたんでしょ?」「畑葉子はお前の彼女だな?」と、さらにエイジの知らない話が飛び出す。

 混乱したエイジはとりあえず聴取から解放されるが、ジャケットのポケットに入っていたハンカチで汗を拭おうとすると、そこにはピアスの付いた人間の片耳が。さらに押入れの天袋からは血まみれの金属バットが見つかり、あたかも自分が犯人かのような“証拠”が次々と見つかることに。天袋を改めて調べてみると、そこには誰のものか不明のスマートフォンや、大学の図書館カードもあった。図書館をこれまで利用したことがなかったエイジは慌てて図書館に向かう。貸出履歴を調べると、そこには自分の記憶にまったくない利用履歴が1年以上前からあり、借りた本のタイトルにはいずれも「二重人格」「多重人格」「解離性同一性障害」といった文字が並んでいた。エイジは自分が二重人格であればこの状況に説明がつくと思い至る。そして、もう一人の人格を仮に「B一(ビーイチ)」と名付ける。自室にはさらに小型の監視カメラがあることに気づき、データを見てみると自室での自分の様子が記録されていた。ますます混乱するエイジだった。

 そこに突然、天袋で発見したスマートフォンに「サイ」という人物から着信が入る。飯でも行こうと誘われ、迎えに来たのは半グレ集団「SKALL(スカル)」の面々。サイはスカルのリーダーだった。LLを神格化しているサイは、エイジを「LLの息子」として歓迎する。スカルに加入したお祝いとして、表向きは金持ち向けのデートクラブである売春クラブ「ALICE」の会員カード、IDとパスワードをもらうことに。さらにスカルは10月19日に輸送していた現金6000万円を金属バットを持った謎の2人組に奪われたこと、ALICEで働いていた葉子が犯人の仲間と疑われていたことを知る。天袋にあった3000万円と金属バットを思い出すエイジ。B一がこの件に関わっているのは明らかだった。

 世間では、葉子の事件がLL事件と関連付けて報じられ、大学でもエイジが「LLの息子」であると広まり、冷たい仕打ちを受ける。それでも京花は態度を変えなかったが、エイジはB一が京花を殺してしまう可能性を恐れ、一方的に別れを告げることに。真実と向き合わなくてはいけないと覚悟したエイジは、手がかりがないかとALICEのサイトを開く。そこには葉子と同じピアスをしたナミ(川栄李奈)という女性が。何か知っているかもしれないとホテルに行き、ナミを指名するエイジ。しかし突然、スタンガンで気絶させられてしまう。ナミは葉子の親友で、葉子の恋人だった“エイジ”が犯人ではと疑っていたのだ。エイジは自分は二重人格だから何も知らないと主張するが、当然、信じてもらえない。泣き叫ぶエイジの姿に思わずスタンガンでの拷問の手を止めてしまったナミは、逃げ出してしまうのだった。

 ホテルから出たエイジは、ふたたびサイから呼び出される。スカルが根城にするクラブを訪れると、そこには椅子に縛られ拷問を受けている男と、泣き崩れているナミの姿があった。男は“商品”に手を出したとして制裁を受けていたのだった。サイは「一度でいいから見てみたかったんだ。LLの息子がどんな拷問をするのか」と、エイジに拷問をするよう要求し……というところで第1話は終了。ストーリー展開は早く、次々と情報が明らかになるので、サスペンスの初回としてはよかったように感じた。

「グロシーン」の数々には賛否も、山田涼介の熱演は見どころ

 川栄李奈と門脇麦のWヒロインとなっているこのドラマだが、原作で重要なヒロインの座を務める真明寺麗が登場せず、川栄演じるナミが真明寺麗の要素を併せ持つというドラマオリジナルの設定になっている。そのほか、さまざまな部分で原作と異なる展開を見せているが、大筋が原作どおりであるならば、ナミはエイジの協力者として共に事件を追っていくことになりそうだ。

 とにかく残酷なシーンが多く、視聴者からは「グロすぎ」「怖すぎて離脱しそう」という声も多く出ている。しかし、話運びのテンポの良さと、主演の山田涼介の演技力に引き込まれたという感想は、それ以上に多かったように感じる。実際、第1話の無料見逃し配信(TVer・FOD・GYAO!の合計値)は放送6日目で223万再生に到達し、水10ドラマ歴代最高記録を樹立しており、『しんぼく』は注目を集めているようだ。

 特に二重人格という難しい役どころである山田は、「エイジ」しか登場していない第1話だけでも、過去を払拭するために仲間と学生生活を満喫しようと励むシーンで見せる明るい表情や、まだ何も知らなかった時に京花に向けた優しい顔から、「LLの息子」という過去と向き合う時の暗い表情、予測不能な出来事に翻弄されておののく顔と、スピーディに展開する物語の中でも繊細にエイジの心情を表現していた。もうひとりの人格である「B一」をどのように演じるのか楽しみだ。

 また山田だけでなく、二面性のある役を得意とする門脇麦、訳アリな過去を持つ役が多い遠藤憲一、クセの強い悪役も多く経験している佐野史郎など、ミステリアスで猟奇的な事件をテーマにしている本作にはふさわしいキャストが脇を固める。そして、真明寺麗が登場しないという大胆な改変からして、原作ファンも先の読めない作品になる可能性は高そうだ。怒涛の展開が予想される第2話も目が離せない。

■番組情報
水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて
フジテレビ系毎週水曜22時~
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一 ほか
原作:井龍一・伊藤翔太『親愛なる僕へ殺意をこめて』(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
プロデュース:草ヶ谷大輔
総合演出:松山博昭
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:fujitv.co.jp/shinainarubokue

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/10/12 12:00
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