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木村拓哉『教場0』連ドラ最終回が“期待外れ”に終わりそうな決定的な理由

木村拓哉『教場0』連ドラ最終回が“期待外れ”に終わりそうな決定的な理由の画像
『風間公親-教場0-』FOD配信ページより

 木村拓哉が主演するフジテレビ系月9ドラマ『風間公親-教場0-』に微妙な空気が流れている。19日に最終回を迎えるが、このままではどうにもスッキリしない終わり方になりそうだからだ。

※この記事には、ドラマ『風間公親-教場0-』の原作小説のネタバレが含まれます

 『教場0』は、木村主演で2020年1月4日・1月5日の2夜連続で放送されたフジテレビ開局60周年特別企画ドラマ『教場』と、翌年1月3日・1月4日に放送された新春ドラマスペシャル『教場II』のシリーズを、初めて連続ドラマ化したもの。『教場』『教場II』同様に、長岡弘樹氏による警察小説が原作となっている。

 『教場』『教場II』では神奈川県警察学校を舞台に、「警察学校とは適性のない人間をふるい落とす場である」と考える冷徹な教官・風間公親が訓練生たちを指導していったが、『教場』より少し前の時系列となる『教場0』は、まだ神奈川県警捜査一課の刑事だった頃の風間が主人公で、風間は指導官としてバディを組む新人刑事を鍛えていく物語だ。

 『教場』は二夜連続で世帯視聴率15%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人全体視聴率9.9%、『教場II』も二夜連続で世帯視聴率13%超えとなるなど高視聴率を記録し、どちらも同時間帯トップとなるヒットシリーズに。また、第一弾の『教場』はギャラクシー賞テレビ部門1月度月間賞に輝くなど高く評価され、アラフィフの木村にとって新たな代表作になったとの呼び声も高かった。その人気シリーズが、木村にとって9年ぶりの「月9」復帰作として連ドラ化され、しかも木村とバディを組む新人刑事役に新垣結衣、北村匠海、染谷将太、赤楚衛二、白石麻衣が揃い、2018年に無期限の芸能活動休止を発表していた坂口憲二が9年ぶりに俳優として復帰するなどの華やかななトピックもあっただけに、『教場0』の放送前の期待度は文句なしの今期ナンバーワンだっただろう。

 実際、『教場0』の初回の世帯視聴率は12.1%を記録し、月9ドラマとしてはおよそ1年ぶりの好発進となった。しかし第2話で10.7%となり、第3話で9.8%となって以降はひとケタに留まっており、第6話で自己最低となる8.3%を記録。そこから持ち返してきてはいるものの、第9話で9.9%と、ふたケタにはあと一歩及ばない状態だ(第10話は9.4%)。

 TVerでも、お気に入り登録者数100万突破を今期ドラマでいち早く達成したが、しかしこれはTVerの仕様上、シリーズものは同一タイトルとして扱われるため、『教場』『教場II』の過去作品をお気に入りに登録した数字がそのまま反映されるというアドバンテージがあったことが大きく、5月中旬には今期TVerでもっとも反響の大きい『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)に抜かれ、6月頭には『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)にも抜かれて登録者数3位に転落するなど、やや勢いが鈍い。

 オリコンによる「ドラマ満足度ランキング」(全国690名の視聴者を対象にした調査)も、初回放送は85pt(100pt満点)と高評価だったが、そこから70台を連発し、第4話では70ptにまで減退。以降は70台~80台前半を行き来する状況で、第8話は75ptで満足度ランキング10位、第9話は81ptでやはり10位と、いまひとつに終わっている。

 この不振の理由について、ドラマライターはこう説明する。

「主に3つの要素が挙げられ、(1)扱われる事件がトリッキーすぎること、(2)展開がワンパターン気味なこと、(3)視聴者がもっとも興味を持っているであろう事件についての進捗が乏しいこと。しかし、視聴率が後半から盛り返してきたように、(1)(2)の“欠点”も、(3)が改善されることで期待が持てた視聴者は少なくないように思います。具体的には、『教場II』のラストで匂わされた『千枚通し』事件ですね。新米刑事の遠野(北村匠海)が何者かによって千枚通しで刺され、風間も右目を失う重症となった事件で、遠野は『教場0』の第5話・第6話で風間とバディを組み、第6話のラストでついにこの事件にまで時間軸が進みます。そしてこの犯人・十崎を演じているのが森山未來であることも明かされ、視聴者は俄然盛り上がったのですが……」

 しかし、第7話以降も「千枚通し」事件はほとんど脇に追いやられ、犯人・十崎の行方も知れない。

「ドラマ製作発表時の紹介文に〈『教場II』のラストシーンではその右目の義眼は、風間が刑事時代、捜査中に何者かに襲撃されて負った傷であったことが判明しましたが、風間を襲った犯人の正体と、風間が警察組織に対して持つ激しい恨みの理由までは明らかにされませんでした。今作では、風間がなぜここまで冷酷無比な人格となったのか、その謎が明らかになります〉とありましたし、多くの人が今回の連ドラの最大の見せ場は『千枚通し』事件関連だと考えていたため、視聴者からは『次回が最終回? 十崎のこと全然やってなくない?』『これ、劇場版に続くのパターンかな……』と不安の声も出ています」(テレビ誌記者)

 そして結論から言えば、この連ドラではやはり未解決のままに終わってしまいそうだ。

「原作となる『教場0 刑事指導官・風間公親』『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)で未解決に終わるからです。とはいえ、ドラマの原作にはクレジットされていないものの、今年3月に発売された最新刊『新・教場』では、具体的なエピソードは描かれませんが十崎の件の“その後”に触れられる場面があり、ドラマ化当初は最終回でドラマオリジナル、あるいは原作未発表のエピソードとして十崎の件をやる可能性もあるかなとは思いましたが……最終回が原作『教場X』収録の『仏罰の報い』の映像化ということがわかり、その可能性は限りなくゼロになりました。15分拡大になるとはいえ、メインのストーリーが『仏罰の報い』となりそうなことを考えると、十崎の件をしっかりやる余裕はないでしょう。原作どおりに未解決で最終回を終えるのでは」(同)

 風間はある理由から警察学校に異動することになり、最新刊『新・教場』は警察学校に赴任した直後の“新米教官”時代の物語となっている。

「となると、ドラマ最終回のラストにまたも意味深なシーンが挟まれ、映画、あるいはドラマ続編に続く……といった終わり方が予想されますね。視聴者の不安が的中する形ですが、こうなるとそもそも『教場0』を全11話の連ドラにする必要があったのかという疑問も浮かびます。仮に映画化ありきの豪華キャスティングだったにしても、例年どおりの前後編のスペシャルドラマで十分間に合った気がしますが、そこはフジテレビの編成事情なのでしょうね」(同)

 視聴者が連ドラ『教場0』にもっとも期待していたのは、「どういう経緯で風間は右目を失ったのか」であり、そして「千枚通し」事件の謎が(犯人と共に)解決されることだろう。ドラマは、扱われる事件そのものは基本的に原作どおりだが、「千枚通し」と風間の関わりはドラマ独自の脚色が多く、個別の事件とは別に十崎の存在を匂わせる演出がずっと散りばめられてきた。その部分を11話も引っ張った結果、うやむやに終わってしまうとなれば、多くの視聴者にとって“期待外れ”な最終回となりそうだ。

「遠野はドラマオリジナルキャラクターですが、『教場II』ラストでは生死がはっきりしておらず、第7話で生存が明らかになったときは視聴者は大いに喜びました。しかし第10話で急に容体が変化し、帰らぬ人となった。遠野の死を数話も引っ張ったうえに、死亡の原因となった『千枚通し』事件に大した進捗もないままドラマが終わってしまったら、視聴者からの反発も強そうです」(同)

 第10話「指輪のレクイエム」での染谷将太や余貴美子を筆頭に、演技に魅せられる部分も大きいドラマ『教場0』だけに、最終回も北大路欣也らが見ごたえのある芝居を見せてくれるだろうが、はたして視聴者に「続きを見たい」と思わせられるような結末となるだろうか。

宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2023/06/19 11:00
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