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『チコちゃん』にまた「間違い」の指摘続出…「海底に水がしみこまない理由」の解説で波紋

NHK『チコちゃんに叱られる!』公式サイトより

 NHK総合の人気教養バラエティ『チコちゃんに叱られる!』の放送内容について、複数の専門家などからSNS上で「説明が間違っている」との指摘が寄せられる事態が起きている。過去にも同番組は「誤った情報を紹介している」などと批判されたことが何度もあり、視聴者からの信頼が揺らぎかねない状況になっているようだ。

 同番組は、好奇心旺盛で何でも知っている5歳の女の子という設定のキャラクター「チコちゃん」が身近な疑問をクイズ形式で提示し、その答えを明かした後に各分野の専門家が補足説明するという内容。14日の放送では、「水は地面にしみこむのに、なぜ海の水はなくならないの?」という疑問が取り上げられた。

 チコちゃんは「海底が水圧でカチカチだから」と答え、海の専門家である水産大学校の教授が「陸地の土や砂利は隙間があるので水がしみ込んでいくが、海の底は砂利の下に硬い岩石でできた地殻があり、深海の水圧の大きさで岩石の隙間が小さくなって水を通しにくくなる」と仕組みを解説した。

 これに対して、SNS上で疑問の声が噴出。京都大学大学院准教授で堆積学を研究する成瀬元氏は、自身のTwitterで「チコちゃんの『海水が染み込まないわけ』の説明は完全におかしい。岩石の圧密は岩石自体の上載荷重が原因で、水圧はむしろ圧密を妨げている。静岩圧が静水圧を上回るから圧密が進行する。陸上の砂が大気圧で固結しないのと同じ。浅海の表層堆積物に比べて深海の軟泥は別に固結していない」と指摘し、さらに「地層中に透水率が低い層があると間隙水圧が上昇するが、そのような層準ではむしろ圧密が起こらない。なぜ天下のNHKでこんな単純なミスが…」と嘆いた。

 ほかにも、SNS上では「海底がカチカチだったら深海探査船が泥を巻き上げてる映像とかは何なの?」「海底の堆積物は軟泥といってやわらかい泥です。それが数百万年数千万年にわたり積もる堆積物の荷重より脱水し続成作用による鉱物の沈殿で固結します。水圧は全く関係ありません」といった指摘が相次いだ。

 また、番組では「海底の岩石にしみこんだ水がマントルに吸い込まれ、6億年後には海の水が全部なくなる可能性がある」という情報も紹介されたが、これについても京都女子大学名誉教授で物理化学などを専門とする小波秀雄氏が「これひどかった。6億年で地表水が失われるという最近の説をスタッフがネタにして、最初に出てきた(海底がカチカチと説明した)教授はひどい説明。科学番組と思わないでね」などと苦言を呈している。

 同番組が「間違いでは」と疑われる情報を紹介したのは今回が最初ではない。

 2020年10月には、「スーパーで売っている野菜が同じ大きさなのはなぜ?」という疑問に対し、チコちゃんは「F1だから」と回答。「F1種」という形のそろいやすい品種を使っているからという意味だ。ところが、これにネット上などで現役の農家から不満の声が続出。「F1種は質がそろいやすい」というのは事実だが、自動的に大きさがそろうわけではなく、収穫時期や生育具合によって不ぞろいになることも多々あるという。農家はちょうどいい形や大きさになる時期に収穫し、その中から出荷規格に沿って形や大きさがそろっているものを選り分けるのだ。ある意味、生産者の努力や労力を無視するかのような内容だったため、全国紙に抗議の投書をする農家の人もいた。

 2020年8月の放送では「肉じゃが」の起源について、「東郷平八郎が留学中に食べたビーフシチューを忘れられず、それを日本で手に入る食材で再現させたのが肉じゃが」という説が紹介された。だが、これについては、Twitterなどで食文化情報を発信している「近代食文化研究会」のアカウントが、東郷平八郎ゆかりの京都府舞鶴市の街おこしを手がけた男性による「創作」だと指摘。男性本人も毎日新聞のインタビューなどで事あるごとに創作であると公表していたといい、SNSで番組への多くの批判が飛び交った。

 2019年1月の拡大スペシャルではたい焼きの起源が紹介され、明治42年創業の浪花家総本店の創業者とその弟によって発明されたと伝えていた。だが、これにも先述の「近代食文化研究会」が異論を唱え、「そもそも、浪花家がたい焼きを発明したという話が嘘」「明治36年には既にたい焼き屋が存在したという読売新聞記事を発見された方がいる。もうデマだと分かっている話を、NHKが正月特番であたかも真実であるかのように放送する。困ったものです」などと断じた。実際、浪花家総本店の4代目店主も週刊誌メディアの記事で「当店が発祥であることについては私自身も疑っているんです」と証言している。

 この他にも間違いを疑われた事例は枚挙にいとまがなく、番組出演オファーを断ったという研究者からは「台本がそもそも間違ってて、指摘しても修正されなかったので断った。なので、出演した教授の解説が間違ってるだけでなく、間違ってる内容をTVで話しても平気な人が出演している可能性がある」といった声もある。その一方、出演経験のある研究者からは「私が出演した時は根拠を求められて論文を提示したり、しっかり事実確認をしていたので、スタッフによるのでは」といった見方も出ているが、あまりに間違いを指摘される回数が多すぎたのか、ネット上では番組への批判的な意見が目立っているようだ。

 番組は多くの説について「※諸説あります」とエクスキューズを入れており、一部では「バラエティとして分かりやすさや面白さを重視しているから、いろんな情報が混ざるのは仕方ない」といった意見もある。だが、NHKは視聴者からの信頼性が高い公共放送であり、特にお年寄りや子どもなどは、「情報が間違っているかもしれない」と思いながらNHKの番組を観ているという人は少ないだろう。NHKらしからぬバラエティ色で人気を呼んだ同番組だが、大人たちを叱ってきたチコちゃんが逆に叱られてしまう前に、根本的なスタンスを考え直したほうがいいかもしれない。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/07/21 21:00
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