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『27時間テレビ』コア視聴率が好成績 “大物”や“慣例”に頼らない堅実な構成

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フジテレビ『FNS27時間テレビ』公式サイトより

 4年ぶりに復活したフジテレビの大型バラエティ特番『FNS27時間テレビ 鬼笑い祭』が7月22~23日に放送。すべてのパートにおいて世帯視聴率、個人視聴率、コア視聴率(13~49歳)が同時間帯での番組横並びトップとなる高視聴率を記録した。

 千鳥、かまいたち、ダイアンが総合司会となり、『千鳥の鬼レンチャン』内の企画を軸にさまざまなチャレンジを繰り広げた同番組。過去の27時間テレビといえば、ビートたけし、タモリ、明石家さんま、ダウンタウン、ナインティナイン、中居正広など、“芸能界のトップ”と呼ぶべき人気タレントが総合司会を務めることが多く、千鳥、かまいたち、ダイアンの3組は“抜てき感”があり、不安視される向きもあった。

 しかし蓋を開けてみれば、全時間帯で横並びトップとなる高視聴率。ゴールデン・プライム帯に注目すると、『サビだけカラオケ タッグモード大会』という企画を放送した22日19時~22時の平均視聴率は、世帯が8.2%、個人が5.6%、コアが6.8%。グランドフィナーレとなる23日の18時30分~21時54分では、世帯が9.5%、個人が6.5%、コアが7.8%だった。27時間全体での平均視聴率は世帯6.5%、個人4.0%、コア4.6%だった。

 特筆すべきはコア視聴率の高さだ。

「商品購買意欲の高いとされる年齢層の視聴者がどれだけ観ているかを示すのが、コア視聴率。コア視聴率が高ければ広告宣伝効果がある番組となり、それだけ番組の価値が高まるということです。数字でいうと、コア視聴率が5%を超えれば合格、6%を超えたら勝利、7%以上は大勝利という感じ。

 そんななかで、今回の『27時間テレビ』はオープニングで7%近くをマークし、フィナーレでは8%に迫る数字となった。昨今これは快挙と言えるでしょう。フジテレビとしても手応えを感じたはずです」(制作会社スタッフ)

 では、なぜ今回の『27時間テレビ』はコア視聴率において大勝利を収めることができたのだろうか。ある構成作家は「総合司会の3組が重要だった」と話す。

「『27時間テレビ』というとたけし、タモリ、さんま、ダウンタウンのような、超大物がMCをするというイメージがあった。しかし、それはやはり“地上波テレビ全盛期”の1990年代や2000年代初頭のノリでしかありません。もちろん構成にもよりますが、いまはお金をかければいいというものでもない。下手に超大物を引っ張り出してくるのではなく、実力も人気もある中堅芸人3組に任せたことが、結局最大の勝因でしょう」(同)

 番組は、『千鳥の鬼レンチャン』の人気企画を中心にしつつ、『逃走中』『今夜はナゾトレ』『有吉ダマせたら10万円』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』などの人気番組とコラボしていく形で進んでいった。

「往年の『27時間テレビ』といえば、とにかく生放送のハプニング重視で、出演者も多く、ともすると“バカ騒ぎ”に近いものになりやすい傾向がありました。番組内での“ノリ”もたくさんあって、最初から観て流れを追っていないと楽しめないということも多かった。

 しかし、今年の『27時間テレビ』は、各コーナーが淡々と進みました。つまり、どのコーナーから観ても、誰でも楽しめるような構成。スタジオの出演者数もそこまで多くなく、視聴者を置いてけぼりにすることもなかった。言ってみれば、シンプルかつ堅実な構成だったがゆえに、多くの人が楽しめと思います」(同)

 もちろん『27時間テレビ』ならではの企画もあった。22日の夜の時間帯では、『ほぼごっつVS鬼レンチャン「チームDEファイト」』と題して、『ダウンタウンのごっつええ感じ』のレギュラーメンバーと総合司会の3組がゲームで対決。さらに同じ時間帯にNHKで生放送されていた『Venue101』との同時中継もあった。また、その後には恒例企画『明石家さんまのラブメイト10』も放送された。

「『ごっつ』のメンバー集結は大きな目玉ではありましたが、放送終了後に振り返ると、そこばかりが話題になっていたわけではない。『ラブメイト10』も大した話題になっていません。つまり、さんまさんやダウンタウンの松本人志さんを決して特別扱いせず、“ひとつのコーナーの出演者”として扱っていたようにも見える。

“ネームバリュー”や“慣例”ばかりに頼った構成だったら、幅広い視聴者はついてこない。そのあたりはかなりシビアに判断していたということでしょう」(同)

 一方で、『FNS鬼レンチャン歌謡祭』として、『千鳥の鬼レンチャン』でおなじみのタレントや歌手、ものまね芸人を中心とした音楽コーナーもあった。

「『FNS鬼レンチャン歌謡祭』は事実上、『FNS歌謡祭』の縮小バージョンといった形。芸人さんが登場するのでお笑い要素もあるんですが、西川貴教、倖田來未、森高千里らが登場し、音楽番組としても見応えがありました。お笑い番組を普段見ない視聴者も楽しめる企画が充実していたのも、コア視聴率に繋がっていると思います」(同)

 フジテレビらしく、“お笑いバラエティ”という要素を核にしながらも、幅広い視聴者が楽しめるように、きめ細かい演出がなされていた今年の『27時間テレビ』。令和のバラエティ番組の新たな指標となっていくかもしれない。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/07/27 12:00
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