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みやーんZZ×宇多丸が語り尽くした「ラジオは最高のメディア」「ラジオと文章の間」

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ラジオ書き起こし職人のみやーんZZさん(左)とRHYMESTERの宇多丸さん(右)(写真/石田寛)

 ラジオ書き起こし職人のみやーんZZさんが、日頃から聴いているラジオ番組の中で、特に興味深いと感じたエピソードを取り上げる「日刊サイゾー」の連載企画「RadioEdit」。2021年2月にスタートし、今年2月に100回を突破した。そこで、満を辞して100回記念企画を実施!

 せっかくなら、みやーんさんにとって大事な方と対談していただこう! となり、名前が上がったのはHIPHOP界のレジェンドであり、ラジオパーソナリティーとしても確固たる地位を確立されているRHYMESTERの宇多丸さん。みやーんさんは言う、「宇多丸さんがいなかったら、今の僕はいなかった」。宇多丸さんは言う、「みやーんさんの損失はラジオ業界の危機」。みやーんさん、宇多丸さん、ちょっとその話……じっくり聞かせてもらいましょうか。

「あの話をこんなに面白く喋ってるんだ!」

──みやーんさんの連載「RadioEdit」が100回を超えた記念に、今回は宇多丸さんとのスペシャル対談が実現しました。みやーんさんにとって、宇多丸さんはどんな存在なのでしょうか?

みやーん:僕は1996年に日比谷野外音楽堂で開催された『さんピンCAMP』世代でして、その頃から日本語ラップを聴いています。もちろんRHYMESTERも大好きで音源も聴いていたし、ライブも観ていたんです。一方で、音楽とは別にラジオ好きというのもあって。ただ、社会人になった段階で、日本語ラップからもラジオからも離れていたんです。転機となったのは2007年──TBS系列の『リンカーン』内の企画(『世界ウルリン滞在記』)で、中川家の剛さんがD.Oさん率いる練マザファッカーのもとでラップの修行をして『B-BOY PARK2007』に出演した回がありました。後日、その番組のことを宇多丸さんがラジオで話されていたんです。「宇多丸さんがラジオをやっていて、あの話をこんなに面白く喋ってるんだ!」と衝撃を受けまして。それを機に、Podcastで『タマフル』(『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』)を聴くようになったんです。

──それが再びラジオを聴くようになったきっかけだった。

みやーん:はい。宇多丸さんがいなかったら、ラジオの書き起こしをしてなかったです。今の僕がいるのは、宇多丸さんのおかげなんですよ。そこから宇多丸さんきっかけで、TBSラジオとか他の番組も聴くようになりました。宇多丸さんは2009年から『キラキラ』(『小島慶子 キラ☆キラ』)を担当されるようになり、僕もお昼の番組も聴くようになって……と、どんどん視聴する番組の幅が広がったんですよね。しばらくして個人ブログ(『miyearnZZ Labo』)で、トークの内容を記録するようになりました。最初は要点だけを書いていたのが、面白かった会話のやり取りを書き起こししたら、割と評判がよくて。「これイケるじゃん!」みたいな感じで続けた結果、今のスタイルになりました。

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宇多丸:それは光栄だし、みやーんさんが書き起こし活動をしていない世界線は、ラジオ界にとっても結構違うというか。まあ端的に言えば、すごくありがたいことなので……改めてありがとうございます。

──宇多丸さんがみやーんさんの存在を認識されたのは、いつ頃だったんですか?

宇多丸:いつの間にか、なんですよね。当時は盛んにエゴサーチをしておりまして、その時にみやーんさんの記事を見つけて、何度か読んでるうちに「この人ずっとやってんな」みたいな。映画評を起こしてくださっている時もあって、そうすると自分も読み返して参考になるし、こういう形で残って、いろんな人に知られるのは僕的にはありがたい。……しかし、こいつ誰なんだ? と。

みやーん:はははは。最初にお会いしたのは2015年の代官山UNiTで『(有)申し訳ないと』というイベントやられた時、バーカウンターの近くに宇多丸さんがいるのを見つけて、声をかけたんですよね。

宇多丸:そっかそっか。じゃあプライベートの出会いだったんだ。僕はなんか言ってた?

みやーん:「お前がみやーんか!」みたいな感じでした(笑)。その時は、だいぶお酒を飲まれていたので、かなり上機嫌でしたね。

宇多丸:ははは。『タマフル』の初期って、番組の放送後記を構成作家の古川耕さんが書き起こしに近い形で書いてくれていたんです。そういうのを僕は嬉しく思うので、お会いする直前くらいから古川さんに「みやーんさんって、誰なんだろうね? あの人にお願いしたらいいんじゃない?」と言っていたし、「他にも書き起こしができる人がいたら、とにかく抑えておこう」と話していたんですよ。僕の知る限り優秀なのは、吉田豪さんなどの起こしをやっているジャイコさん。彼女はスーパー優秀ですし、高橋芳朗もそうですね。だけど、そうじゃないのが来るとね。

──良し悪しがあるんですね。

宇多丸:うん。僕はよくインタビューを受ける立場だから分かるんですけど、書き起こしってすごく技術のいることだし、上手い下手がハッキリ分かれるんですよ。なので、みやーんさんの場合は、自力でここまでできているんだからすごい。

みやーん:いやぁ、めちゃめちゃ光栄です。

宇多丸:そもそもインターネットとラジオは、親和性が高いと思うんですよ。その一つの例として、ネットは記事で情報を得る機会が多い。みやーんさんの活動は、業界全体にとっても非常にありがたいと思っています。それと同時にこのグレー感が面白い。

みやーん:未だに怒られるんじゃないか、とヒヤヒヤしてますからね。

宇多丸:怒られない保証はないよね。「今日のはそんなに起こしてほしくないけど、みやーんは起こすんだろうな」と思ったら、やっぱり起こすから(笑)。「もっと起こしてほしいところが他にあるのに!」と思うこともありますね。

みやーん:すみません(苦笑)。

宇多丸:そこはみやーんさんの自由だからさ。中には、みやーんさんぐらいの頻度と精度でやってる人が、ちょこちょこ出てくるんだけど、やっぱり続かない。だからこそ、みやーんさんの影響力が大きくなっていく。“みやーんが何を起こすのか、そして何を起こさないか”が大きい分かれ目になってると思う。

みやーん:いやぁ……なんかちょっとプレッシャーを感じました。

宇多丸:いや、プレッシャーを感じるべきだよ。それぐらいの影響力があると思う。

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──今、宇多丸さんから見たみやーんさんの魅力を教えていただきましたが、みやーんさんから見た宇多丸さんは?

みやーん:僕は20年前から存じ上げているんですけど、ずっとカッコいいし、話されてることも面白い。宇多丸さん自らが文章を書かれていた音楽雑誌『FRONT』とか『blast』の文章も熱心に読んでいたぐらいなので、ずっと影響を受けているんです。一方で宇多丸さんがラジオで話していたことを時々書き起こししながら、そこでも毎回刺激を受けて。僕が言うのもおこがましいですけど、宇多丸さんが話されてることとか、書かれてることも、昔からどんどんアップデートされているんです。で、その度に僕は影響を受けているので、すごくありがたい存在ですね。それが宇多丸さんのトークだったり紹介する作品だったり、あとは歌われていることにもどんどん反映されていくし、「あの時のことがリリックになっているんだ」となんとなく分かるんですよね。そんな宇多丸さんの背中を見ながら「僕もちょっとはマシな人間になれるように」と、いろいろ勉強させてもらってる感じです。

宇多丸:それはお互い様だよね。僕もみやーんさんの記事を読んで勉強してるし、ネットってそういうもんじゃない? お互いを見合って発信し合って勉強する、みたいな。

みやーん:『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』というドラマも、宇多丸さんがいなかったら絶対に観なかったし、そもそもApple TV+にも入っていなかったです。本当にいろんなものを吸収させてもらってるなって。とはいえ、決して「勉強するぞ」と肩肘張る感じじゃなくて、自然と影響を受けてるのがいいなと思いますね。

──これまで数々の宇多丸さんの番組を書き起こしされてきましたが、その中でも印象に残っている回はありますか?

みやーん:年末になると、宇多丸さんがその年に紹介した映画評の中で、年間ベスト5を発表する企画(『ライムスター宇多丸のシネマランキング』)がありまして。リスナーみんなで順位を予想するんですね(『メールで現金争奪! シネマランキング<予想ウォーZ>!!』)。僕も試しにやったら、1位から5位のうち4位だけ外れて、他は全部当たったことがあって。宇多丸さんも「やっぱり文字起こしをやってると、俺のツボが分かるんだな」みたいなこと言ってくださった時は、すごく誇らしい気持ちになりました。

宇多丸:逆に「他の人は何でこんなに当たらないの? すべて情報を開示した上でやってるのに」と思うんだけど、リスナーからは「宇多丸さんの順位には基準というものがないから、当てられるわけがない」みたいなメールが来て、「はぁ!? 基準は俺の好みだろ! なんでお前にそんなことをごちゃごちゃ言われなきゃいけないんだ!」と半喧嘩状態になりましたね。それで「いやいや、確率的にこの問題は当たんないんだよ」「あんたが悪いよ!」みたいな反論をされて「あー、そうかね。ん……いや待てよ! みやーんは当たってんじゃん」とさらに逆ギレをしたことがありました。

みやーん:ははは。あと少しで10万円ゲットできたのにな、と悔いは残りました。

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サイゾー編集部:ウチの連載だと、みやーんさんは宇多丸さんの番組をあまり取り上げないですよね? それはどうしてですか?

宇多丸:2016年くらいから、みやーんさんを公式スタッフとして雇っちゃってるしね。今も映画評の記事を公式サイトで毎週上げてもらっているから、そういう意味では身内だし、ちょっと難しいよね。

みやーん:それもありますし、宇多丸さんの書き起こしは、ある程度のボリュームを取らないとなって。キュッとまとめちゃったら、大事なところが取れちゃう可能性があるんですよ。

宇多丸:そうかもね。芸人さんみたいに、ピンポイントで面白いことを言うのとは違うから。キュッとしちゃったら、単なる映画評のまとめになっちゃう。あくまで“ラジオの映画評”として、合間に合間に余計なことを言うところが一つのミソでしょうから、みやーさんの意図は分かる。

みやーん:いきなり要点だけ書いて「この映画は5億点」と書いても全然違いますからね(笑)。

宇多丸:ちなみにさ、自分のブログに上げた記事で一番読まれたのは何?

みやーん:『タモリ倶楽部』の反響はすごかったですね。あの番組は何がすごいのかとか、何でこんなに愛されてるのかなど、意外とみなさんが気づいてないところを宇多丸さんが的確に言語化されていましたから。

宇多丸:まあ、実際に出た側ですからね。

みやーん:タモリさん、みうらじゅんさん、宇多丸さんという全員サングラスの映像(『1万7千冊の蔵書から学ぶ他社に差のつく社史の作り方』回)は最高でしたよ。

宇多丸:今思い出しても、最高の待ち時間だったな。川崎市立図書館の館長室みたいな一室に3人が1時間くらい待機することになって。その中にある物をお二人がめちゃめちゃいじり出して「何このオンステージ! 最高なんだけど!」っていう。

みやーん:お金を払ってでも、その光景を見たいですよ。

宇多丸:最高の時間だったな。みやーんさんは、基本的に決まった番組を聴いてるの?

みやーん:そうです。あとは、ゲストで好きな方が出るとか「この人はネットで話題になってるっぽい」みたいなのは聴きに行きますね。

宇多丸:「時間どうしてんねん、この人?」と未だに謎なんだよ。

みやーん:一通り番組を聴いた後で、面白かったところをメモっておいて。そこから作業時間の見積りを出して、手をつける順番を決めていきます。

宇多丸:なるほどね。ラジオは1日何時間くらい聴いてるの?

みやーん:常にラジオを流していますけど、ちゃんと聴いているのは1日7~8時間ですかね。

宇多丸:起こすのは?

みやーん:5~6時間くらいですね。

宇多丸:ほら、もう他のことができないじゃん。

みやーん:とはいえ、ラジオを聴きながら家事も散歩もできますからね。ただし、映像作品をチェックするとかゲームは厳しいです。この前まで『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を死ぬほどやり込んでいたので、その分ラジオを聴く時間に影響が出ちゃって(笑)。今は『ゼルダ』も終わったので、ひたすらラジオに向き合っています。

宇多丸:文字を起こす作業は、純粋に楽しいからやってるの?

みやーん:そうですね。面白いところをリピートして、書き起こししながら「おもしれー!」と思いながら書いてます(笑)。

宇多丸:それは何よりです。あと、みやーんさんのクセだと思うんだけど、句読点の打つポイントとか段落分けが独特だと思うんですよ。前に聞いたら「それは言葉の息継ぎを表してる」とか「実際にそこで話が切れているから」みたいなことを言ってたよね。毎週、映画評を起こしてもらってるけど、やっぱり僕の論旨を切るポイントとか、句読点の入れ方が独特なんだよね。僕の喋ってることが、そう聴こえているんだろうなって。

みやーん:喋りのライブ感を出すことを、優先しているからかもしれないです。喋りだと重複することも多いので、同じワードは削って単語を入れ替えたりしつつ、生っぽさを出すので、そこに変な癖がついているんだと思います。

宇多丸:それがすごい。本当にね、みやーんさんの起こしは高度です。相当うまい方だと思うし、ちゃんと喋ってる感じも出てますよ。でもラジオって、聴いてる人は熱心に聴いてるけど……というメディアじゃないですか。だからこそ外の人がちょっと覗く時に、みやーんさんのような書き起こしって一番いいんですよね。実際に音声を聞いて、数時間も時間を取るのは結構ハードルが高いと思うんだよ。

みやーん:そうですよね。記事を読んで「どんなもんだろう」と興味を持って、ラジオを聴く人が増えて欲しいです。

宇多丸:うんうん。書き起こしには、そこにしか生まれない魅力があると思っていますよ。そもそも僕は、ああいう喋ってる感じの文を読むのが好きなのかな? みやーんさんの記事は、ラジオと文章の間にある気がします。

みやーん:書き言葉とはだいぶ違いますからね。

宇多丸:とはいえ、ただの喋りっぱなしとも違う。それこそトークのやり取りを文字化した“ラジオ本”ってあるけど、そういう魅力にも近い気がします。あと、僕が出した『ブラスト公論 – 誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない』の喋り本とかに近い良さがある気がしていて。

みやーん:発売された時に買って読みました! アレも20年ぐらい前の本ですよね。

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──今や、YouTubeで切り抜き動画が流行っていて、SNSでも動画の切り抜きや書き起こしをする人が増加していますよね。みやーんさんは、ご自身と近しい活動をしている人が増えることに対して、どう思っていますか?

みやーん:どんどんやられたらいいと思うんですよね。そもそも僕は自分の興味あることしか書かないので、自分がチェックしている以外に面白い方もいっぱいいるはずだから。

宇多丸:しかも書く人が違えば、全然違うものになるもんね。

みやーん:そうなんですよね。僕はラジオが好きで聴いてるわけだから、テレビでも何でもいろんな切り抜き職人が出てきて、それが盛り上がって面白いコンテンツが増えたら最高じゃないですか? なので、増えるのはいいことだと思いますよ。

宇多丸:さっきも言ったけど、僕は書き起こしのうまい人を常に探していて。結構いい線を行ってる人もいたんだけど、なかなか続かないんだよ。そこは「好きこそ物の上手なれ」と言うように、みやーんさんの興味の持続力があるからこそですね。

みやーん:好きな人やモノを追いかけるのは楽しいですよ。RHYMESTERの新しいアルバム『Open The Window』を聴かせていただいて(「My Runway feat. Rei」という曲で)<いっそヴォーグみたいにPose>のフレーズなんて、「あのドラマ(『POSE/ポーズ』)の話をしてるな」とか<自分の機嫌は自分でとる>も、よくラジオでお話されてることじゃないですか。宇多丸さんのラジオを聴いていると「あの話がこのリリックに繋がっている」と分かるんです。

宇多丸:『アトロク』のリスナーなら「いつも言ってることを歌ってる」と思うよね。

みやーん:「これはリスナーに向けて言ってるな」と思う曲もあって、ラジオファンとしては熱いですよね。先ほど反響のあった文字起こしの話がありましたけど、高野政所さんが捕まった時もすごい反響があって。

宇多丸:いや、そういうタイミングのやつでしょ?

宇多丸:(笑)。

みやーん:いっときは誰かが薬物系で捕まると「宇多丸さんが何か言ってくれるんじゃないか」みたいな風潮があって、それに対して「俺は学級委員長じゃないんだ!」と憤慨されていたじゃないですか。最近はだいぶ減ったと思うんですけど、あれはちょっと申し訳ないなと思いながら起こしました。

宇多丸:とはいえね、変に事実をねじ曲げられて伝えられるよりは、起こしてもらう方がいいかもしれないし、「面倒くせえな」とも思いながらも「みやーんさん、起こしてくれてありがとうございます」と思ってますよ。

──せっかくの大事な対談なので、普段は言えないけど、こういう場だからこそ宇多丸さんに伝えたいことはありますか?

みやーん:宇多丸さんのおかげで、知れたこと・触れられたモノがいっぱいあって。宇多丸さんと出会えて、間違いなく人生が楽しくなっているんです。オススメされた映像作品もそうだし、赤坂サカスBizタワーの隣にある『東京赤坂やぶそば』の「鍋焼きうどんがうまい」と聞いて、1回食べに行ったらすごい美味しくて、後日『アトロク』のリスナー仲間と行ったりして。大きなことから小さなことまで、いろいろ人生の楽しむ幅が広がったなって。すごい本当に感謝しています。そして今後とも引き続きよろしくお願いします。

宇多丸:みやーんさんと同じで、僕も別に頑張ってるわけじゃなくて。面白いと思ってることをヘラヘラしながらやってるだけなんで、そんなに頑張って何かをしてるわけじゃないっていうか。

みやーん:そこがいいんですよ! 自己発信・自己完結するわけじゃなくて、パートナーの方とかゲストの方が「こういうのが面白かった」っていうのを一緒に面白がって、かつ興味があったらトライされるじゃないですか。そこがすごくいいなと思います。そういうので、ゲストの方とかパートナーの方のお人柄もどんどん知れて、どんどん好きになって。

宇多丸:それがラジオだもんね。

みやーん:ラジオは聴いていると、その人のことがどんどん好きになる最高のメディアだと思うんですよね。

宇多丸:アナウンサーの方が番組に出ると「本当にラジオは楽しいですね!」と言うんだよ。やっぱり決まったことを決まった尺で、決まった調子で伝える仕事をしてる人にとっては、「こんなことしていいんですか?」みたいな。

みやーん:そうですよね。今日(7月5日)なんて、日比(麻音子)さんの誕生日記念回でしたもんね。

宇多丸:ただお酒を飲んでご歓談してるだけだからね。そもそもラジオはご歓談なんだよ。それは芸人さんにとってもそうだよ。ある程度、枠組みが決められた中で求められるものを出してるのと、少なくとも30分はパーソナルな部分を出していいっていうか、逆に言えば無理やり笑わさなくてもいい30分っていうか。

みやーん:例えば、テレビで日比さんがニュースを読まれているのを見ても「本当は飲みながら番組をやる方が好きなんだろうな」っていう。俺だけが知ってるじゃないですけど、ラジオってよりその人のパーソナリティーが好きになれるみたいなところがあります。

宇多丸:お互いに良さを褒め合うんだったら、みやーんさんの起こしは空気感ごとちゃんとパックしてくださっている。本当にラジオ業界全体にとって重要な仕事をしていただいてると思う。さっきも言った「みやーんがいない世界線はヤバい」っていう。もはや、みやーんの損失はラジオ業界の危機だと思います。本当にそのレベルなんですよ。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

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●宇多丸(ライムスター)
1969年東京都生まれ。
ラッパー、ラジオパーソナリティ。
ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパー、またTBSラジオで月曜日~金曜日の18時から生放送されているワイド番組『アフター6ジャンクション』を担当するラジオパーソナリティ。1989年、大学在学中にMummy-Dと出会い「ライムスター」結成。活動初期の日本にはまだ、ヒップホップ文化やラップが定着しておらず「日本語でラップをするための方法論」をMummy-Dと模索、精力的なライブ活動によって道を拓き、今日に至るまでの日本のシーンを牽引してきた立役者のひとり。また90年代にはクラブ界隈で有名になりつつあった、口巧者な様子が買われて、2007年4月にTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』がスタートすると、趣向を凝らした特集や、愛と本音で語りつくす映画批評コーナーが大きな話題を集めて、2009年には第46回ギャラクシー賞「DJパーソナリティ賞」を受賞、番組からは多くのスピンオフ企画、コーナーの書籍化がなされるなど人気を博し、現在の『アフター6ジャンクション』に拡大されていく。
近作に、2023年6月発売、ライムスター12th.アルバム『Open The Window』(ビルボード週間8位、ビルボードダウンロード1位、オリコン週間12位 etc.)、著作に『森田芳光全映画』(編・著:宇多丸/三沢和子)ほか。
現在全国ツアー『King of Stage Vol. 15』が、アルバムコンセプトさながら、各地にゲストアーティストを呼び込みながら駆ける、全15公演開催中。ファイナルは2024年2月16日、日本ヒップホップの金字塔、2007年のあの感動を完全アップデート、日本武道館公演! チケット全公演発売中!!

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「アフター6ジャンクション」 TBSラジオにて、月曜日~金曜日18:00~21:00放送の帯ワイド生番組。宇多丸と曜日ごとのパートナーがMCとなり、ゲーム、映画、音楽、漫画・アニメ、アートなど様々な文化を紹介する“聴くカルチャー番組”通称「アトロク」。

真貝聡(ライター)

ライター活動のほか 、MOROHA『其ノ灯、暮ラシ』(2017年)/BiSH『SHAPE OF LOVE』(2018年)/Mrs. GREEN APPLE『~Review of エデンの園~』(2020年)/PEDRO『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』(2021年)などの映画・TVにインタビュアーで参加。

しんかいさとし

最終更新:2023/08/17 20:00
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