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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > ヒコロヒーの「幸福な失敗」

カゲヤマ・益田に1万円貸しているヒコロヒー、借金芸人としての「幸福な失敗」

 10日に配信された『チャンスの時間』(ABEMA)で行われた「湯気-1GP2024」。いかに体からカッコよく湯気を出すかを競う毎冬恒例の企画である。今年はきしたかの、カゲヤマ、シシガシラ、ちゃんぴおんずの4組が熾烈な争いを見せた。

 この中で、寺で厳しい修行を体験して湯気を出すことにしたカゲヤマの益田康平が、土下座を繰り返す場面があった。礼拝行という、土下座をしたのちに立ち上がり合掌するという懺悔の行で、益田は土下座をしながら、「ヒコロヒーに1万円借りてます」「申し訳ございませんでした」と懺悔。借りたのは2年前で、それ以降、益田はヒコロヒーを避けながら生活をしているという。なおヒコロヒーは、カゲヤマの2年後輩にあたる。

 昨今、芸人にとって借金エピソードはひとつのトレンドになっている。益田の1万円は小粒なものだが、霜降り明星・粗品や岡野陽一、相席スタート・山添寛など、「誰にいくら借りている」というトークを披露する芸人は枚挙にいとまがない。

 そんなトレンドを受けて、当のヒコロヒーも“借金芸人”への仲間入りを図っていた時期があった。

 2020年11月、ヒコロヒーはYouTubeで新チャンネルを立ち上げている。その名も「ヒコロヒーの金借りチャンネル」。目標を500万円に設定し、「お金のないヒコロヒーが、お金を借りに行く」という内容のチャンネルである。

「ヒコロヒーさん、お金ないでしょ?」

「ないです、めちゃめちゃない」

 当時のヒコロヒーは週に2~3回スナックでアルバイトをする生活で、本業でのお笑いの収入は月15万円程度で、借金総額は190万円だった。

 第1回の動画では前年の『女芸人No.1決定戦THE W』(日本テレビ系)で優勝し、ブレークしていた3時のヒロイン・福田麻貴から1万円を巻き上げることに成功。

 その後、さらば青春の光・森田哲矢、オズワルド・伊藤俊介、紅しょうが・稲田美紀、霜降り明星・せいやなど交流のある芸人に次々に声をかけ、借金を重ねていったヒコロヒーだったが、結局その“借金キャラ”が定着することはなく、「金借りチャンネル」は開設から1年に満たない翌21年9月を最後に更新を停止している。

 更新停止の理由はチャンネル内では明言されていないが、誰の目にも明らかだ。ヒコロヒーは、このチャンネルの開設と前後して、売れたのである。

「(お金)ないです、めちゃめちゃない」と言っていた第1回の動画からわずか5カ月後の21年4月、テレビ朝日で冠番組『キョコロヒー』がスタート。前年にはわずか18本(ニホンモニター調べ/以下同)だったテレビ出演本数を210本に増やし、「ブレイクタレントランキング」で5位にランクイン。芸歴10年、特に賞レースで結果を残したわけではなかっただけに、本人も予期しないブレークだったに違いない。

 YouTubeチャンネルとしての「ヒコロヒーの金借り企画」は、失敗に終わった。世の中、これほど幸福な失敗も珍しいだろう。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/03/12 11:00
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