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『花咲舞が黙ってない』第3話 今田美桜が『踊る大捜査線』の青島みたいに見えてくる

今田美桜

 27日放送分の『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)は第3話。10年前のシーズン1、2で花咲を演じた杏から今田美桜にスイッチした今回のシーズン3ですが、すっかり見慣れました。

 特に今期は最初にその回のキーマンになる悪いおじさんをチラ見せしておいて、そのおじさんの悪事の発覚に帰結していくという倒叙型の話法を採用しているこのドラマですが、今回の悪いおじさんは矢柴俊博さん。前回の三宅弘城さんに続いて、1990年代の下北沢出身の役者さんです。あの時代の下北って、ホントに人材の宝庫だったんだなぁなんて遠い目をしてしまいます。

 振り返りましょう。

■臨店班を事件に巻き込む段取りの話

 今回、花咲(今田)と相馬(山本耕史)の臨店班コンビが訪れたのは、東京第一銀行の中でもエリートコースといわれる銀座支店。融資先の浄水ベンチャーに反社とのつながりが浮上し、花咲たちが真相の究明に奔走しました。

『花咲舞が黙ってない』の見どころは、言うまでもなく花咲舞が黙ってないことなんですが、毎回、花咲舞が黙っていられない状況を作る必要があるんですね。探偵や刑事が事件に遭遇しなければ活躍できないように、花咲舞も“不正義”に遭遇しなければ黙っているしかない。

 本部臨店班の仕事はそもそも「支店の小さいミスを指摘して改善させること」と紹介されていますので、本来は花咲舞が黙っていられず、声を荒げるようなことが起こらない前提で始まらなければならないという縛りがある。

 そのうえで、花咲たちを偶然「許されざる不正」に引き合わせる必要がある。この「小さいミス」から「大きな不正」につなげていく段取りをいちいち作っていくという作業って、簡単に見えて難しいことをやってると思うんですよね。今回は支店の融資係が謝罪に行くということで「本部の人間も一緒に行った方が相手も納得してくれる」という理由で花咲たちが同行し、そこで反社とのつながりに気づいていくわけですが、ここの段取りが注目したいポイントなわけです。探偵や刑事なら勝手に事件が舞い込んできますが、花咲は基本的に巻き込まれてから巻き返すというひと手間が挟まるわけです。ドラマが花咲たちをどう巻き込むかで、その後の爽快感が大きく変わってきます。

 何が言いたいかというと、そこが『花咲』はまずうまくやってるという話です。

 あと、今回の反社組織は、そのまんま『ミナミの帝王』みたいでしたが、脚本のひかわかよさんは千原ジュニアがやってた『新・ミナミの帝王』(関西テレビ)のメインライターだったんですね。なるほど、板についてるわけだ。

■いつになく、すごく悪いおじさんでした

 今回の悪いおじさんは、いつになくすごく悪いことをしていました。自らの借金のカタに浄水ベンチャーの若い経営者を差し出して、のうのうと出世をしている。策略や謀略だけでなく、ストレートに暴力によって苦しめられている経営者がいる。

 結果、おじさんは飛ばされて、反社のやつは刺されて一件落着となったわけですが、なんだかあんまり爽快とか痛快って感じではありませんでした。

 例によって銀行側は行員の不正を隠蔽するわけですが、ちょっとこれはさすがにひどくない? という印象だったんです。さすがに反省して総括せえよと。

 そういう印象を与えたのは、たぶん今田美桜のキャラクターだと思うんです。このドラマの前提として「銀行員は清濁併せ呑むもんだ」みたいな考え方があって、花咲舞はそれに反発する立場なわけですが、今田の花咲は杏の花咲より清濁併せ呑めなそうに見える。子どもじみてるし、人物としての幅を感じない。おじさんの悪事が悪質すぎて、今回はそういう新旧花咲の違いが感じられた回でした。

 杏の花咲もよかったけど、より共感して応援したいと思うのは今回のほうなんですよね。ドラマなんだし、これくらい極端なほうが愛されると思う。『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の青島みたいに見えてくるんですよ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/04/28 09:00
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