日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『アメトーーク!』が業界内視聴率王のワケ

『アメトーーク!』が業界内視聴率王のワケ

 今、『アメトーーク!』(テレ朝)のテレビ業界内での視聴率が異常に高いという。「業界内視聴率が高い」というのは、別番組の会議などでよく「○○のあのコーナーみたいな感じで」などといったふうに話題にのぼること。複数のバラエティ番組で構成を務める放送作家のA氏いわく、「フジのゴールデン番組を担当するプロデューサーも参考にしている」そうで、また、駆け出しの放送作家B氏は、「ディレクターから『アメトーーク!』みたいにやって、と言われることもあるけど、逆に、僕らの出した企画が、これ『アメトーーク!』っぽいからダメ、なんて理由でボツにされることもありますよ(苦笑)」と話す。そこまで業界内で注目を集める理由はなんなのか?

 かねてより業界内視聴率が非常に高いことで有名な番組に『やりすぎコージー』(テレ東)があるが、このふたつの番組は、知名度の低い芸人でも積極的に起用し、マニアックな題材について芸人に熱く語らせたり、ともすれば芸人同士の内輪ウケとも見えるユルい企画も行うという共通点がある。テレビ東京に出入りの多い某番組制作会社のC氏は、「そもそも『やりすぎ』は、吉本の『おもしろいけど、まだ売れていない人』をどんどん出していこうという試みで始まったもの」と言い、さらに、そこに出演している芸人を他局のプロデューサーなどが見て、別番組でも起用→芸人ブレイクという流れができているのだという。

たとえば、なだぎ武と友近の「ディランとキャサリン」やネイチャージモン。そしてほっしゃん。も「鼻からうどん」ネタで『やりすぎ』に登場した後、別の番組でも取り上げられるようになった。一方の『アメトーーク!』も、レギュラー番組も持たず、関東での知名度はほとんどなかったケンドーコバヤシやとろサーモンを出演させ、彼らのブレイクの端緒となっている。こういった若手の発掘のために、他番組のスタッフもこぞってこれらの番組をチェックしているのだろうか?

 だが、肝心の視聴率はというと、深夜帯にしては平均10%前後を保ち安定しているといえるが、裏番組の『viva!viva!V6』(フジ)を上回ることは少ない。マニアックな内容が多いゆえ、決して万人ウケする番組ではないことは確かだ。にもかかわらず、業界内での注目度が高い理由を、某キー局局員はこう分析する。

「『アメトーーク!』や『やりすぎ』は、番組全体がコント化しているんですよ。古くは、『ガキの使いやあらへんで』(日テレ)の「チキチキ」シリーズや『めちゃイケ』もそう。あれは台本がきっちりあって、そのうえで収録をしているんです。スタジオバラエティの形をとっていても、綿密な台本が用意されており、それを実力派の若手芸人がアドリブもまじえて演じきることでおもしろくなっている」

 つまり、かつてのドリフのような、いわゆるネタ見せ番組が減少した代わりに、「トークバラエティ風に仕立てたコント番組」がウケている、というのである。

「トーク番組という名を借りた、1時間のシチュエーションコント、というのが我々業界関係者の認識ですね。これは制作スタッフの見事な構成力がないと、なかなかできるものではない。そういった意味で業界内では、シットコム(=シチュエーション・コメディ)のひとつの新しい形を導き出したこれらの番組に、注目しているんだと思いますよ。何より、見ていておもしろいですしね(笑)」(同前)

 また、『アメトーーク!』の演出を手掛ける、テレビ朝日編成制作局制作1部所属のプロデューサー・加地倫三氏は、『ナイナイナ』や『ロンドンハーツ』を手掛け、「バラエティーの弱いテレ朝で、唯一笑いを理解している男」と称される人物でもあるという。

 目の肥えた業界人も絶賛し注目する2番組には、これからもクオリティの高い制作を期待したい。(編集部/「サイゾー」7月号より)

最終更新:2018/12/07 18:26
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真