日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 「いい気分♪」なんて言ってられないセブン-イレブン 搾取の実情を暴く本

「いい気分♪」なんて言ってられないセブン-イレブン 搾取の実情を暴く本

711.jpg『セブンイレブンの罠 』(著:渡辺仁/
金曜日刊)

 今年6月、セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)が、公正取引委員会から独占禁止法違反で排除措置命令を出された一件を覚えているだろうか。同社がフランチャイズ店に、販売期限間近の弁当などを値引きしないよう強制していたとして下された行政処分だ。

 セブンといえば、日本全国に約1万2,000店ものチェーン展開を誇るコンビニ最大手。日本経済の「失われた10年」においても業績を伸ばし続け、小売業トップに輝いた一部上場会社である。そんな超優良企業の独禁法違反が指摘されたわけだが、本書『セブン-イレブンの罠』著者の渡辺仁氏は、この件を「まだまだ可愛い方である」と表現する。

 週刊誌「週刊金曜日」(同)の連載をベースに書き下ろされた本書は、セブンの”裏の貌”にスポットが当てられており、普段報道されない事実や、「♪セブン-イレブン~いい気分~」と、さわやかに歌っていられない内容が綴られている。例えば、廃棄した弁当などの総菜類に課せられるチャージは違法性の疑いがある(ロスチャージ問題)として、幾度も裁判沙汰になっていることを多くの人は知らないだろう。セブンとオーナーとの対立は、「35年の紛争・弾圧の歴史」として年表にまとめられている。近隣にセブン本部がライバル店を出店してきたことで経営難となり自殺した者、店を打ち壊された者、24時間監視され売上金を一円残らず持って行かれた者、店を潰され一家裸同然で追い出された者……セブン本部に反抗し、悲惨な状況に陥ったオーナーたちの知られざる実態も、渡辺氏の取材から浮かび上がる。

 渡辺氏は、これら問題の元凶は、同社の「フランチャイズシステム」にあると考えている。”名ばかり”でオーナーには経営の自由が存在しない点、店舗経営指導員は実質的に監視員兼セールスマンである点、一般企業とは異なる特殊会計システムを採用している点を「偽装」と指摘し、帳簿隠しやピンハネ疑惑も含め、セブンのビジネスモデルのカラクリを図式化して説明する。国税庁出身の税法学者・北野弘久日本大学法学部名誉教授による巻末解説は、法的に疑いのある問題点が裁判内容とともに記されていて分かりやすい。セブン創設者でありカリスマ経営者といわれる鈴木敏文氏(セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・CEO)の人物像にも迫っており、会計や数字に自信のない人にも読みやすい一冊となっている。

 百貨店やスーパーなど、軒並み再編が進む流通業界。コンビニも店舗飽和状態の中、タスポ効果が終わって次の一手を迫られる状況だ。鈴木会長の自叙伝などと並行して本書を読めば、今後の業界動向がいっそう面白くなるかもしれない。

セブンイレブンの罠

危うくひっかかるところだった……

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 セブン-イレブン会長&社長を直撃! ”加盟店いじめ”をどう見ているのか?(前編)
【関連記事】 セブン-イレブン帝国崩壊への序章 ”排除命令””労組結成”で激震中!(前編)
【関連記事】 ボロ雑巾のように酷使される ”名ばかり管理職”店長の悲鳴

最終更新:2009/11/20 21:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真