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セブン-イレブン会長&社長を直撃! ”加盟店いじめ”をどう見ているのか?(前編)

7eleven.jpg見切り販売に踏み切ってきた加盟店に対して、
本部は……

 ここ数カ月、コンビニ業界最大手のセブン-イレブン周辺が騒がしいのはご存知だろう。セブン-イレブン本部による加盟店への”締め付け”が次々に表面化、それに対して、加盟店も労働組合を結成するなど抵抗を開始した。こうした一連の事態を経営トップはどう見ているのか? 著書『セブン-イレブンの真実』(日新報道)などで同社の経営本質を批判し続けたジャーナリストが、同社会長と社長の直撃取材に成功した―。

 6月22日、セブン-イレブン本部(以下、本部)に公正取引委員会から「排除措置命令」が下された。命令は、見切り販売(弁当や惣菜など賞味期限切れ前の値引き販売)を可能にするガイドラインを加盟店と本部との間に整備することなどといった内容だった。本部が、一部の加盟店に対して見切り販売を制限していたことが不法行為であると判断されたのだ。

 これに従い、後日、本部は加盟店との間のガイドラインを提示したが、それは「値引き販売の限度額は原価まで。原価以下の値段で販売した場合は加盟店に損失を負担してもらう」などという内容であり、加盟店オーナー(以下、オーナー)からは「とても納得できない」との声が次々と上がった。


 これと軌を一にして、オーナーたちによる労働組合「セブン-イレブン加盟店ユニオン」が結成されている。このユニオンは、見切り販売の制限以外にも、長時間営業の強制や不明朗な会計制度など、本部による加盟店への「優越的地位の濫用」を改善し、両者の対等な関係を構築することを目的としているという。

 そして、7月21日にはセブン-イレブン本社で加盟店ユニオンメンバーと本部側との団体交渉が行われた。だが、「ユニオンと話し合う」とテレビ番組で発言したとされる同社の井阪隆一社長は姿を現さなかった。それどころか、本部側は「井阪社長は、そもそもユニオンと話し合うなどと言っていない」と言いだし、ユニオンメンバーたちの怒りを増幅させる結果となった。

 そうしたさなかの8月4日、岡山県にて、セブン-イレブン以外も含むコンビニ・オーナーの労働組合である「コンビニ加盟店ユニオン」の結成大会が行われた。同ユニオンの役員には、セブン-イレブン加盟店オーナーがずらりと並んだが、これは「セブン-イレブンが変わらなければ、コンビニ業界は変わらない」という意志の表れとも取れる。

 しかし、大会直後の13日、本部は強硬手段に出てきた。コンビニ加盟店ユニオンの副委員長に選出された増田敏郎氏(東京・八王子南口店)をはじめ、愛知県、広島県のユニオンメンバーに、本部との契約に違反する行為があったとして「加盟店契約解除」の通知をしてきたのである。これには、ユニオン側も抗議声明を発表し、徹底抗戦の構えを見せた。事態は、ますます混沌としている。

 筆者は、2年以上にわたり、本部による「加盟店いじめ」の実態を取材してきた。そうした立場から言えば、この数カ月の一連の本部の対応にも不信感を抱いてしまうのだ。こうした状況を、セブン-イレブンの経営トップはどう見ているのか? 

 そこでまずは、排除措置命令以降、同問題について公に発言することがなかった鈴木敏文会長を直撃した。8月中旬、自宅に電話をすると、運良く鈴木会長自身が出たのだ。短時間だったが、インタビューに成功したのである。

●鈴木会長インタビュー
「本部社員もオーナーに恫喝されているんです」

──8月13日、一部のオーナーに対して、加盟店契約解除通知を行ったのは、彼らが商品のディスカウント(値引き販売)を行っていたためですか?

鈴木会長(以下、鈴木) そんなことはありません。加盟店に契約違反行為があったからです。

──彼らは、メディアの取材に積極的に答えていました。テレビ取材に対して、本部に無断で、本部社員とのやり取りの模様を公表したことなどが解除通知を受けた原因ではないかともいわれています。

鈴木 そんなことは関係ない。細かいことは全部(井阪社長らに)任せてありますから。広報に聞いてください。

──どうして、7月21日の団体交渉に鈴木会長は出てこなかったのですか?

鈴木 どこに私が出てこいって?  団体交渉ってなんです? そんなことは知りませんよ。それに団体交渉なんてありません。

──まあ、オーナーの団体ですからね【編註:加盟店ユニオンは、労働組合法に基づいて設立する労働組合とは異なり、団体交渉の申し入れに関しても法的な権利を有していない】。

鈴木 そうですよ。それに「団体交渉」と言ったって、(オーナーが)10人か20人集まってやっているだけですから。

──でも、井阪社長はユニオンと話し合う準備があると言ったのに、交渉の場に出てきませんでした。

鈴木 そんなことは知りませんよ。

──ユニオンの皆さんは、(井阪社長が欠席したのは)鈴木会長の指示ではないかと思っています。

鈴木 憶測で言わないでください。

──私じゃなくて、ユニオンの人たちがそう勘繰っているんです。ユニオン側は、これまで会長自身の口から(公取委の措置に対しての)説明がないからと。

鈴木 確かに最終責任は私にありますけれども、実際の日常業務は、井阪に権限を委譲しています。

──しかしユニオンの人たちは、鈴木会長がずっとトップで指揮してきましたから、裏で操っているんじゃないかと思っています。

鈴木 公の組織の中で、裏とか表とかありませんよ。そうやって、勘繰るような言い方はしないでください。私は今回の問題(見切り販売の制限)では、公正取引委員会にも呼ばれていないし、具体的なことには何もかんでいません。そもそも、私は、現場の社員たちが、一部のオーナーから恫喝されたっていうような報告を聞いています。現場の連中は相当我慢して、オーナーだからと、いろいろとお話を聞いてきたんです。ただ、(今回の契約解除通知に当たっては)その限界を超えて、これ以上(オーナーの言う通りには)できないということです。

──確かにオーナーたちの中には、本部から来るOFC(店舗経営相談員)やDM(ディストリクトマネージャー=課長級)、ZM(ゾーンマネージャー=部長級)といった社員を、「どなりつけてやった」などという人もいますけどね。

鈴木 そうですよ。それに他のオーナーからは、あのような跳ね返りオーナーを許しておいていいのか? という声も聞かれます。

──見切り販売についてはどう思うのですか? ユニオンの中にも、見切りに懐疑的な人はいますが。

鈴木 見切り販売自体は禁止していません。ですが、見切りをして効果が上がったという話は聞きません。ずっと前から見切りをやっているオーナーはいますが、そういう人たちに対しては「あなたたちの利益になりませんよ」とは言っています。ディスカウントは禁止していません。
(続きは「サイゾー」10月号、またはプレミアサイゾーへ/取材・文=角田裕育)

セブン-イレブンの真実―鈴木敏文帝国の闇

こ、こわい……

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最終更新:2010/04/16 13:24
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